退院が決まったら、家に戻る前に何をする?
入院中の住宅改修の進め方
ご家族の入院中に、退院の日が決まると、「今の家で暮らせるだろうか」と心配になる方は多いと思います。手すりや段差の工事は、退院の前に済ませておきたいものです。
この記事は、入院中の方を担当するケアマネジャーの方と、ご家族に向けたものです。入院中に介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)を進めるときの順番と注意を、厚生労働省の通知と、沖縄の市町村の手引きをもとにまとめました。医療の手続きのことは、病院の担当の方にご確認ください。
入院中でも、退院後の家のための住宅改修を進められる
住宅改修は、家で暮らしている方のための制度です。沖縄県介護保険広域連合の手引き(令和7年4月改正)でも、入院・入所中の方は、原則として対象にならないとしています。
ただし、退院したあとの家を、前もって直しておくことも必要です。同じ手引きのQ&Aでは、事前に市町村に確かめたうえで工事をし、退院したあとに支給を申請することは差し支えない、としています。国の通知でも、退院後に家で受け入れるため、前もって工事を始める必要がある場合などを、「やむを得ない事情」の例に挙げています。
沖縄の市町村の手引きでは、次のように案内されています。
- 那覇市の手引き(令和4年12月改定):退院して家での暮らしに戻る予定なら、退院の前に、工事の前の申請と工事ができます
- 沖縄市の案内(令和7年7月):退院の予定が決まっていて、工事をしないと家での暮らしに困ると判断できるときは、入院中でも工事の前の申請と着工ができます
一方で、病院や施設から一時的に外泊して家に戻るための工事は、対象にならないとされています(那覇市の手引き・沖縄市の案内)。
入院中に、はじめて要介護認定を申請したとき
入院中に、はじめて要介護認定(介護がどのくらい必要かを市町村が決めること)を申請する方もいます。那覇市の手引きや沖縄市の案内では、認定の申請中でも、工事の前の申請と工事ができるとしています。支給の申請は、認定の結果が出たあとです。
認定の結果が「自立」(非該当)だったときは、支給されません。認定の申請のしかたは「要介護認定はどう申請する?」で紹介しています。
申請と支給の順番
入院中に進めるときも、工事の前に市町村へ申請し、市町村の連絡を受けてから工事を始めます。違うのは、支給の申請をする時期です。

那覇市の手引きと沖縄市の案内では、支給の申請は、退院して実際に家での暮らしに戻ったあとに行います。浦添市の案内では、入院中に工事をしたときは、工事が終わったことの証明を出すときに、退院証明書(または退所証明書)も出す必要があるとしています。
支払いの方法にも違いがある
工事費の払い方には、全額をいったん払う「償還払い」と、自己負担の分だけを払う「受領委任払い」があります。入院中の扱いは、市町村によって違います。
- 沖縄県介護保険広域連合の手引き:入院・入所中の方は、受領委任払いを使えません。支給の申請は、退院したあとに償還払いで行います
- 那覇市の手引き・浦添市の案内:入院中の方は受領委任払いを使えませんが、退院の予定がある方は除く、としています
※ 窓口や書類、払い方の決まりは変わることがあります。お住まいの市町村の窓口か、ケアマネジャーに確かめてください。
退院の日に間に合わせるために
退院してからの暮らしは、入院の前と変わることがあります。那覇市の手引きでは、退院に合わせて工事を計画するときも、一時帰宅などのときに、ご本人の家での動きや、ご本人の思いを必ず確かめるよう求めています。
宜野湾市の注意事項(令和7年3月)でも、退院の前後は体の状態が変わることが考えられるため、主治医や理学療法士・作業療法士などから情報を集め、家屋調査の評価なども参考にすることが望ましいとしています。
日程にも余裕が要ります。たとえば沖縄県介護保険広域連合の手引きでは、工事の前の申請を出してから、審査に1〜2週間ほどかかるとしています。退院の日が分かったら、早めに次のことを始めると進めやすくなります。
- ケアマネジャーと病院の担当の方で、退院後の暮らし方を話し合う
- ご家族の立ち会いで、家の段差・トイレ・浴室・玄関を見てもらう
- 工事の内容と見積もりを決め、理由書などの書類をそろえる
