開き戸を引き戸にかえるには?
扉の取替えで介護保険が使える工事
開き戸は、開けるときに扉をよけたり、体の向きを変えたりする動きが入ります。杖や歩行器を使っていると、扉の開け閉めがしにくく感じる方もいるのではないでしょうか。
この記事は、毎日通る扉が使いにくくなってきたご本人に向けたものです。介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)の「引き戸などへの扉の取替え」でできる工事と、対象にならない部分、扉の幅の目安を、国と沖縄の市町村の資料をもとに紹介します。
開き戸で困りやすいこと
市町村の手引きのQ&Aには、扉で困っている例が出てきます。たとえば、沖縄市の案内(令和7年7月)では、次のような相談が取り上げられています。
- 今の扉が重く、体の状態から開け閉めが楽でない
- トイレの入口が狭く、車いすで通りにくい
- 扉の開く向きが、体の状態に合っていない
沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』では、玄関や寝室の入口は引き戸に、トイレは引き戸か外開きに、洗面所・脱衣所の出入口は引き戸か折れ戸にすることを勧めています。
国土交通省の指針(高齢者が住む家の設計の考え方)でも、扉は開け閉めしやすく、安全に配慮したものにすることが示されています。取っ手や引き手、鍵は使いやすい形にし、使いやすい位置に付けることも示されています。推奨レベル(より望ましい形)では、扉などのガラスで体にふれるおそれのあるものは、安全ガラスにすることも示されています。

介護保険の「扉の取替え」でできること
介護保険の住宅改修には、「引き戸等への扉の取替え」という種類があります。厚生労働省の通知と沖縄の市町村の手引きでは、次のような工事が含まれるとしています。

どれも、ご本人の体の状態に合わせるための工事であることが前提です。
開き戸を、引き戸などにかえる
開き戸を、引き戸・折戸・アコーディオンカーテンなどにかえる、扉全体の取替えです。
扉を取り外す
扉そのものを外す工事も含まれます。沖縄市の案内では、扉の開け閉めが難しいときは対象になり、外した扉の撤去や処分の費用も、付帯する工事として対象になるとしています。
ドアノブをかえる・戸車を付ける
握って回すドアノブを、レバーの形の取っ手にかえる工事や、引き戸に戸車を付ける工事も含まれます。
開く向きをかえる
扉そのものをかえなくても、体の状態に合わせて性能が変われば、扉の取替えとして対象になります。沖縄県介護保険広域連合の手引き(令和7年4月改正)のQ&Aでは、右開きの扉を左開きにかえる例を挙げています。沖縄市の案内では、内開きを外開きにかえる例も挙げています。
重い扉を、軽い扉にかえる
那覇市の手引き(令和4年12月改定)では、重くて開きにくい扉を、軽い素材の扉にかえる工事を、対象の例に挙げています。沖縄県介護保険広域連合の手引きでも、今の引き戸が重く、開け閉めが楽でないという理由があれば対象になるとしています。
門扉(もんぴ)の取替えも、引き戸などへの扉の取替えとして対象になると、沖縄県介護保険広域連合の手引きのQ&Aにあります。
対象にならない部分(自動ドアの動力など)
厚生労働省の通知では、引き戸などにかえるのにあわせて自動ドアにしたときは、自動ドアの動力の部分の費用は、対象にならないとしています。
市町村の手引きでも、次のような例は対象にならないとしています。
- 古くなったり壊れたりしたことが理由の、扉の取替え(那覇市の手引き)
- 今の引き戸が古くなったからという理由だけで、新しい引き戸にかえる工事(沖縄県介護保険広域連合の手引き)
蛇口をレバーの形にかえる工事は、扉の取替えには入りません。那覇市の手引きでは、蛇口の変更を対象にならない例に挙げています。
沖縄市の案内では、引き戸から引き戸、折れ戸から引き戸への変更も、古くなっただけなら対象にならず、体の状態にもとづく理由があれば検討できる、としています。
※ 介護保険で工事をするときは、工事の前に市町村への申請が必要です。対象になるかどうかは、市町村が決めます。
介護保険の住宅改修を使えるのは、要支援・要介護の認定を受けている方です。支給の対象になる工事費は20万円までで、自己負担はその1割から3割です(所得による)。扉の取替えと、手すりの取付けや段差の解消を組み合わせるときは、それらの工事費を合わせて20万円までと考えます。
工事の途中で、付ける扉の種類や位置を変えたくなったときも注意が要ります。沖縄市の案内では、承認のあとの工事の内容の変更は、大小にかかわらず、勝手に行うことは認められないとしています。変えたいときは、工事の前に必ずケアマネジャーに相談し、市町村に連絡します。
壁や柱の工事(付帯工事)
扉の形をかえると、まわりの壁や柱を直す工事が要ることがあります。厚生労働省の通知では、扉の取替えにともなう壁や柱の工事も、付帯する工事として対象になるとしています。
扉の幅の目安
扉をかえるときは、通れる幅も見ておきたいところです。国土交通省の指針では、ふだん使う出入口の幅を、基本は750ミリメートル以上(浴室は600ミリメートル以上)、推奨レベル(より望ましい形)では800ミリメートル以上としています。玄関と浴室の出入口は、開き戸なら扉の厚み、引き戸なら引き残し(開けたときに残る扉の部分)をのぞいた、実際に通れる幅で考えます。これは設計の指針で、守らないといけない決まりではありません。
沖縄県の手引書では、寝室の入口は引き戸にし、段差を作らないことも勧めています。扉の前後に段差があるときは、段差の解消の工事とあわせて考えると、通りやすくなります。
沖縄市の案内では、トイレの入口(間口)が狭くて車いすで通りにくいときに、間口を広げる工事も、体の状態にもとづく理由があれば対象になるとしています。
毎日通る扉から、相談する
扉の工事は、まず、毎日何度も通る扉から考えてみてください。トイレ・寝室・浴室・玄関の扉で、開け閉めに困っていないかを見てみてください。
相談するときは、次のことを伝えると話が進めやすくなります。
- どの扉で困っているか
- 開けるとき・閉めるときの、どの動きがつらいか
- 杖・歩行器・車いすを使っているか
- 扉の前後に段差があるか
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、扉を通る動きを見せていただきながら、扉の替え方を一緒に考えます。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。介護保険でできる工事はできる工事で、支給される額の目安は支給額チェックで確かめられます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。
扉の前の段差は「部屋の出入口の小さな段差はどうなくす?」で、浴室の出入口は「浴室の出入口の段差をなくすには?」で紹介しています。
よくある質問
答え:沖縄県介護保険広域連合の手引きのQ&Aでは、門扉の取替えは、引き戸などへの扉の取替えとして対象になるとしています。工事の前に市町村への申請が必要です。
答え:引き戸などへの取替えにあわせて自動ドアにするときは、自動ドアの動力の部分の費用は、介護保険の対象になりません。その分は自己負担になります。
答え:厚生労働省の通知では、扉の取替えに、扉の撤去も含まれるとしています。沖縄市の案内では、扉の開け閉めが難しいときは対象になるとしています。
答え:介護保険の住宅改修は、賃貸の家でも使える場合があります。家の持ち主がご本人でないときは、持ち主の承諾書が必要です。まずは大家さんや管理会社にご相談ください。