浴室の手すりはどこに付ける?
出入り・浴槽・洗い場で役に立つ場所
お風呂に入るとき、浴槽をまたぐのが不安そう。洗い場で立ち上がるときに、ふらついている。ご家族のそんな様子が気になったら、浴室の手すりを考えてみませんか。
この記事では、国の指針にある浴室の手すりの考え方を、5つの動きに分けて紹介します。脱衣所の手すりと、浴槽の縁に付ける手すり(福祉用具)との違い、介護保険で付けるときの注意もまとめました。ご家族が、ケアマネジャーと相談するときの目安にしてください。
浴室は、ぬれてすべりやすい場所
消費者庁の資料(令和2年)では、65歳以上の方が自宅で転んだ事故のうち、場所が分かっているものでは「浴室・脱衣所」がいちばん多くなっていました。浴室は、ぬれた床や石けんの泡、浴槽や脱衣所への出入りなど、転びやすい環境です。シャンプーで目を閉じていたり、湯気でよく見えなかったりすることもあります。
消費者庁や政府広報オンラインでは、浴室で転ばないために、手すりを付けること、すべりにくい床にするかすべり止めのマットを敷くことなどを勧めています。
沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』でも、浴室について、次のような工夫が紹介されています。
- 要所に手すりを付ける
- 浴槽は、またぎやすい高さにする。浴槽に移るときの台があると便利
- 水にぬれてもすべりにくい床材にする
- 非常のときに知らせるブザーを付ける
- 介助をする人が動きやすい広さをとる
国の指針にある浴室の手すり(5つの動き)
国土交通省の「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」では、浴室の手すりについて、基本レベル(基本的な配慮)と推奨レベル(より配慮したもの)を示しています。
- 基本レベル:浴槽に出入りするための手すりを付ける
- 推奨レベル:浴室の出入り、浴槽の出入り、浴槽の中での立ち座り、姿勢の保持、洗い場での立ち座りのための手すりを付ける
推奨レベルにある5つの動きは、それぞれ次のような場面です。

- 浴室の出入り:脱衣所と浴室のあいだの出入口を通るとき
- 浴槽の出入り:浴槽の縁をまたいで、入ったり出たりするとき
- 浴槽の中の立ち座り:浴槽の中で、しゃがんだり立ち上がったりするとき
- 姿勢の保持:浴槽の中で、体を安定させておくとき
- 洗い場の立ち座り:洗い場のいすに座ったり、立ち上がったりするとき
指針では、浴室の出入口の段差についても示しています。段差を20ミリメートル以下にするか、浴室の内と外の高さの差を120ミリメートル以下、またぐ高さを180ミリメートル以下にしたうえで、手すりを付けるとしています。段差が残る出入口ほど、手すりが大切になります。
なお、指針は設計の目安で、守らなければならない決まりではありません。浴室の手すりの高さや長さの決まった数字もありません。使う方の背の高さや、体の動き方に合わせて決めます。
手すりの形
厚生労働省の通知では、手すりの形を「二段式、縦付け、横付け等適切なもの」としています。沖縄県介護保険広域連合の手引き(令和7年4月改正)では、しっかり握れない方もいるので、体の状況に合わせて形を選ぶことが大切だとして、上が平らな棚のような手すりも対象としています。手すりを付けるための壁の下地の補強も、付帯する工事として対象です(厚生労働省の通知)。
脱衣所の手すり
国の指針では、脱衣所について、基本レベルでは服を着たり脱いだりするための手すりを「付けられるようにしておく」こと、推奨レベルでは「付けておく」ことを示しています。政府広報オンラインでは、着替えはいすに座って行う工夫も紹介されています。
沖縄県の手引書では、脱衣所の出入口を引き戸か折れ戸にすること、着替えの動きがしやすい広さをとることも勧めています。那覇市の手引き(令和4年12月改定)では、ご本人がふだん通る動線の上の手すりや、立ち上がるときの支えにする手すりが、介護保険の対象になる例です。
浴槽の縁に付ける手すり(福祉用具)との違い
浴室の手すりには、壁に工事で付ける手すりのほかに、浴槽の縁をはさんで固定する「浴槽用手すり」があります。厚生労働省の通知では、浴槽用手すりは住宅改修ではなく、福祉用具の購入(入浴補助用具)の扱いです。

- 壁に工事で付ける手すり:住宅改修。対象になる工事費は、一人につき20万円まで。工事の前に市町村への申請が必要
