外壁塗装の見積もりでは、「シリコン」「フッ素」「無機」など、塗料のグレードを選ぶように言われることがよくあります。名前は聞いたことがあっても、何がちがうのかは分かりにくいものです。
この記事では、塗料の性能を決める「樹脂」のしくみと、外壁でよく使われる5つの塗料のちがい、JIS(日本産業規格)の耐候性の等級、1回の費用と長い目で見た費用の考え方を、塗料メーカーと国の資料をもとに紹介します。塗料のグレードで迷っている方に読んでいただきたい内容です。
塗料の性能を決めるのは「樹脂」
塗料メーカーの日本ペイントは、塗料は「顔料」「樹脂」「添加剤」「溶媒」の4つの成分でできていると説明しています。
- 顔料:塗料の色をつくります。さびを防ぐものもあります
- 樹脂:塗料の骨格をつくります
- 添加剤:塗料の性能を補います
- 溶媒:樹脂を溶かしたり、うすめたりする液体です。水と、溶剤(シンナーなど)に分かれます
塗ったあと、水や溶剤は蒸発して空気に出ていきます。壁に残るのは顔料・樹脂・添加剤で、これらが乾いて固まり、塗装の膜(塗膜)になります。

塗料のグレードの名前になっている「シリコン」や「フッ素」は、この樹脂の種類のことです。日本ペイントは、樹脂の種類によって、長持ちする度合い(耐候性)がちがうことが大きな特徴だとしています。耐候性とは、日光や雨風、暑さ寒さなどにさらされても変化しにくい性質で、とくに紫外線と雨水への強さをいいます。
外壁で使われる主な5つの塗料
日本ペイントの用語解説とエスケー化研の説明から、外壁でよく名前が出る塗料をまとめます。
アクリル樹脂塗料
もっとも一般的な塗料です。水性の合成樹脂エマルションペイントと呼ばれる塗料の多くが、これに当たります。原料のちがいで、性能の幅が広い塗料です。
ウレタン樹脂塗料
日本ペイントは、2液形(塗る前に硬化剤を混ぜるタイプ)のポリウレタン樹脂塗料を、価格と耐候性のバランスが取れた塗料として紹介しています。
シリコン樹脂塗料
アクリルシリコン樹脂を使った塗料が代表的です。日本ペイントによると、外壁の塗り替えでもっとも多く使われるタイプで、ウレタンよりワンランク上の耐候性とされています。
フッ素樹脂塗料
フッ素樹脂を使った塗料で、耐候性にたいへん優れるとされています。
無機塗料(無機系塗料)
石やガラスのような無機の成分を主体にした塗料です。エスケー化研は、無機の成分だけでは柔らかさやくっつく力が足りないため、樹脂と組み合わせて塗料にしていると説明しています。長持ちの度合いについては、エスケー化研は「ふっ素樹脂塗料に匹敵する耐久性」、日本ペイントは自社の無機系塗料について「ふっ素樹脂塗料を上回る耐候性」としていて、メーカーによって説明に幅があります。

グレードとは別の「機能」
樹脂の種類とは別に、塗膜に特別な機能をもたせた塗料もあります。日本ペイントは、機能の例として次の3つを挙げています。
- 遮熱:太陽光の赤外線をはね返し、屋根の温度が上がるのを抑えます
- 低汚染:雨すじの汚れなどから外壁を守り、きれいな見た目を長持ちさせます
- 防藻・防かび:塗膜の劣化を早める藻やかびが増えるのを抑えます
たとえば、車の通りが多く、排気ガスで外壁が汚れやすい家には、低汚染の機能をもつ塗料が向いているといった選び方です。湿気が多く、藻やかびが気になる家では、防藻・防かびの機能も選ぶときの目安になります。
耐候性の等級と「耐候性塗料」
建物の外装に使う耐候性の高い上塗り塗料には、JIS K 5658「建築用耐候性上塗り塗料」という規格があります。この規格は、主な原料にフッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂を使い、主剤と硬化剤を混ぜて固める塗料が対象です。
国土交通省の『公共建築改修工事標準仕様書』(令和7年版)では、この規格の等級を次のように使い分けています。
- 1級:主な原料がフッ素樹脂
- 2級:主な原料がシリコーン樹脂
- 3級:主な原料がポリウレタン樹脂
日本ペイントも、一般に「耐候性塗料」と呼ばれるのは、ウレタン樹脂塗料以上の耐候性をもつ上塗り塗料だと説明しています。
1液形と2液形
塗料には、缶のまま使う1液形と、塗る前に硬化剤を混ぜる2液形があります。日本ペイントによると、同じグレードなら耐候性に大きな違いはありません。2液形は、混ぜる手間と、混ぜてから使える時間の制約がある一方で、下地へのくっつきやすさや乾きやすさ、塗膜の強さに優れます。1液形は塗りやすく、一般の住宅の塗り替えで多く使われています。
1回の費用と、長い目で見た費用
日本ペイントは、家のまわりの環境が厳しい場合は、耐候性の高い樹脂の塗料を選ぶようにすすめています。そのうえで、耐候性が優れている塗料ほど価格が高いため、耐候性と価格のバランスを考えることも、塗料を選ぶポイントの一つだとしています。
次の塗り替えまでの年数で考える
耐候性の高い塗料は、1回の工事の費用は高くなりますが、次の塗り替えまでの年数が長くなる見込みがあります。そのため、1回の費用だけでなく、30年など長い期間に何回塗り替えるかで、かかる費用の合計をくらべる考え方があります。
ただし、塗料メーカーが示す「期待耐用年数」は、あくまで目安です。日本ペイントは、日差しの影響を強く受ける場所、沿岸部など塩害の影響を受ける地域、湿度の高い地域などでは、塗膜の劣化が早く進むことがあるとしています。屋根の期待耐用年数は、外壁の2分の1から3分の2ほどです。強い日差しと潮風、湿気のある沖縄では、立地に合わせて考えることが大切です。
塗る回数を増やせば長持ちする?
