元気なうちに住まいをどう見直す?
国のガイドラインの8つの配慮
まだ元気だけれど、これから先も今の家で暮らしていけるだろうか。そう考え始めたときが、住まいを見直すよい機会です。
国土交通省は、高齢期を迎える前の早い時期に住まいを見直すための「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」(平成31年3月)をまとめています。この記事では、ガイドラインにある8つの配慮と、将来手すりを付けられるようにしておく工夫、沖縄の家で考えたいことを紹介します。
早めに住まいを見直すとよい理由
ガイドラインでは、高齢の方の多くは、介護が必要になっても自宅で暮らし続けることを望んでいて、そのためには自宅の改修がとても有効だと説明しています。
そのうえで、改修は、介護が必要になって時間の余裕がない中で行うのではなく、気力・体力・お金にゆとりのある、早い時期から考えて行うことが望ましいとしています。ガイドラインは、主に、これから高齢期を迎える世代と、元気に過ごしている高齢の世代を対象にしています。
ガイドラインがめざす住まいは、次の4つです。
- 長く健康に暮らせる住まい
- 自立して、自分らしく暮らせる住まい
- 介護が必要になっても、手すりや福祉用具など小さな工夫で暮らし続けられる住まい
- 子や孫の世代にも引き継げる住まい
改修のほかに、住み替えなどを選ぶこともできます。ガイドラインでは、ご本人とご家族が、心身の状況や家族の状況、住まいや地域の状況などから、いろいろな面で考えて決めることが大切だとしています。建築などの専門家や、必要に応じて医療・介護の専門家に相談することも勧めています。
ガイドラインの8つの配慮
ガイドラインでは、住まいを改修するときに配慮したいことを、8つにまとめています。そのうち1〜4の4つを、特に早く取り組みたい重要な項目としています。

- 温熱環境:窓などの断熱をよくし、冷暖房を適切に付ける。部屋と、廊下・トイレ・浴室などのあいだで、温度の差を大きくしない
- 外出のしやすさ:玄関や勝手口から道路まで、安心して移動できるようにする。出かけやすく、人が訪ねてきやすい玄関にする
- トイレ・浴室の使いやすさ:寝室からトイレまで行きやすくする。トイレ・脱衣所・浴室の温度と段差に配慮する
- 生活空間をまとめる:ふだん使う部屋を同じ階にまとめる。よく使う部屋を一体にして、広く使えるようにする
- 動線のバリアフリー:家事や外出、トイレなどでよく通る道の段差をなくし、手すりを付けられるようにする
- 設備の導入・更新:安全で使いやすく、手入れが楽な設備にする(見守りの機器や緊急通報のしくみ、聞き取りやすい音の火災報知器なども例に挙がっています)
- 光・音・におい・湿度:日当たり、明るさ、音、風通しなど、過ごしやすい室内にする
- 余った部屋の活用:使わなくなった部屋を、収納や趣味、人との交流の場に使う。縁側やテラスを整える
項目どうしはつながっています。ガイドラインでも、ふだん使う部屋をまとめてから、その部屋の温度を整えるなど、ひとつの項目だけでなく、広く考えることを勧めています。
将来、手すりを付けられるようにしておく
今すぐ手すりがいらなくても、あとで付けられるようにしておく方法があります。手すりは、壁の中の「下地」(手すりをしっかり固定するための補強の板など)がある場所に付けます。

- ガイドライン:玄関の上がりかまち(玄関の段差)の近くに、たての手すりや手すりの下地、ベンチを付ける。寝室からトイレまでの道に、手すりの下地を付ける
- 国土交通省の「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」:玄関には、上がりかまちの上り下りや靴をはくときの手すりを、脱衣所には、服を着たり脱いだりするときの手すりを、「付けられるようにしておく」ことを基本としている
床の段差をなくすこと、開き戸を引き戸にすることも、ガイドラインの改修の例に挙がっています。引き戸については「開き戸を引き戸にかえるには?」で紹介しています。
沖縄の家で考えたいこと(暑さ・雨・段差)
沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』では、沖縄の気候について、ほかの地域より気温が高く、1年を通して湿度が70%をこえる月がほとんどで、降水量の多い月がほとんどだと説明しています。夏は、低い角度から入る西日を上手にさえぎることが大切だとしています。ガイドラインでも、高齢期には熱中症やヒートショックにかかりやすくなるとして、温熱環境を特に重要な項目にしています。
手引書には、沖縄の家ならではの工夫も紹介されています。
- 雨じまい:台風が多いので、玄関に雨水を入れないよう段差を付けるのが一般的。段差の小さい引き戸や、排水の溝(グレーチング)を付けた引き戸で、段差を小さくする方法がある
- トイレ:水で洗う習慣から、廊下より床を低くしたトイレが多い。出入口の段差をなくす工夫がある
- 寝室:近くにトイレや浴室を置くか、将来、増改築できる配置にする
- 1階が駐車場などで2階から住まいになる家:家に入るまでがひと苦労なので、ホームエレベーターなども念頭に置く
家の中で転ばないための工夫は「家の中で転ばないために、今日からできることは?」で紹介しています。
介護保険が使えるようになったら
介護が必要になったときは、介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)を使える場合があります。使えるのは、要支援・要介護の認定を受けている方です。手すりの取付けや段差の解消など、6つの種類の工事が対象で、工事費は一人につき20万円まで、そのうち1割〜3割が自己負担です(厚生労働省の資料)。
ただし、介護保険の住宅改修は、今の暮らしに必要な工事が対象です。那覇市の手引き(令和4年12月改定)では、ご本人の心身の状況と住まいの状況から見て、家で暮らしていくために必要な工事であることを支給の条件にしています。沖縄市の資料(令和7年7月)でも、心身の状況が変わることも考えて、必要な最小限の工事を行うよう求めています。
※ 介護保険の住宅改修は、工事を始める前に、市町村への申請が必要です。窓口や書類は変わることがあります。お住まいの市町村の窓口か、ケアマネジャーに確かめてください。
要介護認定の申請のしかたは「要介護認定はどう申請する?」をご覧ください。
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、今の暮らしとこれからの暮らしをうかがいながら、住まいの見直しを一緒に考えます。認定をまだ受けていない方も、申請の進め方からご案内します。介護保険の対象外の工事も、あわせてご相談いただけます。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。対応エリアは沖縄本島です(離島はご相談ください)。ご相談はお問い合わせからどうぞ。
よくある質問
答え:使えません。介護保険の住宅改修を使えるのは、要支援・要介護の認定を受けている方です。認定をまだ受けていない方も、申請の進め方からご案内しますので、お気軽にご相談ください。
答え:介護保険の住宅改修は、ご本人の今の心身の状況と住まいの状況から見て、必要な工事が対象です(那覇市の手引き)。将来に備えるための工事が対象になるかは市町村が決めるので、工事の前に、ケアマネジャーや市町村に確かめてください。
答え:国のガイドラインでは、8つの配慮のうち、温熱環境・外出のしやすさ・トイレと浴室の使いやすさ・生活空間をまとめることの4つを、特に重要としています。まずは、毎日よく使う場所から見てみましょう。
参考にした情報
- 高齢期に備え早めに住まいを改修しましょう!(報道発表 平成31年3月28日)(新しいタブで開きます)
- 高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン(新しいタブで開きます)
- 高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン(概要説明資料)(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第1章(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章(新しいタブで開きます)
- 介護保険における住宅改修(新しいタブで開きます)
- 介護保険住宅改修費支給申請の手引き(令和4年12月改定)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の住宅改修費支給申請について(令和7年7月)(新しいタブで開きます)