トイレの入口の段差、沖縄の家ではなぜ多い?
段差の解消と扉の替え方
トイレの入口で、つまずきそうになったことはありませんか。沖縄の家では、廊下よりトイレの床が少し低く、入口に段差があることがよくあります。
この記事は、トイレの段差や扉が気になってきたご本人に向けたものです。沖縄の家に段差が多いわけと、段差をなくす工事、扉の替え方、トイレの広さの目安を、沖縄県と国の資料をもとに紹介します。介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)で対象になる例も、市町村の手引きから紹介します。
沖縄の家で、トイレの床が低いことがあるわけ
沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』では、沖縄ではトイレを水で洗うのが一般的で、そのために廊下より床を下げたトイレが多い、と紹介しています。
ただ、入口の段差は、つまずく原因にもなります。消費者庁の調査(令和5年3月)では、家でけがをした、しそうになった場所として、階段に次いで「風呂場・脱衣所・洗面所・トイレ」が多く挙がりました。そこでの経験は「転んだ、つまずいた、すべった」が最も多かったとしています。国土交通省の指針(高齢者が住む家の設計の考え方)では、ふだん使う場所の床は、段差のない作り(5ミリメートル以下の段差は含む)にすることが基本として示されています。トイレも、ふだん使う場所に入ります。
手引書では、段差をなくす方法として、次の2つが紹介されています。
- すのこで高さを調整して、段差をなくす簡単な方法
- トイレの入口に、廊下と同じ高さの排水の溝(グレーチング)を付けて、はじめから段差をなくす方法

段差をなくす工事
介護保険の住宅改修には、「段差の解消」という種類があります。厚生労働省の通知では、居室・廊下・トイレ・浴室・玄関などの部屋のあいだの床の段差をなくす工事が、これに当たるとしています。
市町村の手引きでは、たとえば次のような例が挙げられています。
- トイレや浴室などの床の段差をなくす工事。あわせて行う給水や排水の工事、器具の高さの調整も対象(那覇市の手引き 令和4年12月改定)
- トイレのかさ上げ(床を高くする工事)など(沖縄市の案内 令和7年7月)
- 敷居を低くする、または取り除く工事(那覇市の手引き)
一方で、固定せずに置くだけの踏み台やスロープは、対象にならない例として、那覇市の手引きに挙がっています。すのこを使う方法も含めて、介護保険を使えるかどうかは、工事の前にケアマネジャーや市町村に確かめてください。
床の材料の選び方にも注意があります。宜野湾市の書類のチェックリストでは、トイレのかさ上げをするとき、コンクリートやタイルありきではなく、板の床材なども考えたかを確かめる、としています。
段差と一緒に、手すりも考える
国土交通省の指針では、トイレには、立ったり座ったりするための手すりを付けることが基本とされています。入口の段差を上り下りするときも、つかまる所があると安心です。
介護保険の「手すりの取付け」には、トイレに付ける手すりも入ります。那覇市の手引きでは、段差の上り下りや、立ち上がるときの支えにする手すりを、対象の例に挙げています。なお、沖縄市の案内では、トイレが2か所ある家は、主に使う1か所に付けるのが基本としています。
※ 介護保険で工事をするときは、工事の前に市町村への申請が必要です。対象になるかどうかは、市町村が決めます。
トイレの扉(引き戸・外開き・外から開けられる鍵)
沖縄県の手引書では、トイレの扉は、引き戸か外開き(外側に開く扉)にし、外から簡単に鍵を開けられるようにすることを勧めています。
介護保険の住宅改修には、「引き戸などへの扉の取替え」という種類もあります。厚生労働省の通知では、開き戸を引き戸・折戸・アコーディオンカーテンなどにかえる工事のほか、扉を取り外す、ドアノブをかえる、戸車を付ける工事も含まれます。
扉の形をかえるときに必要な、まわりの壁や柱を直す工事も、付帯する工事として対象になり得ます。一方で、古くなったり壊れたりしたことが理由の扉の取替えは、対象にならない例として、那覇市の手引きに挙がっています。
扉そのものをかえなくても、対象になる例があります。沖縄市の案内では、体の状態に合わせて、右開きを左開きに、内開きを外開きにかえる工事も、対象になるとしています。
