外壁の板と板のつなぎ目や、窓のまわりには、ゴムのような材料が詰められています。これがシーリング(コーキングとも呼ばれます)です。年数がたつと、ひびが入ったり、はがれたりして、すき間から雨水が入る原因になります。
この記事では、シーリングの役目と、見ておきたい傷みのサイン、工事の「打ち替え」と「増し打ち」のちがい、塗装との順番や相性を、日本シーリング材工業会や国の工事の仕様書などの資料をもとに紹介します。外壁の目地や窓まわりのシーリングが気になっている方に読んでいただきたい内容です。
シーリング(コーキング)は外壁のすき間をふさぐ材料
外壁は、遠くから見ると1枚の板のように見えても、近くで見ると、いくつかの部材が少しすき間をあけて取り付けられています。このすき間を「目地(めじ)」といいます。部材は温度や湿度で伸び縮みし、地震や風でもずれるため、ぶつかり合わないように目地をとっています。工業会のガイドで紹介されている研究では、窯業系サイディングの目地は毎日伸び縮みをくり返しながら、数年かけて少しずつ広がっていくことが確かめられています。
ただ、すき間のままでは水や空気が出入りしてしまいます。そこで目地に詰めるのがシーリング材です。日本シーリング材工業会は、シーリング材に求められる条件として、水や空気を通さないこと、目地の動きについていけること、長持ちすることの3つを挙げています。工業会によると、以前はシーリング材全体をコーキング材と呼んでいたこともありますが、いまは「コーキング材」といえば油性コーキング材だけを指す呼び方になっています。
見ておきたい傷みのサイン
窯業系サイディング(セメントなどでつくった外壁の板)の業界団体である日本窯業外装材協会は、外壁の表面の塗装も、つなぎ目のシーリング材も永久的なものではなく、年数とともに傷むと説明しています。点検の項目には、シーリング材そのものの劣化によるひび割れや、はく離(目地の側面からはがれること)が挙げられています。

- ひび割れ:シーリング材の表面に、細かい割れが出ます
- やせ:シーリング材が細くなったり、へこんだりします
- はがれ:目地の側面からはがれて、すき間ができます
- 切れ:シーリング材が途中で切れてしまいます
協会は、家に住む方ができる点検として、ふだんから外壁を目で見て確かめること、地震や台風のあとなど年に1回ほど見ることを勧めています。一方で、高い所に上る点検やお手入れ、塗り替えや補修の工事は、ご自身では絶対に行わないよう呼びかけています。沖縄県の手引書でも、窓枠のコーキングの不良は、台風が過ぎたあとに目で見て確かめる項目になっています。
打ち替えと増し打ちのちがい
シーリングの工事には、大きく「打ち替え」と「増し打ち」があります。

打ち替えは、古いシーリング材にカッターで切り込みを入れて取り除き、目地をきれいにしてから、プライマー(接着をよくする下塗り)を塗り、新しいシーリング材を詰め直す方法です。国の工事の仕様書(公共建築改修工事標準仕様書)では「シーリング再充填工法」と呼ばれ、目地を広げてから詰め直す「拡幅シーリング再充填工法」や、古いシーリング材を残したまま、その上にくっつかないテープを貼り、新しいシーリング材を橋のようにかぶせる「ブリッジ工法」も決められています。
増し打ちは、古いシーリング材の上に、新しいシーリング材をかぶせる方法です。工業会のガイドでは、増し打ちでは目地が薄い層で覆われるだけになり、固まらない、はがれる、古い材料の成分がしみ出して汚れる、ふくれるといった不具合の原因になるとして、改修工事とはいえないと説明しています。
ただし、窓枠のまわりの目地は、取り除くのがむずかしく、取り除くことでかえって雨漏りの原因になることもあります。ガイドでは、状態がよい場合でもシーリング材の厚みをできるだけとって施工すること、はがれや切れがあれば窓枠を傷つけないよう慎重に取り除いて打ち替えることを勧めています。
