夜のトイレが心配なときは?
ポータブルトイレなど、腰掛便座の選び方
夜中に起きてトイレに行くご家族の足もとが、心配になることはありませんか。寝室からトイレまでが遠い、廊下が暗い、段差がある。そんなときに役立つのが、介護保険で買える「腰掛便座」や、借りられる手すり、住まいの工事です。
この記事では、介護保険で買える腰掛便座の4つの種類と、便器やポータブルトイレを囲む手すり、トイレまでの道を楽にする工事を、国の資料をもとに紹介します。ご家族が、ケアマネジャーと相談するときの目安にしてください。
夜のトイレで気をつけたいこと
消費者庁の資料(令和2年)では、65歳以上の方が自宅で転んだ場所として、浴室・脱衣所や庭・駐車場に続いて、「ベッド・布団」が多く挙がっています。転んだときの状況では、「ベッドなどから移るとき」も多く、夜にベッドからポータブルトイレに移るときに転んだ例も紹介されています。
同じ資料では、次のような工夫を勧めています。
- 寝起きのときや夜のトイレで、ベッドから起き上がるときや体の向きを変えるときは、ゆっくり動く
- 近くの安定したものに、しっかりつかまる
- 足もとを照らすランプを使う
- 電源コードが通り道に来ないように、電気製品を置く
体の状態のことは、主治医やケアマネジャーにご相談ください。
介護保険で買える「腰掛便座」4つ
腰掛便座は、介護保険で買える福祉用具(特定福祉用具)のひとつです。厚生労働省の通知では、次の4つに当てはまるものとしています。

- 和式の便器の上に置いて、腰掛ける形にするもの(高さを補うものも含む)
- 洋式の便器の上に置いて、高さを補うもの
- 電動式やスプリング式で、便座から立ち上がるときに助けてくれるもの
- 便座やバケツなどからなり、動かせる便器(ポータブルトイレ)。水洗の機能があるものも含みますが、部屋の中で使えるものに限ります
買うときのしくみ
- 県などの指定を受けた事業者から買います。指定を受けていない店で買ったものは、支給の対象になりません(沖縄県介護保険広域連合の案内)
- いったん全額を払い、あとで費用の7〜9割が介護保険から払い戻されます(償還払い)。市町村によっては、自己負担の分だけを払う受領委任払いもあります
- 買えるのは、同じ年度(4月〜翌年3月)で10万円までです(介護サービス情報公表システム)
- ポータブルトイレを置くための費用は、保険給付の対象になりません(厚生労働省の通知)
便座の高さを補うときの、住宅改修との違い
便座の高さを補う方法には、置く道具と、工事があります。沖縄県介護保険広域連合の手引き(令和7年4月改正)のQ&Aでは、次のように分けています。
- 洋式の便器の上に置いて高さを補う便座(補高便座):腰掛便座として、福祉用具の購入
- 洋式の便器をかさ上げする工事や、座面の高い洋式の便器に取り替える工事:ご本人に合った高さにするための理由があれば、住宅改修の「便器の取替え」として対象になり得る
古くなったからという理由だけで便器を取り替える工事は、対象になりません。
腰掛便座は、要支援1・2、要介護1〜5の方が使えます(沖縄県介護保険広域連合の案内)。福祉用具の買い方は「介護保険で福祉用具を買うときは?」でくわしく紹介しています。
ポータブルトイレを置く場所と、まわりの工夫
ポータブルトイレは、部屋の中で使えるものです。どこに置くかは、ベッドから移る動き、介助をする人の動き、部屋の広さで変わります。置く場所や向きは、ケアマネジャーや福祉用具の事業者(福祉用具専門相談員)と一緒に決めましょう。
置く場所のまわりでは、消費者庁の工夫を参考に、次のことを見ておくと安心です。
- 夜でも足もとが見えるように、足もとを照らす明かりがあるか
- 通り道に、電源コードや物が置かれていないか
- 移るときにつかまれる、安定したものがあるか
便器やポータブルトイレを囲む手すり(貸し出し)
便器やポータブルトイレのまわりに置く手すりもあります。厚生労働省の通知では、便器やポータブルトイレを囲んで置き、座った姿勢を保つ、立ち上がる、乗り移るといった動きを助ける手すりで、取り付けに工事がいらないものは、福祉用具の貸し出し(貸与)の扱いです。