- 浴槽の縁をはさむ手すり:福祉用具の購入。同じ年度で10万円まで(介護サービス情報公表システム)。指定を受けた事業者から買う
入浴補助用具には、ほかに入浴用いす(座面の高さがおおむね35センチメートル以上のものか、リクライニングできるもの)、浴槽内いす、入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルトがあります。福祉用具の買い方は「介護保険で福祉用具を買うときは?」で、工事のいらない手すりは「工事のいらない手すりとは?」で紹介しています。
※ 介護保険の住宅改修は、工事を始める前に、市町村への申請が必要です。窓口や書類は変わることがあります。お住まいの市町村の窓口か、ケアマネジャーに確かめてください。
入浴の動きを見てもらって、位置を決める
手すりの位置は、実際の入浴の動きを見て決めるのがいちばんです。国の指針でも、家を改修するときは、必要に応じて介助をする人や、理学療法士・作業療法士などの専門家の意見を聞くことが望ましいとしています。体の状態については、主治医やケアマネジャーにご相談ください。
位置は、申請の前にしっかり決めておきましょう。沖縄市の資料(令和7年7月)では、市が承認したあとの工事の内容の変更は、原則として認められないとしています。手すりを付ける位置が右から左に変わるような変更は、いったん申請を取り下げて、申請し直す必要があります。
浴室の出入口の段差は「浴室の出入口の段差をなくすには?」で、冬の浴室の寒さは「冬のお風呂の事故を防ぐには?」で紹介しています。
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、浴室での動き方をうかがいながら、手すりの場所と形を一緒に決めます。現地調査には、できればご本人かご家族に立ち会っていただくと、体の状態や動きに合わせた提案ができます。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。対応エリアは沖縄本島です(離島はご相談ください)。支給される額の目安は支給額チェックで確かめられます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。
よくある質問
答え:浴槽の縁をはさんで固定する浴槽用手すりは、住宅改修ではなく、福祉用具の購入(入浴補助用具)の扱いです(厚生労働省の通知)。福祉用具を買えるのは、同じ年度で10万円までです。
答え:国の通知では、手すりの形を「二段式、縦付け、横付け等適切なもの」としています。沖縄県介護保険広域連合の手引きでは、しっかり握れない方のために、上が平らな棚のような手すりも対象としています。
答え:付けられる場合があります。家の持ち主がご本人でないときは、持ち主の承諾書が必要です。まずは大家さんや管理会社にご相談ください。
答え:那覇市の手引きでは、ご本人の体の状態に合わなくなった手すりの取替えや移設は、介護保険の対象になる例です。沖縄市の資料では、体の状態の変化で位置だけを変えるときは、工事の手間の費用(工賃)だけが対象としています。古くなっただけの理由での付け替えは、対象になりません。
参考にした情報
- 10月10日は「転倒予防の日」、高齢者の転倒事故に注意しましょう!(令和2年10月8日)(新しいタブで開きます)
- たった一度の転倒で寝たきりになることも。転倒事故の起こりやすい箇所は?(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて(老企第34号)(新しいタブで開きます)
- 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について(老企第42号)(新しいタブで開きます)
- どんなサービスがあるの? – 特定福祉用具販売(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章(新しいタブで開きます)
- 介護保険住宅改修費支給申請の手引き(令和4年12月改定)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の住宅改修費支給申請について(令和7年7月)(新しいタブで開きます)
- 介護保険 住宅改修の手引き(令和7年4月改正)(新しいタブで開きます)