コンクリートの軒の裏やベランダの下、外壁の角などで、表面が浮いたり、欠けて中の鉄筋が見えたりしていることがあります。このような傷みは「爆裂(ばくれつ)」と呼ばれます。
この記事では、爆裂が起きるしくみと原因、気をつけたい場所、見ておきたいサイン、補修の流れを、沖縄県の手引書や国の工事の仕様書をもとに紹介します。鉄筋コンクリートの家が多い沖縄で、コンクリートの欠けやひび割れが気になっている方に読んでいただきたい内容です。
爆裂とは、中の鉄筋がさびてコンクリートを押し割ること
沖縄県の手引書によると、県内の住宅は、木造から補強コンクリートブロック造、鉄筋コンクリート造へと移り、いまは多くが鉄筋コンクリート造です。鉄筋コンクリートは、コンクリートの中に鉄の棒(鉄筋)を入れてつくります。爆裂は、この中の鉄筋がさびてふくらみ、まわりのコンクリートを内側から押し割ってしまう傷みです。
沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』は、コンクリートが傷む大きな原因の1つとして「中性化」を挙げています。中性化とは、アルカリ性のコンクリートに、空気中の二酸化炭素が入りこむことです。手引書では、中性化によって中の鉄筋がさびてふくらみ、コンクリートのひび割れ、はがれ、はがれ落ちにつながると説明されています。

中でふくらんだ鉄筋に押されて、表面にひびが入り、コンクリートが浮いたり、はがれたりします。
原因になる中性化と塩分、気をつけたい場所
中性化と塩分
手引書では、中性化をおさえるには、水分の少ないコンクリートを密に打つことがもっとも効果的としたうえで、海からの塩分(飛沫塩分)や二酸化炭素が入りこむのをおさえる表面の仕上げと、「かぶり厚(鉄筋からコンクリートの表面までの距離)」を十分にとることも、コンクリートを長持ちさせるのに効果があるとしています。
沖縄総合事務局と沖縄県が監修した鋼の橋の資料でも、鉄は水と酸素があるとさび、塩分などがあるとさびが進むこと、湿度が高く、気温が高いほどさびが活発になることが説明されています。資料では、沖縄は年間を通して気温と湿度が高く、台風が多く海の塩の粒が多く飛んでくるため、鉄にとって厳しい環境とされています。気温は年平均22.7℃、湿度は年平均78%で、結露の回数も東京の2倍以上と書かれています。
気をつけたい場所
手引書の点検の表では、コンクリートでできた軒の裏やベランダの下側について、汚れ、チョーキング、エフロレッセンス(白い粉や結晶がしみ出すこと)、ひび割れ、はがれ、爆裂、雨水がもれたあとを確かめる項目にしています。外壁のタイルなどの仕上げでも、はがれと爆裂が点検の項目になっていて、傷んだ所は外壁を補修するときに直すこととされています。
見ておきたいサイン
爆裂やその手前の傷みとして、次のようなサインがあります。
- ひび割れ:コンクリートの表面にひびが入ります
- さび色のしみ:ひびから、さび色の汁(さび汁)がしみ出します
- 浮き:表面のコンクリートや仕上げが浮いてきます
- 欠け:表面が欠けて、中の鉄筋が見えることがあります
国の工事の仕様書(公共建築改修工事標準仕様書)でも、ひび割れから水がもれている場合や、さび汁が出ている場合は、補修の方法を前もって検討することになっています。
手引書では、コンクリートの軒の裏やベランダの下側は、台風が過ぎたあとに目で見て確かめ、10〜15年くらいで全面補修を検討すること、外壁の補修と同時に行うことも検討することが勧められています。
※ 高い所の軒の裏や外壁は、無理に近づいて見ようとしないでください。浮いている所を自分でたたいたり、はがしたりせず、気になるときは写真を撮って専門の業者に相談してください。写真は、建物から少し離れて全体を1枚、気になる所を近くで1枚、明るい時間に撮ると、状態が伝わりやすくなります。
爆裂の補修の流れ
爆裂は、表面に塗装をするだけでは直りません。仕様書では、欠けた部分の補修を、おおむね次の流れで行うことになっています。

- 傷んだ部分を取り除く:欠けた所のまわりのもろくなった部分を、ハンマーで軽くたたいて取り除き、状態を目で確かめます
- 鉄筋のさびを落とし、さびを防ぐ処理をする:鉄筋が見えている所は、さびていない部分が出るまでコンクリートをはつり(削り)、ワイヤーブラシなどでさびを落として、鉄筋用の防錆剤を塗ります
- 元の形に戻す:ポリマーセメントモルタル(樹脂を混ぜたモルタル)などを詰めて、元の形に戻します。ポリマーセメントモルタルは1〜3層に分け、1層の厚さを7ミリメートルほどにして塗り付け、急に乾かないよう、また固まるまで雨などから守ります。仕上がりと固まり具合は、目で見て、指でさわって確かめます
- 塗装で仕上げる:補修のあとは、仕上塗材や外壁用の塗膜防水材などで仕上げます
傷みが大きい部分は、下地の処理や補強などを別に検討することになっています。また、外壁の補修は、気温が5℃以下のときは原則として行いません。
仕様書では、外壁の仕上げによって補修の方法が分かれています。コンクリート打放しの外壁の欠けは「充填工法」、モルタルを塗った外壁の欠けは充填工法か「モルタル塗替え工法」で直します。モルタルやタイルが浮いている所は、アンカーピン(留めるための金具)と樹脂などで固定する工法があります。ひび割れは、樹脂注入工法、Uカットシール材充填工法、シール工法のいずれかで補修します。仕上げの塗装は見た目を整えるだけでなく、手引書のいう「塩分や二酸化炭素が入りこむのをおさえる表面の仕上げ」の役目もあります。外壁の仕上げに使う仕上塗材の規格(JIS A 6909)には、二酸化炭素の通しにくさを調べる試験の方法も定められています。
外壁塗装の工事全体の流れは「外壁塗装の工事はどう進む?」、ひび割れの補修の方法は「外壁のひび割れ(クラック)は直すべき?」で紹介しています。
爆裂を相談する
爆裂は、中性化や塩分で中の鉄筋がさびてふくらみ、コンクリートを押し割る傷みです。ひび割れ、さび色のしみ、浮き、欠けは、見ておきたいサインです。補修では、傷んだ部分を取り除き、鉄筋のさびを処理してから、形を戻して塗装で仕上げます。
屋上やベランダの床でも、コンクリートの爆裂やひび割れは、雨漏りにつながることがあります。TRUSS の外壁塗装では、塗装の前の下地処理でひび割れを補修します。屋上やベランダの防水工事でも、防水層をつくる前に、ひび割れやコンクリートの爆裂を補修します。工程は外壁塗装と防水工事のページで紹介しています。軒の裏やベランダの下の様子が気になるときは、写真を送るだけで担当者が状態をお返しする写真で無料診断をご利用ください。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。
よくある質問
塗装だけでは直りません。傷んだコンクリートを取り除き、鉄筋のさびを落として防錆の処理をしてから、モルタルなどで形を戻し、そのうえで塗装をして仕上げます。外壁塗装では、塗装の前にこうした補修をあわせて行います。
はい。塗装の前に、ひび割れの幅や深さに合わせて補修します。コンクリートの欠け(爆裂)や、目地のシーリングの割れも、あわせて直します。
沖縄県の手引書では、コンクリートの軒の裏やベランダの下側は、台風が過ぎたあとに目で見て確かめることが勧められています。全面的な補修は10〜15年くらいで検討し、外壁の補修と同時に行うことも検討するとされています。