- 置く手すり(工事がいらない):福祉用具の貸し出し。費用の1〜3割を自己負担し、要介護度ごとのひと月の限度の中で借ります
- 壁に工事で付ける手すり:住宅改修。対象になる工事費は、一人につき20万円まで。工事の前に市町村への申請が必要です
厚生労働省の資料では、車いすや特殊寝台(介護ベッド)などは、要支援1・2と要介護1の方は原則として借りられません。手すりは、その中に入っていません。工事のいらない手すりは「工事のいらない手すりとは?」でくわしく紹介しています。
トイレまでの道を楽にする工事も合わせて考える
ポータブルトイレを使うかどうかに関わらず、寝室からトイレまでの道を見直しておくと安心です。国土交通省の「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」では、トイレが寝室と同じ階にあることを基本としています。国土交通省の「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」では、夜にも寝室からトイレまで行きやすいように、トイレに近い部屋を寝室にして、寝室からトイレまでの手すりの下地を付ける、段差をなくす、明かりを増やすといった方法を紹介しています。

介護保険の住宅改修では、廊下やトイレの手すりの取付け、段差の解消、開き戸を引き戸にかえる工事などが対象です。足もとの明かりを付ける工事は、住宅改修の種類に入っていません。
沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』でも、廊下に手すりと足元灯を付けること、トイレの扉は引き戸か外開きにすることが勧められています。廊下の手すりと明かりは「夜、寝室からトイレまで安心して歩くには?」、沖縄の家に多いトイレの入口の段差は「トイレの入口の段差、沖縄の家ではなぜ多い?」で紹介しています。
※ 介護保険の住宅改修は、工事を始める前に、市町村への申請が必要です。窓口や書類は変わることがあります。お住まいの市町村の窓口か、ケアマネジャーに確かめてください。
夜の困りごとを、ケアマネジャーに話す
福祉用具と住まいの工事は、組み合わせて考えると使いやすくなります。ケアマネジャーには、次のことを伝えてみてください。
- 寝室からトイレまでの道のり(距離・段差・暗い場所)
- いま使っている道具や手すり
- 夜に手伝う人がいるか
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、寝室からトイレまでの手すりや段差、扉の工事を一緒に考えます。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。対応エリアは沖縄本島です(離島はご相談ください)。住宅改修で支給される額の目安は支給額チェックで確かめられます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。
よくある質問
答え:国の通知では、ポータブルトイレを買う費用は対象ですが、置くための費用は保険給付の対象にならないとしています。
答え:国の通知では、腰掛便座のポータブルトイレには、水洗の機能がある便器も含むとしています。ただし、部屋の中で使えるものに限られます。
答え:介護保険で福祉用具を買えるのは、同じ年度(4月〜翌年3月)で10万円までです。いったん全額を払い、あとで自己負担の分を除いた額が払い戻されます。
答え:和式の便器の上に置いて腰掛ける形にする便座は、住宅改修ではなく、腰掛便座として福祉用具の購入の扱いです(沖縄市の資料・沖縄県介護保険広域連合の手引き)。
参考にした情報
- 10月10日は「転倒予防の日」、高齢者の転倒事故に注意しましょう!(令和2年10月8日)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて(老企第34号)(新しいタブで開きます)
- 居宅介護福祉用具購入費支給限度基準額及び介護予防福祉用具購入費支給限度基準額(平成12年厚生省告示第34号)(新しいタブで開きます)
- どんなサービスがあるの? – 特定福祉用具販売(新しいタブで開きます)
- どんなサービスがあるの? – 福祉用具貸与(新しいタブで開きます)
- 要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について(新しいタブで開きます)
- 高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章(新しいタブで開きます)
- 介護保険の住宅改修費支給申請について(令和7年7月)(新しいタブで開きます)
- 介護保険 住宅改修の手引き(令和7年4月改正)(新しいタブで開きます)
- 福祉用具購入費及び住宅改修費の受領委任払い制度について(新しいタブで開きます)
- 福祉用具・住宅改修について(新しいタブで開きます)