もう1つ大事なのが、シーリング材を目地の両側面だけにくっつけて、底にはくっつけない「二面接着」です。動く目地で底にもくっつく「三面接着」になると、シーリング材が自由に伸び縮みできず、切れたりはがれたりしやすくなります。底にはくっつかないテープや材料を入れて防ぎます。詰めたあとは、目地に正しく詰まっているか、固まってしっかりくっついているかを、目で見て、指でさわって確かめます。
塗装とシーリングの順番と相性
シーリング材の種類
シーリング材は、主な成分によって性質が違います。工業会のガイドでは、主に次のように説明されています。
- シリコーン系:日差しや熱に強く長持ちしますが、塗料がくっつきにくい材料です
- 変成シリコーン系:耐候性がよく、表面に塗装ができます。名前は似ていますが、シリコーン系とはまったく別の材料です
- ポリウレタン系:塗装しやすい一方、紫外線で傷みやすいため、表面に上塗りが必要です
- アクリル系:水性で扱いやすい一方、縮みが大きく、やせが目立ちます
国の仕様書でも、目地の両側の材料の組み合わせに合わせて、シーリング材の種類を選ぶことになっています。
塗る順番と、塗るときの注意
外壁を塗り替えるときは、シーリング材の上に塗料を塗ることが多くなります。工業会のガイドでは、先にシーリングをしてから塗る「先打ち」と、塗ってからシーリングをする「後打ち」があり、それぞれに注意点があるとしています。後打ちでは、シーリング材が塗膜に覆われず日差しを直接受けるため、シーリング材そのものの耐候性も大切になります。
日本ペイントによると、シーリング材の上に塗るときの注意は次のとおりです。
- シーリング材は伸び縮みするため、塗膜がついていけないと、塗膜が割れたりはがれたりしやすい
- 可塑剤(やわらかくするための成分)を含むシーリング材に直接塗ると、可塑剤が塗膜にしみ出してべたつき、黒い筋の汚れの原因になる。専用の下塗りで抑えられる
- (変成タイプではない)シリコーン系のシーリング材の上には、十分にくっつく塗料がなく、はがれてしまう
工業会のガイドでも、塗装する外壁には、可塑剤がしみ出しにくい「ノンブリードタイプ」のシーリング材を選ぶこと、塗膜が割れても目立たないよう、上塗りと近い色のシーリング材を使うことが勧められています。
シーリングの状態を確かめる・相談する
目地のシーリングは、外壁のすき間から雨水が入るのを防ぐ大切な材料です。ひび割れ、やせ、はがれ、切れがあれば、打ち替えを考える目安になります。塗り替えのときは、シーリングとの順番や相性も確かめておきましょう。
当てはまるサインを選ぶと塗り替え時期の目安がわかる劣化セルフ診断にも、「目地のシーリングが割れている・やせている」という項目があります。外壁塗装では、塗る前の下地処理で、ひび割れの補修や目地・開口部のシーリングの打ち替えを行います。工程は外壁塗装のページで、施工事例は外壁塗装の施工事例で紹介しています。外壁塗装の工事全体の流れは「外壁塗装の工事はどう進む?」、外壁のひび割れは「外壁のひび割れ(クラック)は直すべき?」をご覧ください。
よくある質問
塗装はできますが、注意点があります。日本ペイントによると、シーリング材の伸び縮みに塗膜がついていけないと割れやはがれが起きやすく、可塑剤を含むシーリング材では、しみ出した成分で黒い筋の汚れが出ることがあります(専用の下塗りで抑えられます)。変成タイプではないシリコーン系のシーリング材の上には、塗料がくっつきません。
はい、ご相談ください。窓1か所だけのコーキング(シーリング)の打ち替えをお受けした例もあります(施工事例)。現地調査とお見積りは無料です。
はい。塗装の前に、ひび割れの幅や深さに合わせて補修します。コンクリートの欠け(爆裂)や、目地のシーリングの割れも、あわせて直します。