和式トイレを洋式にするには?
介護保険の対象になる工事とならない工事
和式のトイレで、しゃがんだり立ち上がったりするのがつらくなってきた。そんなとき、洋式のトイレにかえる工事に、介護保険を使える場合があります。
この記事では、和式から洋式への便器の取替えで、介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)の対象になる工事と、ならない工事を、国と市町村の資料をもとに紹介します。あわせて考えたい手すりや床の工事もまとめました。
和式のトイレで困りやすいこと
和式のトイレは、深くしゃがむ動きと、そこから立ち上がる動きが必要です。毎日、何度も使う場所なので、この立ったり座ったりの動きを負担に感じる方もいます。洋式の便器にすると、腰掛けて使えるので、立ち座りが楽になります。
国土交通省の「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」では、ふだん使うトイレの便器は腰掛け式(洋式)にすることが、どの家にも勧める基本とされています。トイレには、立ったり座ったりするための手すりを付けることも示されています。
沖縄の家ならではの事情もあります。沖縄県の手引書では、トイレを水で洗う習慣から、廊下より床を低くしたトイレが多いと紹介されています。便器を替えるときは、出入口の段差もあわせて見ておくと安心です。
介護保険で対象になる便器の取替え
介護保険の住宅改修には、6つの種類があります。その1つが「洋式便器等への便器の取替え」です。厚生労働省の通知では、次のような工事が考えられるとしています。
- 和式の便器を、洋式の便器に取り替える
- 今ある便器の、位置や向きを変える
和式の便器から、暖房便座や洗浄の機能が付いた洋式の便器に替える工事も、対象に含まれます。沖縄県介護保険広域連合の手引き(令和7年4月改正)にある国のQ&Aでも、洗浄便座と一体になった洋式便器を付けるときは、対象に含めて差し支えないとしています。
便器の取替えにともなって必要になる工事も、付帯工事として対象です。たとえば次のようなものです。
- 便器の取替えにともなう給水・排水の設備の工事(水洗にする部分は除く)
- 便器の取替えにともなう床材の変更
すでに洋式の便器でも、ご本人に合った高さにするために便器をかさ上げしたり、高さのある便器に替えたりする工事は、適切な理由があれば対象になり得るとされています(同じQ&A)。古くなったから替える、という理由は対象になりません。
対象にならない工事(洋式に機能を足すだけ・水洗にする部分)
便器にかかわる工事でも、次のようなものは介護保険の対象になりません。

- すでに洋式の便器に、暖房便座や洗浄の機能を付け足すだけの工事
- くみ取り式の和式便器を水洗の洋式便器にするときの、水洗にする部分の費用
- 和式便器の上に置いて使う便座(腰掛便座)を置くこと。これは住宅改修ではなく、福祉用具の購入の対象です
- 古くなったことが理由の取替え
市町村の手引きには、もう少しくわしい例もあります。
- 那覇市(令和4年12月改定):トイレの中のコンセントを増やすなどの電気の配線の工事は、対象にならない
- 沖縄市(令和7年7月):洗浄機能付きの一体型の便器に替えるときも、それにともなう電気の工事は対象にならない。今の和式便器をそのままにして、別の場所に洋式便器を新しく付けるのは「取替え」に当たらない。和式便器を取り壊して別の場所に洋式便器を付けるときは、和式のトイレの撤去・処分と洋式便器を付ける費用だけが対象で、壁や扉を新しく作る工事や排水の設備の工事は対象にならない
※ どの工事が対象になるかは、市町村が決めます。窓口や書類は変わることがあります。お住まいの市町村の窓口か、ケアマネジャーに確かめてください。
一緒に考えたい手すり・床・扉
便器を替えるときは、トイレ全体の使いやすさもあわせて考えると、工事が一度で済みます。介護保険の住宅改修では、次のような工事もトイレで使えます。

トイレの広さ
和式から洋式にかえると、便器のまわりの使い方も変わります。国の指針では、ふだん使うトイレの広さの目安として、次のどちらかを満たすことを基本としています。
- トイレの長い方の辺が、内側の寸法で1,300mm以上ある
- 便器の前か横に、壁まで500mm以上のあきがある
トイレがせまいときに、増築でトイレを広げることもあるかもしれません。厚生労働省の通知では、トイレを広げるのにあわせて和式便器を洋式便器に替えるときは、便器の取替えの費用だけが住宅改修の対象になり得るとしています。広げる工事そのものは対象になりません。
手すり
国の指針では、トイレには立ったり座ったりするための手すりを付けることが基本です。手すりの位置や形は「トイレの手すりはどこに付ける?」で紹介しています。
床の段差の解消
那覇市の手引きでは、トイレや浴室の床の段差をなくす工事が対象の例に挙げられ、それにともなう給水・排水の工事や器具の高さの調整も対象としています。沖縄の家に多い、床の低いトイレについては「トイレの入口の段差、沖縄の家ではなぜ多い?」をご覧ください。
扉
沖縄県の手引書では、トイレの扉は引き戸か外開きにして、外から開けられるようにすることが勧められています。開き戸を引き戸にかえる工事も、住宅改修の対象です。
工事をせずに使える方法もあります。和式の便器の上に置く腰掛便座や、ポータブルトイレは、福祉用具の購入の対象です。くわしくは「夜のトイレが心配なときは?」で紹介しています。
便器を替えたいと思ったら、まずケアマネジャーに相談する
介護保険で便器を替えるときは、工事の前に、市町村への申請が必要です。対象になる工事費は20万円までで、自己負担は1〜3割です。トイレの工事で20万円を全部使うと、ほかの場所の工事に使える分が残らないので、家全体で何が必要かを考えて決めます。
まずは、ケアマネジャー(要支援の方は地域包括支援センター)に、トイレで困っていることを伝えてください。申請には、ケアマネジャーなどが作る「住宅改修が必要な理由書」と、工事の事業者が作る見積書・図面・工事の前の写真などが必要です(那覇市の手引きによる)。ご自分の場合の支給額の目安は支給額チェックで、介護保険で使える工事はできる工事で確かめられます。
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、立ったり座ったりする動きをうかがいながら、便器や手すりの工事をご提案します。現地調査とお見積りは無料です。沖縄本島に対応しています(離島はご相談ください)。ご相談はお問い合わせからどうぞ。
よくある質問
答え:和式の便器から替えるときは、暖房便座や洗浄の機能が付いた洋式の便器も、介護保険の対象に含まれます。ただし、それにともなう電気の工事は対象にならない市町村があります。
答え:対象になりません。すでに洋式の便器に、暖房便座や洗浄の機能を付け足すだけの工事は、介護保険の住宅改修に含まれません。
答え:買えます。和式の便器の上に置いて腰掛け式にするものは「腰掛便座」という福祉用具で、介護保険の購入の対象です。工事をする住宅改修とは別のしくみです。
答え:便器をかさ上げする工事や、ご本人に合った高さの便器に替える工事は、適切な理由があれば住宅改修の対象になり得ます。工事をせずに、便器の上に置いて高さを補う便座を使う方法もあり、こちらは福祉用具の購入の対象です。
参考にした情報
- 厚生労働大臣が定める居宅介護住宅改修費等の支給に係る住宅改修の種類(平成11年厚生省告示第95号)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて(老企第34号)(新しいタブで開きます)
- 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について(老企第42号)(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章(新しいタブで開きます)
- 介護保険住宅改修費支給申請の手引き(令和4年12月改定)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の住宅改修費支給申請について(令和7年7月)(新しいタブで開きます)
- 介護保険 住宅改修の手引き(令和7年4月改正)(新しいタブで開きます)