外壁の塗り替えを考えはじめたとき、「うちの外壁は何でできているのだろう」と迷う方は少なくありません。外壁は、材料によって傷み方が違い、塗り替えの前に直しておきたい所や、合う塗料も変わります。
この記事では、沖縄の家の構造の統計と、業界団体・塗料メーカー・国土交通省の資料をもとに、コンクリート・モルタル・窯業系サイディング・ALCの4つの外壁の見分け方と、種類ごとの塗り替えの注意を紹介します。
沖縄の家は、鉄筋コンクリート造がほとんど
沖縄県の令和5年住宅・土地統計調査(令和5年10月1日現在)では、県内の住宅のうち非木造が96.5%で、そのうち鉄骨・鉄筋コンクリート造が93.8%をしめます。全国では、鉄骨・鉄筋コンクリート造は36.6%です。沖縄県の非木造の割合は、この30年で88.0%から96.5%に上がっています。
この統計は建物の構造の分け方なので、外壁の仕上げまでは分かりません。ただ、鉄筋コンクリート造の家では、建物の骨組みと一体になったコンクリートの壁が、そのまま外壁になっていることがあります。一方、日本窯業外装材協会によると、全国では、新築の戸建て住宅の外壁の約80%に窯業系サイディングが使われています。同じ「外壁塗装」でも、家によって外壁の材料はさまざまです。

コンクリート・モルタルの外壁は、ひび割れや欠けの補修から
コンクリートやモルタル(セメントと砂を水で練った材料)の外壁は、塗装や仕上塗材で表面を守っています。沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』では、外壁の塗装の点検項目として、汚れ、チョーキング(さわると白い粉が付く)、エフロレッセンス(白い結晶が出る)、浮き、ひび割れを挙げ、10〜15年くらいで全面補修を検討するとしています。
国土交通省の改修工事の仕様では、コンクリートやモルタルの外壁の改修として、次のような補修の方法を定めています。
- ひび割れ:樹脂を注入する方法、ひび割れをU字に削ってシーリング材などを詰める方法、表面をふさぐ方法
- 欠け(欠損):欠けた所を材料で埋める方法
- モルタルの浮き:モルタルが下のコンクリートから浮いた所を、ピンと樹脂などで留める方法
塗装は、こうした補修を済ませてから行います。塗料メーカーのエスケー化研は、コンクリートの下地に塗るときは、下地をよく乾かすことが大切だとしています。コンクリートの中の鉄筋がさびて外壁が欠ける「爆裂」は「コンクリートの「爆裂」とは?」、ひび割れの補修は「外壁のひび割れ(クラック)は直すべき?」で紹介しています。
窯業系サイディングは、目地と表面の加工を確かめる
窯業系サイディングは、セメント質の原料と繊維質の原料などを板の形にして固めた外壁材です(JIS A 5422)。日本窯業外装材協会によると、表面には耐候性のある塗装がしてあり、板と板のあいだには、雨水を防ぐシーリング材が詰めてあります。どちらも永久的なものではなく、年数とともに傷みます。
同じ協会の手入れの冊子では、塗装の表面の色あせ、藻、落ちなくなった汚れ、塗膜の割れやはがれを点検し、一般的なクリヤー塗装の場合で7〜12年を塗り替えの目安としています。シーリングのひび割れやはがれは、状態に応じて打ち替えなどで直します。塗膜の傷みをそのままにすると、塗膜だけでなく、サイディングの板そのものまで傷みが進むことがあります。どの塗料で塗り替えるかは、いまの塗装の種類を確かめてから決める必要がある、としています。
日本ペイントは、窯業系サイディングの塗り替えの注意として、次のことを挙げています。
- 熱を通しにくく、夏は表面が高温になって中から水蒸気が出やすい。前回の塗装が弾性塗料(伸び縮みするやわらかい塗料)だと、上に塗り重ねたときにふくれが起こりやすい
- 可塑剤(やわらかくする成分)を含むシーリング材に直接塗ると、塗膜がべたついて黒い筋の汚れの原因になる
- 光触媒などで表面を加工した、耐久性の高いサイディングは、ふつうの下塗り塗料ではくっつきにくいことがある
目地のシーリングの直し方は「外壁の目地のシーリング(コーキング)は打ち替え?増し打ち?」で紹介しています。
ALCは、水を吸いやすいので防水性の高い仕上げで守る
ALCパネルは、けい石・セメント・生石灰などを主な原料に、高温高圧の蒸気で固めた軽量気泡コンクリートの板です。ALC協会によると、無数の細かい気泡があるため軽く、断熱性にすぐれています。パネルの中には、さび止めの処理をした鉄筋のマットや金網が、補強のために入っています。
