外壁の塗装の表面が、うろこのようにめくれたり、水ぶくれのようにふくらんだりしているのを見つけると、心配になります。はがれやふくれは、塗膜(塗料が乾いてできた膜)が外壁にしっかりくっつかなくなったときに出る劣化のサインです。
この記事では、外壁の塗膜がはがれる・ふくれる主な原因と、同じ所がまたふくれるときに考えたいこと、塗り直す前にしておきたい下地の調整を、塗料メーカーや国土交通省、沖縄県の資料をもとに紹介します。屋上やベランダの防水層ではなく、外壁の塗装の話です。
はがれ・ふくれは、塗膜の下に水分や汚れがあるサイン
塗料メーカーの日本ペイントは、塗膜が傷む主な原因として「紫外線」「熱(太陽光の赤外線)」「水」の3つを挙げています。塗膜は、下地(塗装する外壁の面)や、まわりの環境の影響を受けて傷むこともあります。
同じ説明では、塗膜の劣化は4つの段階で進み、最後の段階が「はがれ」です。はがれは、塗膜が下地にくっつく力(付着力)が弱まったことで起こります。はがれると、塗膜が外壁を守る働きがなくなり、建物そのものの傷みにつながります。
ふくれは、塗膜が下地から浮いて、泡のようにふくらんだ状態です。日本ペイントによると、外壁の中の湿気が熱で水蒸気になり、逃げ場がないと、塗膜をふくらませることがあります。

沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』では、日本建築学会の基準をもとに、水分が直接関わって建物の環境を悪くする現象を「湿害」とよび、その例として、カビ、変色、膨れ、剥離(はがれ)、さびなどを挙げています。湿度の高い沖縄では、水分による傷みに気をつけたいところです。
はがれ・ふくれの主な原因
はがれやふくれの原因は、1つとは限りません。塗料メーカーや国の資料からは、主に次のような原因が考えられます。
下地にふくまれる水分
塗る面が湿ったまま塗装すると、塗膜がしっかりくっつきません。塗料メーカーのエスケー化研は、コンクリートの下地に塗るときは、付着物を取り除き、下地をよく乾かすことが大切で、含水率(材料にふくまれる水分の割合)10%以下を目安にするとしています。
国土交通省の改修工事の仕様でも、気温が5℃以下のとき、湿度が85%以上のとき、結露などで塗料が乾きにくいときは、塗装を行わないことになっています。雨が降りそうなときや風が強いときも、外の塗装は原則として行いません。
雨水の入り込み(漏水)
ひび割れやすき間から雨水が入ると、外壁の中の水分が増えます。日本ペイントは、塗り替えたのに同じ場所がふくれる原因の一つとして、建物の漏水を挙げています。沖縄県の手引書も、湿害には空気中の水蒸気だけでなく、雨漏りや配管からの水漏れ、コンクリートや木材がもともと持つ水分が関わることがあるとしています。
下地処理の不足
日本ペイントによると、汚れや異物、劣化した塗膜を残したまま塗ると、十分にくっつかず、はがれの原因になり、仕上がりや耐久性にも影響します。塗る前に高圧洗浄をするのはこのためで、落としきれない古い塗膜やさびは、手工具や電動工具で取り除くこともあります。
塗る回数が少ないことも、はがれにつながります。日本ペイントは、1回塗りでは十分な厚みを確保しにくく、はがれや色むらが起こりやすいとしています。住宅の塗り替え用の塗料の多くは、下塗りと上塗りなど、何回かに分けて塗るようにつくられています。
塗料の組み合わせ
前の塗料と新しい塗料の組み合わせによっては、問題が起こることがあります。日本ペイントによると、水性塗料の上に溶剤形の塗料を塗ると、組み合わせによっては、塗料の中の溶剤が下の塗膜を傷め、ふくれやしわが出ることがあります。
外壁の素材と、弾性塗料の塗り重ね
ALCパネルや窯業系サイディング、軽量モルタルのように熱を通しにくい外壁は、夏の直射日光で表面が50〜60℃以上になることがあります。日本ペイントによると、このとき外壁の中の湿気が水蒸気になりやすく、前回の塗装が弾性塗料(伸び縮みするやわらかい塗料)だと、上に塗り重ねたときに水蒸気が逃げにくくなり、ふくれが起こりやすくなります。外壁の種類ごとの注意は「外壁の種類で塗り替えはどう変わる?」で紹介しています。
同じ所がまたふくれるときは、水の入り口を確かめる
塗り替えたのに、しばらくして同じ場所がまたふくれることがあります。日本ペイントは、この原因の一つとして建物の漏水を挙げ、漏水している場所を突き止めて補修してから塗り直さないかぎり、根本的な対策にはならないとしています。外壁の素材や弾性塗料が原因のふくれも、対策をせずに同じ塗料で塗ると、同じふくれがくり返し起こります。
ふくれた所を削って塗り直すだけでは、また同じことが起こるおそれがあります。次のようなときは、塗装の前に、水がどこから来ているかも合わせて調べてもらいましょう。
- 一度塗り替えた所が、またふくれてきた