国土交通省の指針でも、扉は開け閉めしやすく、取っ手や引き手、鍵は使いやすい形で、使いやすい位置に付けることが示されています。
トイレの広さと、介助のスペース
介助を受けるようになると、トイレの広さも大切になります。国土交通省の指針では、ふだん使うトイレの広さについて、次のどちらかを基本としています。
- トイレの長いほうの辺が、内側の寸法で1,300ミリメートル以上
- 便器の前か横に、壁まで500ミリメートル以上のすき間がある(扉を開けて確保できる分も含む)

推奨レベル(より望ましい形)では、短いほうの辺を1,300ミリメートル以上にするか、便器のうしろの壁から便器の先までの長さに、500ミリメートルを足した長さ以上にするとしています。この数字は設計の指針で、守らないといけない決まりではありません。沖縄県の手引書でも、トイレには介助する方が動きやすいスペースをとるよう勧めています。
トイレを広げる工事そのものは、介護保険の住宅改修の種類にはありません。国の通知では、トイレを広げるのにあわせて和式便器を洋式便器にかえるときは、便器の取替えの費用だけが対象になり得る、としています。
ただ、市町村によって扱いが違うこともあります。たとえば沖縄市の案内では、トイレの入口(間口)が狭くて車いすで通りにくいときに、間口を広げる工事も、体の状態にもとづく理由があれば対象になるとしています(扉の取替えの項目)。
トイレの困りごとを伝えて相談する
トイレの段差や扉は、家のつくりによって直し方が変わります。相談するときは、次のことを伝えると話が進めやすくなります。
- 入口の段差で、つまずいたことがあるか
- 扉の開け閉めで、困っていることはあるか
- 便器に座るときや立つときに、つかまる所があるか
- 夜中にトイレへ行くことがあるか
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、トイレまでの動きをうかがいながら、段差や扉の直し方を一緒に考えます。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。介護保険で何ができるかはできる工事で、支給される額の目安は支給額チェックで確かめられます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。
扉の替え方は「開き戸を引き戸にかえるには?」で、部屋の出入口の段差は「部屋の出入口の小さな段差はどうなくす?」でくわしく紹介しています。
よくある質問
答え:段差の解消として対象になる場合があります。那覇市の手引きでは、トイレや浴室などの床の段差をなくす工事が、対象の例として挙げられています。工事の前に市町村への申請が必要です。
答え:厚生労働省の通知では、引き戸などへの扉の取替えに、ドアノブをかえる工事も含まれるとしています。対象になるかどうかは、市町村が決めます。
答え:広げる工事そのものは、住宅改修の種類にありません。国の通知では、トイレを広げるのにあわせて和式便器を洋式便器にかえるときは、便器の取替えの費用だけが対象になり得るとしています。入口を広げる工事の扱いは市町村によって違うので、窓口に確かめてください。
答え:手すりの取付けとして、対象になる場合があります。厚生労働省の通知では、手すりを付ける場所の例に、廊下・トイレ・浴室・玄関などを挙げています。工事の前に市町村への申請が必要です。
参考にした情報
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 住環境における高齢者の安全等に関する調査 報告書(令和5年3月)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて(老企第34号)(新しいタブで開きます)
- 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について(老企第42号)(新しいタブで開きます)
- 介護保険住宅改修費支給申請の手引き(令和4年12月改定)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の住宅改修費支給申請について(令和7年7月)(新しいタブで開きます)
- 住宅改修 必要書類のチェックリスト(事前申請・事後申請)(新しいタブで開きます)