お風呂で使う福祉用具には何がある?
入浴用いす・浴槽用手すり・入浴台
「浴槽をまたぐのが不安」「洗い場で座って体を洗いたい」。そんな相談を受けたとき、工事をしなくても、お風呂で使う道具で解決できることがあります。
介護保険では、お風呂で使う道具の一部を「入浴補助用具」として、買うときの費用の一部が支給されます。この記事では、ケアマネジャーの方に向けて、入浴補助用具の7つの種類と、それぞれの決まり、工事(住宅改修)との分け方をまとめました。どの用具が体に合うかは、ご本人の状態を見て、福祉用具の専門の相談員などと一緒に選んでください。
介護保険で買える「入浴補助用具」7つ
入浴補助用具は、介護保険の「特定福祉用具販売」(買うときに支給される福祉用具)の種類の1つです。厚生労働省の告示と通知では、入浴補助用具として、次の7つが決められています。

入浴補助用具とは別に、空気式や折りたたみ式などで持ち運べる「簡易浴槽」も、購入の対象です(部屋の中で入浴できるものに限る)。
福祉用具には、借りるもの(福祉用具貸与)と、買うもの(特定福祉用具販売)があります。入浴や排せつに使う道具は、借りるしくみになじまないので、買うしくみになっています(介護サービス情報公表システムの説明による)。
買うときの決まりは、次のとおりです(介護サービス情報公表システムの説明による)。
- 介護保険の対象になるのは、福祉用具販売の指定を受けた事業者が売るもの
- 支払いは、いったん全額を払い、あとで費用の9割(所得によって8割か7割)が介護保険から払い戻される(沖縄県介護保険広域連合のように、登録した事業者なら自己負担の分だけを払えばよい「受領委任払い」がある所もあります)
- 同じ年度で買えるのは10万円まで(1割負担の方なら、9万円が介護保険から支給される)
厚生労働省の案内では、福祉用具販売の事業者と相談して買い、お住まいの市町村に支給の申請をするとしています。ケアプランを作っている方は、ケアマネジャーにも前もって相談します。年度10万円のしくみは「介護保険で福祉用具を買うときは?」でくわしく紹介しています。
※ 購入費の申請の書類や受け取り方は、市町村によって違います。窓口や書類は変わることがあります。お住まいの市町村の窓口か、ケアマネジャーに確かめてください。
浴槽の出入りを助けるもの(浴槽用手すり・入浴台・浴槽内いす・浴槽内すのこ)
用具を選ぶ前に、お風呂のどの場面で困っているかを整理しておくと、合う用具が見つけやすくなります。厚生労働省が示している「住宅改修が必要な理由書」の様式では、入浴の動きとして、浴室までの移動、服の着脱、浴室の出入口の出入り、浴室の中での移動や立ち座り、洗い場で姿勢を保つこと(体や髪を洗う)、浴槽の出入り、浴槽の中で姿勢を保つことが挙げられています。
浴槽に入ったり出たりする動きを助ける用具は、4つあります。厚生労働省の通知では、それぞれ次のものに限るとしています。
- 浴槽用手すり:浴槽の縁をはさみ込んで固定できるもの
- 入浴台:浴槽の縁にかけて、浴槽への出入りをしやすくするもの
- 浴槽内いす:浴槽の中に置いて使えるもの
- 浴槽内すのこ:浴槽の中に置いて、浴槽の底の高さを補うもの
国土交通省の指針では、浴室には、浴槽に出入りするための手すりを付けることが基本とされています。さらに配慮した推奨レベルでは、浴室の出入り、浴槽の中での立ち座りと姿勢を保つこと、洗い場での立ち座りのための手すりも挙げられています。浴槽の縁をはさんで固定する手すりなら、壁に工事をしなくても、浴槽の出入りのときにつかまる所をつくれます。
洗い場で使うもの(入浴用いす・浴室内すのこ)と入浴用介助ベルト
洗い場で使う用具と、介助に使う用具の決まりは、次のとおりです。
- 入浴用いす:座る面の高さが、おおむね35cm以上のものか、リクライニングの機能があるものに限る
- 浴室内すのこ:浴室の中に置いて、浴室の床の段差をなくせるものに限る
- 入浴用介助ベルト:ご本人の体に直接巻いて使い、浴槽への出入りなどを手伝いやすくするものに限る
入浴用いすは、高さの決まりがあるので、選ぶときに座面の高さを確かめましょう。福祉用具の貸し出しにも「介助用ベルト」がありますが、入浴用介助ベルトは貸し出しの対象から外れ、購入の対象です。
工事(住宅改修)とどう分けるか