一方で、ALCパネルには水を吸いやすい性質があります。ALC協会は、屋根や外壁など外に面する所には防水性の高い仕上げが必要で、仕上げ材や目地のシーリング材の防水性能が落ちると漏水などの不具合が起こることがあるため、傷み具合に応じて定期的に手入れをするよう呼びかけています。
日本ペイントは、ALCパネルも窯業系サイディングと同じように、前回の弾性塗料の上に塗り重ねるとふくれが起こりやすいと注意しています。

自分の家の外壁を確かめる・相談する
外壁の種類は、次のようなことが手がかりになります。
- 家の構造(鉄筋コンクリート造か、木造や鉄骨造か)
- 板(パネル)と板のつなぎ目に、シーリングを詰めた目地があるか
家を建てた会社に聞いたり、建てたときの書類を見たりするのも確かな方法です。日本窯業外装材協会は、高い所の点検や塗り替え・補修を、自分で行わないよう呼びかけています。
劣化セルフ診断では、外壁の種類(コンクリート・サイディング・モルタル・ALC・その他・わからない)を選んで、当てはまる症状から塗り替え時期の目安を確かめられます。かんたん見積もりでも、外壁の種類を選んで費用の目安を計算できます。分からないときは「その他」を選び、現地調査で一緒に確かめましょう。
TRUSS では、コンクリートやモルタルの外壁のほか、ALCパネルや窯業系サイディングの外壁の塗り替えもお受けしています。外壁塗装の工程は外壁塗装のページ、費用の内訳の考え方は料金の目安で紹介しています。外壁の模様(仕上塗材)の違いは「外壁の模様(吹付けタイル・リシン・スタッコ)とは?」もご覧ください。
よくある質問
日本ペイントは、柄や色を生かして塗り替えたいときの方法として、透明な塗料(クリヤー塗料)で塗る方法を紹介しています。ただし、日本窯業外装材協会は、どの塗料で塗り替えるかは、いまの塗装の種類と傷み具合を確かめてから決める必要があるとしています。現地調査で表面の状態を見てからご提案します。
日本ペイントによると、セラミックコートなど特殊な加工をしたサイディングは、ふつうの外壁用の塗料ではくっつきにくく、はがれが起こりやすいとされています。専用の下塗り塗料を使えば塗り替えられるものもありますが、光触媒で加工したものは、はがれのおそれがあるため塗装は避けるよう案内しています。
日本ペイントによると、ALCパネルや窯業系サイディング、軽量モルタルのように熱を通しにくい外壁では、前回の弾性塗料の上に塗り重ねると、水蒸気が逃げにくくなり、ふくれが起こりやすくなります。どの塗料が合うかは、外壁の素材と前回の塗料を確かめて選びます。弾性塗料のしくみは「弾性塗料とは?」で紹介しています。
はい。現地調査で、外壁の種類と傷み具合を確かめてからお見積りします。現地調査とお見積りは無料です。お見積りのあとにお断りいただいても、費用はかかりません。
参考にした情報
- 令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点(新しいタブで開きます)
- 窯業系サイディングとは(製品概要)・メンテナンスについて(新しいタブで開きます)
- サイディングの維持管理はどうするの お施主様へ(第3版・2022年7月)(新しいタブで開きます)
- ALCパネル?(新しいタブで開きます)
- よくあるご質問(新しいタブで開きます)
- 外壁の窯業系サイディングの塗替えは注意が必要と聞いたがどういう意味ですか?(新しいタブで開きます)
- 外壁の窯業系サイディング目地のシーリング面もいっしょに塗装したいが可能ですか?(新しいタブで開きます)
- 外壁の窯業系サイディングの色やデザインを生かして塗り替えたい。どんな塗料がおすすめですか?(新しいタブで開きます)
- セラミックコートされ、表面がつるっと仕上がった窯業系サイディングの外壁は塗り替えできないと聞いたが本当ですか?(新しいタブで開きます)
- 弾性塗料はALCパネルや窯業系サイディングの外壁塗り替えに適さないといわれたがなぜですか?(新しいタブで開きます)
- よくあるご質問(施工について)(新しいタブで開きます)
- 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 4章(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)附録(新しいタブで開きます)