- ふくれの近くの外壁に、ひび割れや目地のシーリング(すき間を埋める材料)の切れがある
- 室内の天井や壁に、しみや雨漏りの跡がある
雨水の入り口になりやすい場所は「雨漏りの原因はどこ?」で紹介しています。
塗り直す前の下地調整
はがれやふくれを直すときは、原因を取り除いてから、塗る面を整えて(下地調整)塗り直します。国土交通省の改修工事の仕様では、塗材で仕上げた外壁を改修するとき、古い塗膜の取り除き方として、サンダー工法・高圧水洗工法・塗膜はく離剤工法・水洗い工法を定めています。たとえばサンダー工法は、次の順に進めます。
- 傷んだ塗膜を取り除く:もろくなった塗膜の表面や、ふくれを、サンダー(電動のやすり)やスクレーパー(へら)で削り取ります
- 下地を補修する:ひび割れなどを補修します
- 水洗い・清掃:粉になった塗膜や付着物を、高圧水洗機で落とします
- 段差をならす:削った所に下地調整塗材を埋め、段差のないように整えます

下地調整が済んでから、下塗り・上塗りへ進みます。日本ペイントは、外壁の中の湿気を逃がしやすい性質(透湿性)のある塗料は、塗膜のふくれが起こりにくいと説明しています。どの塗料が合うかは、外壁の素材と前回の塗料を確かめて選びます。下塗りの役割は「下塗りはなぜ大事?」、弾性塗料の向き・不向きは「弾性塗料とは?」で紹介しています。
※ 高い所のはがれを、はしごに上って自分で削ったり塗ったりするのは危険です。気になる所は、写真を撮って専門の業者に相談してください。
はがれ・ふくれを相談する
はがれやふくれは、塗膜が外壁にくっつく力が弱まったサインです。原因が下地の水分や漏水にあるときは、原因を直してから塗り直さないと、同じことがくり返し起こります。まずは、はがれ・ふくれの場所と広がりを、写真に残しておきましょう。
TRUSS の外壁塗装では、高圧洗浄で汚れやカビ、古い塗膜を洗い流し、ひび割れの補修やシーリングの打ち替えなどの下地処理をしてから、下塗りと上塗り2回で仕上げます。はがれやふくれの所だけを塗り直す、部分の補修もお受けしています。工事の内容は外壁塗装のページで紹介しています。
当てはまる症状を選ぶと塗り替え時期の目安がわかる劣化セルフ診断では、「塗装がはがれている・ふくれている」も選べます。写真を送るだけで担当者が状態をお返しする写真で無料診断もご利用ください。
よくある質問
原因の一つとして、建物の漏水が考えられます。日本ペイントは、漏水している場所を突き止めて補修してから塗り直さないかぎり、根本的な対策にならないとしています。外壁の素材や、前回の弾性塗料が原因のこともあります。現地調査で、雨水がどこから入っているかと外壁の状態を調べてから、ご提案します。
あります。まわりの塗膜は、年数とともに日差しなどで色があせたり変わったりしています。また、日本ペイントによると、保管しておいた塗料で補修すると、かき混ぜが足りなかったり塗料が変質していたりして、違う色に仕上がることがあります。部分の補修にするか、面ごとに塗り替えるかは、傷みの広がりを見て決めます。
日本ペイントによると、ALCパネルや窯業系サイディング、軽量モルタルのように熱を通しにくい外壁では、前回の弾性塗料の上に塗り重ねると、水蒸気が逃げにくくなり、ふくれが起こりやすくなります。どの塗料が合うかは、外壁の素材と前回の塗料を確かめて選びます。
はい。塗装の前に、ひび割れの幅や深さに合わせて補修します。コンクリートの欠け(爆裂)や、目地のシーリングの割れも、あわせて直します。
参考にした情報
- 塗膜の劣化(塗料の基礎知識)(新しいタブで開きます)
- 外壁の塗膜が膨れてきたので塗り替えたが、また同じ場所が膨れてきた。考えられる原因は何ですか?(新しいタブで開きます)
- 弾性塗料はALCパネルや窯業系サイディングの外壁塗り替えに適さないといわれたがなぜですか?(新しいタブで開きます)
- 外壁用の水性塗料と溶剤形塗料を組み合わせて塗っても大丈夫ですか?(新しいタブで開きます)
- 塗装前になぜ外壁や屋根を高圧洗浄したりするのですか?(新しいタブで開きます)
- 外壁や屋根を1回塗りで仕上げたいが可能ですか?(新しいタブで開きます)
- 保管しておいた塗料で、外壁を補修塗装したところ、違う色に仕上がってしまったがなぜですか?(新しいタブで開きます)
- 透湿性がある外壁用塗料で塗り替えると、室内の結露防止効果を期待できますか?(新しいタブで開きます)
- よくあるご質問(施工について)(新しいタブで開きます)
- 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 4章5節・7章(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章・附録(新しいタブで開きます)