浴室や脱衣所の床ですべらないためには?
床材の変更と介護保険
お風呂上がりの脱衣所や、ぬれた浴室の床で、ご家族がすべりそうになって、ひやっとしたことはありませんか。浴室と脱衣所は、家の中でも転びやすい場所です。
この記事では、浴室や脱衣所ですべらないための工夫と、すべりにくい床にかえる工事が介護保険の対象になる例・ならない例を、国や市町村の資料をもとに紹介します。ご家族が、ケアマネジャーと相談するときの目安にしてください。
家の中で転んだ場所は、浴室・脱衣所が多い
消費者庁の資料(令和2年)では、65歳以上の方が自宅で転んだ事故のうち、場所が分かっているものでは「浴室・脱衣所」がいちばん多く、次に庭・駐車場、ベッド・布団、玄関・勝手口、階段が続きました。転び方は「すべる」と「つまずく」が多くなっています。
同じ資料では、浴室は、ぬれた床や石けんの泡、浴槽や脱衣所への出入りなど、転びやすい環境だと説明しています。シャンプーで目を閉じていたり、湯気でよく見えなかったりすることもあります。浴室の外では、はいていたスリッパやサンダルですべってしまう例もあるそうです。
今日からできる工夫
消費者庁や政府広報オンラインでは、次のような工夫が紹介されています。
- 浴室や脱衣所に、すべり止めのマットを敷く
- 脱げやすいもの、すべりやすいスリッパや靴下は避ける
- 着替えは、いすに座って行う
- 浴室の入口の段差が高いときは、すのこなどで段差を小さくする
- すべりにくい床にするか、手すりを付ける
マットや履物は、ご家族がすぐに見直せます。床や手すりの工事は、介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)を使える場合があります。
すべりにくい床にかえる工事(床材の変更)
介護保険の住宅改修には、6つの種類があります。そのひとつが「すべりの防止と移動をしやすくするための、床や通路の材料の変更」です。厚生労働省の通知では、浴室の床をすべりにくいものにかえる工事が、例として挙げられています。床材をかえるための下地の補修や根太(床を支える木材)の補強も、付帯する工事として対象です。
市町村の資料にも、次のような例があります。
- 那覇市の手引き(令和4年12月改定):浴室・トイレ・通路などの床を、すべりにくい床材にかえる工事や、すべり止めのコーティングをする工事
- 沖縄県介護保険広域連合の手引き(令和7年4月改正):すべりを防ぐために、床の表面に溝を付けるなどの加工
- 沖縄市の資料(令和7年7月):ご本人・ケアマネジャー・工事の事業者が、すべりにくい材料だと判断したもの(塗料を塗る場合も同じ)
材料の選び方にも注意があります。宜野湾市の注意事項(令和7年3月)では、浴室の床をすべりにくいタイルにかえるとき、「もともとタイルだったから」という理由だけでは不十分としています。水回り用の床シートなど、ほかの材料で解決できる場合は、タイルを選ぶ理由が求められます。
脱衣所の床は、国の通知や市町村の手引きの例に、名前が出ていません。脱衣所の床をかえたいときは、対象になるかを、お住まいの市町村に確かめましょう。沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』では、脱衣所について、出入口を引き戸か折れ戸にすること、着替えの動きがしやすい広さをとることも勧めています。
支給される額と、申請の写真
介護保険の住宅改修で対象になる工事費は、一人につき20万円までです。そのうち1割〜3割が自己負担で、残りが介護保険から支給されます(厚生労働省の資料)。20万円をこえた分は、全額が自己負担です。
工事の前の申請では、床の今の様子が分かる写真を出します。沖縄市の資料では、工事をする面がはっきり写っていることを求めていて、タオルやマットで隠れている写真は使えないとしています。写真を撮る日は、マットを外しておきましょう。
対象にならない例(古くなっての張り替え・置くだけのマット)
床の工事でも、介護保険の対象にならないものがあります。

- 古くなった、傷んだ、汚れたことが理由の張り替え(那覇市の手引き・沖縄市の資料)
- すべり止めのマットを置くだけで、貼り付けないもの(那覇市の手引き)
- 市町村に申請する前に始めた工事
※ 介護保険の住宅改修は、工事を始める前に、市町村への申請が必要です。窓口や書類は変わることがあります。お住まいの市町村の窓口か、ケアマネジャーに確かめてください。
