屋根や屋上の塗り替えを考えはじめると、「遮熱塗料」という言葉をよく目にします。夏の日差しが強い沖縄では、気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、遮熱塗料が日差しの熱をはね返すしくみと、屋根用の遮熱塗料の規格や基準、色の明るさや屋根の材料によって効果がどう変わるかを、日本塗料工業会や塗料メーカー、沖縄県の資料をもとに紹介します。
遮熱塗料が日差しの熱をはね返すしくみ
日本塗料工業会の資料によると、太陽の光のエネルギーは、紫外線が約3%、目に見える光(可視光線)が約47%、赤外線が約50%を占めます。このうち太陽の光に含まれる赤外線は「近赤外線」とよばれ、物にいちばん吸収されやすく、吸収されると熱に変わります。
遮熱塗料(日本塗料工業会の資料での名前は「高日射反射率塗料」)は、この近赤外線を高いレベルではね返して、塗膜(塗料が乾いてできる膜)と、塗った屋根などの温度が上がるのを抑える塗料です。
同じ資料では、同じ灰色の一般の塗料と遮熱塗料を比べた例が示されています。目に見える光のはね返り方はほぼ同じなので、見た目の色は同じです。一方で、近赤外線は遮熱塗料のほうがずっと多くはね返します。この差が、遮熱の効果になります。

屋根用の遮熱塗料の規格と基準
屋根用の遮熱塗料には、日本産業規格の「JIS K 5675 屋根用高日射反射率塗料」があります。平成23年(2011年)に制定された規格で、建物の屋根と屋上に塗る塗料を対象にしています。防水層の仕上げとして塗る塗料と、焼き付けて仕上げる塗料は、この規格の対象外です。
日本塗料工業会は、屋根用の遮熱塗料の性能を星の数で表す、業界の自主的な基準もつくっています。太陽の熱が塗膜で全部熱になって室内に入るときを1.0として、どのくらい入るか(日射侵入比)で比べます。星1つは0.8以下、星3つは0.4以下です。日射侵入比の測り方はJIS(JIS K 5603)で決められていて、基準に合うとして登録された製品は、日本塗料工業会のホームページで確かめられます。
色の明るさで変わる効果
日本ペイントは、遮熱塗料の性能は色ごとに違い、一般に明るい色(白〜淡い色)ほど遮熱の効果も高くなると説明しています。
日本塗料工業会の基準では、色の明るさを「L値」という数値で3つに分けています。L値が大きいほど、白に近い色です。

黒などの暗い色は、太陽の光をよく吸収して熱に変えます。白は、一般の塗料でも日射侵入比が0.5ぐらいになるほど、光をはね返しやすい色です。そこで日本塗料工業会の星の基準は、同じ色の一般の塗料と比べて決めるしくみになっています。白の遮熱塗料には、星3つの区分しかありません。暗い色でも、遮熱塗料なら、同じ色の一般の塗料より熱が入りにくくなります。
明るい色は、まぶしさにも配慮する
明るい色ほど、光もよくはね返します。日本ペイントは、建物の位置関係によっては反射した光でまぶしくなり、近所との光のトラブルになることがあるとしています。
沖縄県の資料でも、屋上の遮熱塗料は白が最も遮熱の効果が高い一方で、日差しの反射による周りへの影響が心配されるため、グレー系にするなど色に配慮が必要とされています。日本塗料工業会の調べでは、日本の戸建て住宅の屋根の95%以上が、L値40以下の暗い色でした。戸建ての屋根は、暗めの色の中から遮熱塗料を選ぶ、という考え方も紹介されています。
屋根の材料や断熱で変わる、効果の感じ方
日本ペイントによると、トタン板や波形のスレート板でふいた昔ながらの工場や倉庫の屋根は、遮熱の効果を実感しやすいとされています。一般の住宅では、色や、建物の断熱のつくり、窓などの位置・大きさ・数・材質によって、効果はまちまちです。
日本塗料工業会の資料では、屋根・屋上の材料と、断熱材があるかどうかで、建物の省エネの効果を次のように整理しています。
- コンクリートの屋上:断熱材がないときは「非常に効果あり」、断熱材があるときは「効果は小さい」
- 金属の屋根:断熱材がないときは「非常に効果あり」、断熱材があるときは「効果あり」