お風呂の困りごとには、工事で解決する方法と、道具で解決する方法があります。介護保険では、工事は「住宅改修」、道具は「福祉用具」と、しくみが分かれています。

たとえば、次のように分かれます(厚生労働省の通知と、市町村の手引きによる)。
- 壁にねじなどで付ける手すり:住宅改修(手すりの取付け)
- 浴室の床のかさ上げ:住宅改修(段差の解消)
- 浴室の床をすべりにくいものにかえる:住宅改修(床材の変更)
- 浴槽を、またぎやすいものに取り替える:住宅改修(段差の解消)として対象になる例がある(那覇市の手引き)
- 浴室内すのこを置いて段差をなくす:福祉用具の購入(住宅改修の対象外)
沖縄県介護保険広域連合の手引き(令和7年4月改正)にある国のQ&Aでは、床の段差をなくすために、浴室内のすのこを作って置く場合も、住宅改修ではなく福祉用具の購入の対象としています。
同じQ&Aでは、工事で浴室の床をかさ上げしたことで、蛇口の下に洗面器が入らなくなったときの蛇口の位置の変更や、浴槽の底との高さの差が大きくなったときの浴槽のかさ上げ・取替えも、段差の解消に付帯する工事として対象にしてよいとしています。床を上げる工事は、浴槽や蛇口の使い方にもかかわるので、用具と一緒に考えます。
住宅改修は工事費20万円まで、福祉用具の購入は年度10万円までと、上限も別です。浴室の手すりの付け方は「浴室の手すりはどこに付ける?」、浴室の出入口の段差は「浴室の出入口の段差をなくすには?」で紹介しています。
ケアマネジャーと福祉用具専門相談員に相談して選ぶ
福祉用具を選ぶときは、福祉用具専門相談員に相談できます。厚生労働省の説明では、福祉用具専門相談員は、ご本人の希望や体の状態、家の環境をふまえて福祉用具を選び、使い方なども含めて合わせる専門職です。福祉用具の貸与や販売の事業所にいます。
用具と工事のどちらが合うか、組み合わせるかは、浴室の広さや浴槽の形、介助する人がいるかどうかでも変わります。沖縄県の手引書では、浴槽はまたぎやすい高さにし、浴槽に移るための台があると便利だと紹介されています。浴室を見たうえで、ケアマネジャー・福祉用具専門相談員・工事の事業者が話し合って決めると、ちぐはぐになりません。
かなさホームは、介護保険の住宅改修(工事)をお受けしています。介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、福祉用具とあわせた浴室の使い方もうかがいながら、工事の内容をご提案します。「ケアマネジャーの方へ」もご覧ください。
よくある質問
答え:対象になるのは、座る面の高さがおおむね35cm以上のものか、リクライニングの機能があるものです。指定を受けた事業者から買う必要もあります。
答え:住宅改修ではありません。浴室の床の段差をなくすために置くすのこは、福祉用具の購入の対象です。
答え:同じ年度で10万円までです。1割負担の方なら、9万円が介護保険から払い戻されます。住宅改修の20万円とは別の枠です。
答え:浴槽の縁をはさむ浴槽用手すりは福祉用具の購入、壁に工事で付ける手すりは住宅改修の対象です。浴槽や壁の様子、困っている動きによって合うものが変わるので、浴室を見て決めます。
参考にした情報
- 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて(老企第34号)(新しいタブで開きます)
- 厚生労働大臣が定める特定福祉用具販売に係る特定福祉用具の種目及び厚生労働大臣が定める特定介護予防福祉用具販売に係る特定介護予防福祉用具の種目(平成11年厚生省告示第94号)(新しいタブで開きます)
- 居宅介護福祉用具購入費支給限度基準額及び介護予防福祉用具購入費支給限度基準額(平成12年厚生省告示第34号)(新しいタブで開きます)
- どんなサービスがあるの? – 特定福祉用具販売(新しいタブで開きます)
- 福祉用具購入費及び住宅改修費の受領委任払い制度について(新しいタブで開きます)
- 福祉用具・住宅改修(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 介護保険 住宅改修の手引き(令和7年4月改正)(新しいタブで開きます)
- 介護保険住宅改修費支給申請の手引き(令和4年12月改定)(新しいタブで開きます)