手すり・段差とあわせて考える
浴室では、床だけでなく、手すりと段差もあわせて見ておくと安心です。

- 床:沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』では、浴室は水にぬれてもすべりにくい床材にすることが勧められています
- 手すり:国土交通省の指針では、浴室に、浴槽に出入りするための手すりを付けることが基本です。脱衣所には、服を着たり脱いだりするときの手すりが示されています。くわしくは「浴室の手すりはどこに付ける?」で紹介しています
- 段差:浴室の床のかさ上げは、介護保険の「段差の解消」の例です。浴室の中にすのこを置いて段差をなくす方法は、住宅改修ではなく、福祉用具の購入の扱いになります。沖縄県の手引書では、排水の溝(グレーチング)で段差をなくす方法も紹介されています。くわしくは「浴室の出入口の段差をなくすには?」をご覧ください
冬の浴室と脱衣所の寒さについては「冬のお風呂の事故を防ぐには?」で紹介しています。
ぬれた床で困る場面を伝えて、相談する
床の工事が必要かどうかは、ご本人の体の状態と、入浴の動きで決まります。体の状態については、主治医やケアマネジャーにご相談ください。相談のときは、次のことを伝えると話が進みやすくなります。
- すべりそうになる場所(洗い場・浴室の出入口・脱衣所など)
- すべりそうになる場面(浴槽から出たとき、着替えのときなど)
- 入浴を手伝う人がいるか
- 今の床の材料と、マットや手すりがあるか
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、入浴の動きをうかがいながら、床・手すり・段差のどこから直すとよいかを一緒に考えます。現地調査には、できればご本人かご家族に立ち会っていただくと、体の状態や動きに合わせた提案ができます。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。対応エリアは沖縄本島です(離島はご相談ください)。支給される額の目安は支給額チェックで確かめられます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。
よくある質問
答え:置くだけで貼り付けないマットは、住宅改修の対象にならない例です(那覇市の手引き)。マットを敷くことは、消費者庁も勧めている家でできる工夫なので、工事とは分けて考えましょう。
答え:古くなった、傷んだ、汚れたという理由での張り替えは、対象にならない例として、那覇市や沖縄市の資料に挙げられています。すべりを防ぐなど、ご本人の動きのために必要な工事かどうかで判断されます。
答え:浴室の床のかさ上げは、介護保険の「段差の解消」の例として、厚生労働省の通知に挙げられています。あわせて必要になる給排水の工事も、付帯する工事として対象になります。工事の前に、市町村への申請が必要です。
答え:国の通知や那覇市の手引きでは、床材の変更の例として、居室・浴室・トイレ・通路の床が挙げられていて、脱衣所の名前はありません。対象になるかは市町村が決めるので、工事の前に、お住まいの市町村かケアマネジャーに確かめてください。
参考にした情報
- 10月10日は「転倒予防の日」、高齢者の転倒事故に注意しましょう!(令和2年10月8日)(新しいタブで開きます)
- たった一度の転倒で寝たきりになることも。転倒事故の起こりやすい箇所は?(新しいタブで開きます)
- 介護保険における住宅改修(新しいタブで開きます)
- 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて(老企第34号)(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章(新しいタブで開きます)
- 介護保険住宅改修費支給申請の手引き(令和4年12月改定)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の住宅改修費支給申請について(令和7年7月)(新しいタブで開きます)
- 介護保険 住宅改修の手引き(令和7年4月改正)(新しいタブで開きます)
- 過去の事例から確認された住宅改修の注意事項(令和7年3月)(新しいタブで開きます)