- スレートの屋根:断熱材がないときは「非常に効果あり」
断熱材がある屋上で効果が小さいのは、断熱材で室内に入る熱が、もともと大きく抑えられているためです。それでも、屋上の表面の温度が上がりにくくなるので、まちの気温が上がるのを抑える効果(ヒートアイランドの対策)は大きいとされています。
実験で確かめられた例
日本塗料工業会の資料には、日本建築仕上材工業会の研究会が行った、実際の建物での実験も載っています。建築研究所(つくば市)の屋外の試験場にある長屋の実験棟の2室で、一方に遮熱塗料、もう一方に一般の塗料を塗り、エアコンを28℃に設定して比べたところ、電力量が約7%減ったという結果です。部屋の広さは7.7畳、測ったのは2008年8月の2週間です。
同じ資料では、日射をはね返す割合(日射反射率)と温度の関係を調べた実験で、両者の関係がとても強いことも示されています。どのくらい涼しくなるかは、建物や条件によって変わります。数字は、こうした条件とあわせて受け止めることが大切です。
塗り直しと、下塗りのこと
沖縄県の資料では、屋上の遮熱塗料は、新しい建物だけでなくいまの建物にも塗ることができる一方、沖縄では紫外線や台風などの厳しい自然条件にさらされるため、こまめな手入れや塗り直しが必要とされています。
また日本ペイントは、同社の遮熱塗料を専用の下塗りと組み合わせない場合、下塗りの種類や色によっては、遮熱の効果が最大20%程度下がるおそれがあるとしています。どの下塗りと組み合わせるかも、遮熱塗料の性能を生かすうえで大切です。
遮熱塗料を選ぶときに確かめたいこと
ここまでの内容を、選ぶときのチェックポイントとしてまとめます。
- 色の明るさ:明るいほど効果は高くなります。同じ色の一般の塗料と比べた、日本塗料工業会の星の数も目安になります
- 屋根・屋上の材料と断熱:金属の屋根や、断熱材のないコンクリートの屋上は、効果が大きいとされています
- まぶしさと景観:白に近い色は、反射した光が近所の迷惑にならないかも考えます
- 塗り直しの手間:沖縄の紫外線や台風にさらされるので、こまめな手入れが必要です
- 下塗りとの組み合わせ:上塗りだけでなく、下塗りの種類や色も確かめます
遮熱塗料を相談する
遮熱塗料は、熱になりやすい日差しをはね返して、屋根の温度が上がるのを抑える塗料です。効果の出方は、色の明るさや屋根の材料、断熱のつくりで変わります。色は、まぶしさや景観も考えて選びます。
屋根の塗り替えの内容は屋根塗装のページで紹介しています。TRUSS の屋上の防水工事では、仕上げに遮熱のトップコートを使うこともできます。防水工事の内容は防水工事のページで紹介しています。カラーシミュレーションでは、屋上の色に「グレー(遮熱)」「ホワイト(遮熱)」を選んで、塗り替えたあとの家を確かめられます。塗料ごとの長い目で見た費用は、塗料グレード比較で比べられます。
最上階の暑さ対策は「最上階が暑い家の屋根・屋上の暑さ対策」、塗料の種類のちがいは「外壁の塗料はどう選ぶ?」、屋根の塗装の下準備は「屋根塗装の工程」で紹介しています。
屋根や屋上の状態が気になるときは、写真を送るだけで担当者が状態をお返しする写真で無料診断をご利用ください。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。お問い合わせからどうぞ。
よくある質問
遮熱塗料は日差しの熱をはね返すため、屋根の表面の温度が上がりにくくなります。感じ方は建物によって違いますが、最上階の暑さがやわらいだというお声をいただいています。
日本ペイントによると、冬の遮熱の効果は、夏に比べて小さくなる傾向があります。冬は日差しの角度が低く、日照時間も短いうえ、寒さは主に夜に感じるためです。
明るい色ほど効果は高くなりますが、暗い色でも、同じ色の一般の塗料より熱をはね返す遮熱塗料があります。日本塗料工業会は、戸建ての屋根は暗い色が多いため、その中から遮熱塗料を選ぶ考え方を紹介しています。色は、まぶしさや景観も考えて選びましょう。