夜、寝室からトイレまで安心して歩くには?
廊下の手すりと足元の明かり
夜中にトイレへ行くとき、暗い廊下を手探りで歩いていませんか。暗くて足元が見えにくく、起き上がったり体の向きを変えたりすることも多いので、気をつけたい場面です。
この記事は、離れて暮らす親や、一緒に暮らす家族の夜の動きが気になるご家族に向けたものです。寝室からトイレまでの廊下に付ける手すりと、足元を照らす明かり、寝室とトイレの近さの考え方を、国や沖縄県の資料をもとに紹介します。
夜のトイレは、転びやすい場面
消費者庁は、高齢の方の転倒事故への注意の中で、「寝起きや夜間のトイレなどで、ベッドから起き上がるときや体勢を変えるときは慎重にしましょう」と呼びかけています。
消費者庁に寄せられた、65歳以上の方が自宅で転んだ事故の情報では、場所は浴室・脱衣所、庭・駐車場、ベッド・布団、玄関・勝手口、階段の順に多くなっていました。転んだときの様子は、「滑る」「つまずく」に続いて、「ぐらつく」「ベッド等から移動時に」が多かったとしています。夜中に、ベッドからポータブルトイレへ移るときに転んだ事例も紹介されています。
消費者庁は、足元が見えにくくなることも、転ぶことにつながるとしています。夜の通り道では、次の3つを見直すと安心です。

廊下の手すり(毎日通る道に沿って)
手すりは、寝室からトイレまでの、毎日通る道に沿って付けるのが基本です。厚生労働省の通知では、介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)の手すりは、廊下・トイレ・浴室・玄関などに、転ぶのを防いだり、移動や乗り移りを助けたりするために付けるものとしています。
那覇市の手引き(令和4年12月改定)では、手すりについて、次のような例を挙げています。
- 対象になる例:ご本人がふだん通る道すじに付ける手すり。段差の上り下りや、立ち上がるときの支えにする手すり
- 対象にならない例:ご本人がふだん通らない道すじの手すり。体の状態から見て、必要より多く付ける手すり
手すりを付けるための壁の下地の補強も、手すりに付帯する工事として、住宅改修の種類に入ります。消費者庁も、段差のある所や階段、玄関に、手すりや滑り止めを付けることを勧めています。
沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』でも、廊下には手すりを付けて体を支えやすくすること、不用意な段差を作らないことが勧められています。寝室の入口は引き戸にし、段差を作らないことも勧めています。
※ 介護保険で手すりを付けるには、要支援・要介護の認定を受けていて、工事の前に市町村へ申請することが必要です。支給の対象になる工事費は20万円までで、自己負担はその1割から3割です。
寝室の出入口と、トイレの入口
寝室を出るところや、トイレに入るところでは、扉を開け閉めしながら体の向きを変えます。廊下だけでなく、出入口のまわりにも、つかまる所があるかを見てください。扉の前の段差も、見直したいところです。
手すりの位置や形は、ご本人の体の状態や、扉の開く向きで変わります。高さに国の決まった数字はないため、ご本人に実際に歩いてもらいながら決めます。
足元を照らす明かりとスイッチ
国土交通省の指針(高齢者が住む家の設計の考え方)では、家の中の照明は、安全のために必要な場所に付け、十分な明るさにすることが示されています。
消費者庁も、転ぶのを防ぐ方法の一つとして、足元を照らすランプや、段差をなくすスロープを増やす方法を紹介しています。消費者庁の調査(令和5年3月)では、自宅で使っている事故を防ぐための設備として、「足元を照らす照明器具」を挙げた人が約2割(19.9%)いました。「就寝時に足元を照らす照明を取り付けている」という声も紹介されています。
段差の見やすさも大切です。消費者庁は、段差の先に付ける滑り止めに、蛍光や蓄光(暗い所で光る)のものや、まわりとの色の差が大きいものを選ぶと、見やすくなるとしています。沖縄県の手引書でも、玄関や階段に足元灯を付けることや、階段の段の先の色をかえることを勧めています。
