コンクリートやモルタルの外壁には、ざらざらした砂のような模様や、ぽこぽことした凹凸の模様が付いていることがよくあります。この模様は、塗料ではなく「仕上塗材(しあげぬりざい)」という材料でつくられています。
この記事では、外壁の模様をつくる仕上塗材の種類と、模様をつける道具、塗り替えのときに模様をどう扱うか、模様ごとに気をつけたいことを、日本産業規格(JIS)や業界団体、国の工事の仕様書の説明をもとに紹介します。塗り替えを考えはじめた、凹凸の模様の外壁のお住まいの方に読んでいただきたい内容です。
外壁の模様は「仕上塗材」でつくる
仕上塗材は、JIS A 6909(建築用仕上塗材)で決められている材料です。セメントや合成樹脂などの結合材、顔料、骨材(砂などの粒)を主な原料とし、吹付け、ローラー塗り、こて塗りなどで、建物の壁や天井を立体的な模様に仕上げる材料とされています。
日本建築仕上材工業会によると、塗料の塗り厚さは数十マイクロメートル(1マイクロメートルは1,000分の1ミリメートル)ほどですが、仕上塗材は数ミリメートルほどの、比較的厚い層になります。よく使われている仕上塗材には、リシン、吹付けタイル、スタッコなどと呼ばれる材料があります。
よく見る3つの模様と、模様をつける道具
工業会の説明では、仕上塗材は大きく、薄付け仕上塗材、複層仕上塗材、厚付け仕上塗材、軽量骨材仕上塗材、可とう形改修用仕上塗材に分けられます。外壁でよく見るのは、次の3つです。

- リシン(薄付け仕上塗材):比較的薄く塗る、砂壁のような模様の仕上げです
- 吹付けタイル(複層仕上塗材):凹凸の模様の仕上げです。模様をつける「主材」と、色やつや、耐候性(日差しや雨への強さ)を受け持つ「上塗材」を重ねてつくります
- スタッコ(厚付け仕上塗材):比較的厚く塗る、凹凸の大きい模様の仕上げです。セメントでつくるセメントスタッコと、合成樹脂でつくる樹脂スタッコがあります
工業会は、仕上塗材は使う道具によっていろいろな模様をつくれるとして、吹付け、ローラー、こて、刷毛ごとの模様を紹介しています。たとえば吹付けでは、砂壁模様(リシン)、ゆず肌模様、凸凹模様、スタッコ模様(吹き放し)、凸部処理模様など、ローラーでは、ゆず肌模様やスチップル模様(さざなみ)などがあります。同じ材料でも、道具と塗り方で見た目が変わるということです。
お住まいの外壁がどの仕上塗材かは、塗り替えの前の現地調査で、外壁の傷み方とあわせて確かめます。
塗り替えで模様をどう生かす?
塗り替えのときの模様の扱い方には、大きく2つの考え方があります。

- 今の模様を生かして、上から塗る:傷んだ部分を整えてから、塗料や改修用の仕上塗材を塗り重ねます。今の凹凸がそのまま残ります
- 模様をつけ直す:仕上塗材を塗って、新しく模様をつくります
工業会によると、今の外壁の塗膜と、塗り替えに使う材料には相性(適合性)があります。いまは、ほとんどの塗膜に使える「可とう形改修用仕上塗材(微弾性フィラーとも呼ばれる材料を主材にしたもの)」での塗り替えが一般的とされています。ただし、塗膜の傷みが大きいときや特殊な塗料のときは、うまく付かないこともあるため、前もって試し塗りをして確かめることが勧められています。
国の工事の仕様書(公共建築改修工事標準仕様書)でも、傷んでもろくなった塗膜やふくれは、サンダーなどの道具や高圧の水で取り除いてから塗るとされています。取り除き方には、サンダー工法、高圧水洗工法、塗膜はく離剤工法、水洗い工法があり、傷み方に合わせて選びます。雨や湿気で結露しそうなときや風の強いときは、原則として塗りません。仕上がりは、見本の板(見本塗板)と色合い、模様、つやを比べて確かめます。色を選ぶときは、カラーシミュレーションで塗り替えたあとの家の色を見てみることもできます。
模様ごとに気をつけたいこと
リシン:藻やカビが付きやすい