- 工事の前に、市町村へ申請する
宜野湾市の書類のチェックリストでは、入院中の方の理由書に、入院した日と退院の予定日を書くことになっています。退院後に使う福祉用具(車いすや歩行器など)や、寝る部屋が決まっていれば、工事の事業者にも早めに伝えてください。
国土交通省の指針(高齢者が住む家の設計の考え方)でも、家を改修するときは、必要に応じて介助する方や、理学療法士・作業療法士などの意見を聞くことが望ましいとしています。工事が終わったら、ご本人や介助する方が実際に使ってみて確かめることも勧めています。
工事が退院に間に合わないときは、工事のいらない福祉用具を借りる方法もあります。置いて使う手すりやスロープなどです(「介護保険で借りられる福祉用具は?」)。
退院できなかったときの扱い
工事をしたあとに、退院できなかったときは、支給されません。那覇市の手引きや沖縄市の案内にも、そのことが書かれています。このことを分かったうえで、計画を立てるよう求めています。

沖縄市の案内では、ほかにも次のように説明しています。
- 申請のあと、退院が長引いて工事を見合わせるときや、体の状態が変わりそうなときは、いったん申請を取り下げる。退院が決まってから、あらためて体の状態を確かめ、計画を立て直す
- 承認のあとは、できるだけ早く工事を始める。遅くても3か月以内に着工し、それより延びそうなときは、いったん取り下げる
- 工事を始めたあとに、急に入院して退院の見通しが立たないときは、入院するまでにできた部分が、支給の対象になる
退院の日が分かったら、早めに連絡する
入院中の住宅改修は、退院の日・審査の日数・工事の日程を合わせることが大切です。退院の予定が見えてきたら、早めにケアマネジャーと工事の事業者に伝えてください。
病院で家の調査(家屋調査)をしてもらったときは、その結果も共有してください。宜野湾市の注意事項でも、家屋調査の評価などを参考にした改修が望ましいとしています。手すりの位置や段差の直し方を決めるときの手がかりになります。
かなさホームでは、利用者さまの入院中のご相談も受け付けています。退院の日に合わせて、ご家族の立ち会いで現地調査をし、工事の日程を組みます。申請に使う見積書・図面・工事前の写真も用意します。急ぎの場合はお電話ください。
ケアマネジャーの方は「ケアマネジャーの方へ」もご覧ください。ご家族からのご相談はお問い合わせから受け付けています。ケアマネジャーがまだ決まっていないときは「ケアマネジャーはどうやって探す?」をご覧ください。
よくある質問
答え:はい。退院の日に合わせて、ご家族の立ち会いで現地調査をし、工事の日程を組みます。急ぎの場合はお電話ください。
答え:市町村によって違います。たとえば沖縄県介護保険広域連合の手引きでは、入院・入所中の方は使えないとしています。那覇市の手引きや浦添市の案内では、退院の予定がある方は除くとしています。
答え:沖縄市の案内では、工事を始めたあとに急に入院し、退院の見通しが立たないときは、入院するまでにできた部分が支給の対象になるとしています。ケアマネジャーと市町村の窓口にご相談ください。
答え:市町村によって違います。たとえば浦添市の案内では、入院中に工事をしたときは、工事が終わったことの証明を出すときに、退院証明書か退所証明書も出す必要があるとしています。
参考にした情報
- 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について(老企第42号)(新しいタブで開きます)
- 介護保険における住宅改修(新しいタブで開きます)
- 介護保険住宅改修費支給申請の手引き(令和4年12月改定)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の住宅改修費支給申請について(令和7年7月)(新しいタブで開きます)
- 介護保険 住宅改修の手引き(令和7年4月改正)(新しいタブで開きます)
- 介護保険福祉用具及び住宅改修の受領委任払いについて(登録事業者一覧表)(新しいタブで開きます)
- 住宅改修 必要書類のチェックリスト(事前申請・事後申請)(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 過去の事例から確認された住宅改修の注意事項(令和7年3月)(新しいタブで開きます)