沖縄県の手引書では、寝室の機器は大きなスイッチにし、ベッドの上でも使えるリモコン式にすることを勧めています。夜中に起きたとき、まず明かりをつけてから立ち上がれると安心です。
床にも気をつけます。消費者庁は、電気製品のコードが通り道にこないように置くこと、床にはなるべく物を置かないことを勧めています。
寝室とトイレを近くにする考え方
夜のトイレを楽にするには、寝室とトイレの距離も大切です。国土交通省の指針では、ふだん寝る部屋と同じ階にトイレがあることを基本としています。設計の考え方として、寝室とトイレを近くに配置することも挙げています。
沖縄県の手引書でも、寝室の近くにトイレや浴室を配置するか、将来、増築や改築ができるように配置することを勧めています。
工事をしなくても、寝る部屋をトイレに近い部屋に移す方法もあります。たとえば、2階で寝ている方が1階に移るなどです。部屋を移すときは、新しい寝室からトイレまでの道に、段差や暗い所がないかを見てください。
トイレまでの道が長いときは、寝室で使えるポータブルトイレを使う方法もあります。介護保険では「腰掛便座」として、買う福祉用具(特定福祉用具販売)の扱いになります。くわしくは「介護保険で福祉用具を買うときは?」をご覧ください。

夜の通り道を一緒に歩いてみる
帰省したときや、泊まりに行ったときに、夜の明るさで、寝室からトイレまでを一緒に歩いてみてください。暗くて足元が見えない所、つかまる所がない所、床に物が置いてある所が見つかったら、それが見直しの手がかりです。
一緒に歩くときに見ておきたいこと
- 寝室の明かりのスイッチに、ベッドから手が届くか
- 寝室からトイレまで、つかまれる所が続いているか
- 通り道に、電気のコードや物が置かれていないか
- 寝室やトイレの出入口に、段差がないか
- トイレの明かりを、入る前につけられるか
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、夜の動き方もうかがいながら、手すりの位置を一緒に考えます。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。支給される額の目安は支給額チェックで、介護保険でできる工事はできる工事で確かめられます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。
ひとりで暮らす方の夜の備えは「ひとり暮らしでも安心して過ごすには?」で、工事のいらない転倒の予防は「家の中で転ばないために、今日からできることは?」で紹介しています。
よくある質問
答え:介護保険の住宅改修の6つの種類に、照明の工事は入っていません。足元灯は、介護保険を使わない工事として考えます。かなさホームでは、介護保険の対象外の工事も、あわせてご相談いただけます。
答え:開き戸を引き戸にかえるなど、扉の取替えも、介護保険の住宅改修の種類にあります。扉と手すりの位置をあわせて考えると、通りやすくなることがあります。
答え:床に置いて使う、工事のいらない手すりは、住宅改修ではなく、福祉用具の貸し出しの扱いです。ケアマネジャーにご相談ください。
答え:まずはケアマネジャーにご相談ください。要支援の方や、まだ認定を受けていない方は、お住まいの地域の地域包括支援センターが相談の窓口です。手すりなどの工事は、工事の前に市町村への申請が必要です。
参考にした情報
- 10月10日は「転倒予防の日」、高齢者の転倒事故に注意しましょう!(令和2年10月8日)(新しいタブで開きます)
- 住環境における高齢者の安全等に関する調査 報告書(令和5年3月)(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章(新しいタブで開きます)
- 厚生労働大臣が定める居宅介護住宅改修費等の支給に係る住宅改修の種類(平成11年厚生省告示第95号)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて(老企第34号)(新しいタブで開きます)
- 介護保険における住宅改修(新しいタブで開きます)
- 介護保険住宅改修費支給申請の手引き(令和4年12月改定)(新しいタブで開きます)