工業会は、リシンのように表面が粗く、つやのない仕上げは、なめらかでつやのある塗料にくらべて、藻やカビの胞子が付きやすいとしています。塗り替えでは、今ある藻やカビをていねいに取り除いて清掃し、防藻性・防カビ性の表示がある材料を選ぶことが勧められています。なお、工業会は、仕上塗材のリシン(lithin)は、植物からとれる毒素のリシン(ricin)とはまったく別のものだと説明しています。
吹付けタイル:上塗材の選び方
吹付けタイルの色やつや、耐候性は、上塗材が受け持ちます。工業会によると、上塗材は一般に、ふっ素系、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系の順に耐候性がよいとされています。JIS A 6909 には促進試験の結果による耐候形1種・2種・3種の区分があり、1種がもっとも耐候性にすぐれているとも説明されています。汚れにくさや色なども含めて考えたいときは、塗料グレード比較で長い目で見た費用をくらべられます。
スタッコ:ふくれと塗料の量
日本ペイントによると、スタッコの面はすき間が多く空気を含むため、弾性塗料や厚く塗るタイプの塗料を塗ると、ふくれが出やすくなります。凹凸が大きいので、実際に使う塗料の量もカタログの量より多くなる傾向があります。表面に白い粉(チョーキング)が出ているときは、高圧洗浄でていねいに落としてから塗ることが必要です。弾性塗料のしくみと向き・不向きは「弾性塗料とは?」で紹介しています。
ひび割れや欠けがあるとき
仕様書では、コンクリートやモルタルの表面のひび割れや欠けは、仕上塗材を塗る前に補修するとされています。目地のシーリングの上に塗るときは、シーリング材が固まってから、塗り重ねてよい組み合わせかを確かめて塗ります。また、下塗材、主材、上塗材は同じメーカーの製品でそろえることになっています。補修の方法は「外壁のひび割れ(クラック)は直すべき?」、下塗りの役割は「下塗りはなぜ大事?」をご覧ください。
外壁の仕上げを確かめる・相談する
外壁の模様は仕上塗材でつくられていて、リシン、吹付けタイル、スタッコなど、種類によって塗り替えの注意が変わります。今の模様を生かすか、つけ直すかは、外壁の傷み方と材料の相性を見て決めます。TRUSS では、吹付け・ローラー・こてで模様をつけ直す塗り替えもお受けしています。
まずは晴れた日に、外壁の模様と、ひび割れ、ふくれ、藻やカビがないかを見てみてください。写真を送るだけで担当者が状態をお返しする写真で無料診断もご利用いただけます。外壁塗装の工程は外壁塗装のページで紹介しています。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。お問い合わせからどうぞ。
よくある質問
日本ペイントによると、スタッコの面はすき間が多く空気を含むため、弾性塗料や厚く塗るタイプの塗料はふくれが出やすくなります。凹凸が大きく、塗料の量も多くなりがちです。表面に白い粉が出ているときは、高圧洗浄でていねいに落としてから塗ります。
仕上塗材は、吹付け・ローラー・こてなどの道具によって模様が変わるため、仕上塗材を塗って模様をつけ直すこともできます。今の塗膜との相性もあるので、見本や試し塗りで確かめながら決めます。外壁の状態を見てご提案しますので、ご相談ください。
日本建築仕上材工業会によると、いまの会員会社の仕上塗材には石綿(アスベスト)は使われていませんが、過去の製品には使われていたものがあり、製品の種類と販売された期間が公開されています。工業会は、ふだんの状態で飛び散ることはないと考えていますが、改修工事で古い塗膜を取り除くときは、工法によっては飛び散るおそれがあるという指摘もあるとしています。厚生労働省は、建物の解体や改修の工事では、施工業者が石綿の有無を調べる「事前調査」を行い、発注者(施主)は設計図書などの情報を施工業者に渡すよう配慮することが義務付けられていると説明しています。