日本ペイントによると、上塗りの回数を増やしても、塗膜の劣化(つやが引ける・色があせる・チョーキング)は表面の近くから進むため、厚く塗っても抑えられません。また、期待耐用年数は、決められた塗料の量やうすめ方、塗り重ねる前に乾かす時間などを守って塗ることを前提にしています。
※ 見積書では、塗料のグレードだけでなく、製品名と、下塗り・上塗りの回数も確かめましょう。
塗料のグレードをくらべる・相談する
塗料の性能は、主に樹脂の種類で決まります。耐候性の高い塗料ほど1回の費用は高くなるので、家の立地と、次の塗り替えまでの年数、予算をあわせて考えると選びやすくなります。
TRUSS の料金の目安では、シリコン・フッ素・無機の3つのグレードの単価と総額の目安を紹介しています。塗料グレード比較では、延べ床面積と階数を選ぶと、30年のあいだにかかる費用の合計をグレードごとにくらべられます。費用の目安はかんたん見積もりでも計算できます。
下塗りの役割は「下塗りはなぜ大事?」、水性と溶剤形のちがいは「水性塗料と油性(溶剤形)塗料のちがい」、ひび割れに強い塗料は「弾性塗料とは?」で紹介しています。どの塗料が合うか迷ったら、お問い合わせからご相談ください。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。
よくある質問
どの家にも合う「いちばん」の塗料はありません。耐候性の高い塗料ほど長持ちが見込めますが、1回の費用は高くなります。家の立地(日当たり・海からの距離)、次の塗り替えまでに見込む年数、ご予算をあわせて考えます。現地調査で外壁の状態を確かめたうえで、合う塗料をご提案します。
日本ペイントによると、同じグレードなら耐候性に大きな違いはありません。2液形は下地へのくっつきやすさや塗膜の強さに優れ、1液形は塗りやすく、一般の住宅の塗り替えで多く使われています。
塗料の種類によりますが、一般的には10〜15年ごとが目安です。沖縄は紫外線と潮風が強く、本土より早く傷みやすいので、色あせやひび割れ、触ると白い粉が付く(チョーキング)などのサインが出たら、早めの点検をおすすめします。
参考にした情報
- 塗料の成分と塗膜の形成(塗料の基礎知識)(新しいタブで開きます)
- 塗料から塗膜になるまで(塗料の基礎知識)(新しいタブで開きます)
- 戸建て塗り替えの塗料の選び方(性能)(新しいタブで開きます)
- 用語解説(アクリル樹脂塗料・ウレタン樹脂塗料・シリコン樹脂塗料・ふっ素樹脂塗料・無機系塗料・耐候性塗料)(新しいタブで開きます)
- 期待耐用年数(用語解説)(新しいタブで開きます)
- 同じグレードの1液と2液形塗料の性能を比較したらどちらが優れますか?(新しいタブで開きます)
- 上塗り塗料の塗り重ね回数を多くすれば、耐久性はより良くなりますか?(新しいタブで開きます)
- よくあるご質問(用語説明)(新しいタブで開きます)
- JIS K 5658 建築用耐候性上塗り塗料(規格の見本ページ)(新しいタブで開きます)
- 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 7章8節 耐候性塗料塗り(DP)(新しいタブで開きます)