屋上やベランダの防水工事で、「ウレタン防水」をすすめられることがあります。見積書に「密着工法」や「通気緩衝工法」と書かれていても、何がちがうのか分かりにくいかもしれません。
この記事では、ウレタン防水がどんな防水か、工事がどんな順番で進むか、密着工法と通気緩衝工法のちがい、工事中に気をつけたいことを、国土交通省の工事の仕様や防水の業界団体の資料をもとに紹介します。屋上の防水工事を考えている方に読んでいただきたい内容です。
ウレタン防水は、液体を塗り重ねて防水層をつくる
日本ウレタン建材工業会によると、ウレタン防水(ウレタン塗膜防水)は、液体のウレタン防水材を屋上やベランダにコテなどで塗って、防水の層をつくる工法です。材料は、ふつうの塗料よりやや粘り気のある、マヨネーズのような液体です。
よく使われるのは、主剤と硬化剤という2つの液を混ぜて塗る材料です。2つの液が化学的に反応して少しずつ固まり、約1日かけて継ぎ目のない防水層になります。固まったあとは、ゴムのような弾力のある膜になります。材料には、このほかに空気中の湿気で固まる1成分のものや、専用の機械で吹き付けてすぐに固まるものもあります。
同じ工業会は、ウレタン防水の長所と短所を次のように説明しています。
- 長所:弾力があり、よく伸びる。液体を塗るので、形が複雑な所でも施工しやすい
- 短所:下地の形や職人の技量によって、仕上がりに差が出ることがある。材料が固まるまで時間がかかる
継ぎ目がないことと、屋上の形に合わせて塗れることが、ウレタン防水の大きな特長です。そのぶん、下地を整えることと、決められた厚さをきちんと塗り重ねることが大切になります。
工事の流れ 高圧洗浄からトップコートまで
TRUSSの防水工事は、次の5つの工程で進めます。防水の方法は、建物と傷みの状態によって変わります。

- 高圧洗浄:屋上・ベランダの汚れを洗い流します
- 下地の補修:ひび割れや、コンクリートの欠け(爆裂)を補修します
- プライマー:防水材が密着するように下地をととのえます
- 防水層:ウレタン防水材を塗り重ね、継ぎ目のない防水層にします
- トップコート:紫外線から防水層を守るトップコートで仕上げます
日本ウレタン建材工業会は、防水層の信頼性や耐久性、仕上がりは、下地の良し悪しに大きく左右されると説明しています。洗浄と下地の補修は、目立たないけれど大事な工程です。
なお、工程の中身は工法によって少し変わります。国の仕様では、あとで紹介する通気緩衝工法の場合、最初の工程が、プライマーではなく「接着剤を塗って通気緩衝シートを張る」になります。
国土交通省の『公共建築改修工事標準仕様書』(令和7年版)にも、ウレタン防水の工程の決まりがあります。たとえば、次のようなことです。
- プライマーは、下地が十分に乾いてから清掃し、その日に施工する範囲にローラーばけなどでむらなく塗る
- コンクリートの打ち継ぎの所(コンクリートを分けて流し込んだときの継ぎ目)、補修した大きなひび割れの所、排水口(ドレン)や配管のまわりは、幅100ミリメートル以上の補強布を使って補強の塗りをする
- ウレタン防水材は、2回以上に分けて塗る。塗り継ぎの重ね幅は100ミリメートル以上にする
いまの防水層がウレタン防水で、その上に塗り重ねるときは、表面のごみを取って水で洗い、破れや穴、浮き、ふくれのある所は切り取ってモルタルで平らに直し、乾いてから、層と層をくっつけるためのプライマーを塗る、とされています。
密着工法と通気緩衝工法のちがい
ウレタン防水の工法には、大きく分けて「密着工法」と「通気緩衝工法」があります。ちがいは、下地と防水層のあいだに何をはさむかです。

密着工法
日本防水材料協会の防水用語事典では、密着工法は、下地に全面的にくっつけて防水層をつくる方法とされています。国の仕様(種別X-2)では、プライマーを塗ったあと、補強布を張りながらウレタン防水材を塗り、さらに防水材を塗り重ねて、最後に仕上げの塗料(トップコート)を塗ります。
通気緩衝工法
通気緩衝工法は、下地と防水層のあいだに「通気緩衝シート」をはさむ工法です。防水用語事典によると、このシートには2つの役目があります。
- 下地のひび割れや継ぎ目が動いても、防水層が疲れたり破れたりするのを防ぐ
- 下地と防水層のあいだの湿気の通り道になり、防水層のふくれを防ぐ
シートの下を通った湿気は、「脱気装置」から外へ逃がします。脱気装置には、円筒の形の脱気筒や、円盤の形の脱気盤があります。国の仕様では、絶縁工法(種別X-1)として、接着剤を塗って通気緩衝シートを張り、その上にウレタン防水材を塗り重ねて、仕上げの塗料を塗ります。防水用語事典でも、塗膜防水の絶縁工法は通気緩衝工法ともいうとしています。
どちらにするかは、いまの屋上の状態で決まる
国の仕様では、特に指定がない場合、コンクリートで押さえたアスファルト防水を残したまま、その上にウレタン防水をする工事は通気緩衝工法(X-1)、いまのウレタン防水の上に塗り重ねる工事は密着工法(X-2)としています。屋上のふちなどの立ち上がりの部分は、どちらの場合も密着工法です。
どちらが合うかは、いまの防水の種類や傷み方によって変わります。現地調査で屋上を見てから、工法をご提案します。
工事中に気をつけたいこと
雨や強い風の日は、防水の施工をしない
国の仕様では、雨や雪が予想されるとき、下地が十分に乾いていないとき、気温が著しく低いとき、風が強いときや湿気が高いときは、防水の施工をしないことになっています。1日の作業が終わったら、雨で水が漏れないように、シートなどで養生することも決められています。雨の日が続くと、日程が前後することがあります。
固まるまでの時間がかかる
日本ウレタン建材工業会によると、ウレタン防水は、一般的に1つの工程ごとに1日の硬化養生(固まるのを待つ時間)が必要です。下地の処理にも別に時間がかかり、季節や天気、材料によって時間は変わります。工事の日程は、屋上の広さや天気でも変わるので、現地調査のあとにお伝えします。
塗ったばかりの防水層は、固まるまで上を歩いたり、物を置いたりしないようにします。工事のあいだは屋上に上らない日があるので、洗濯物を干す場所や、屋上に置いた物の移動を、前もって担当者と相談しておくと安心です。
においと音
同じ工業会は、材料を混ぜる場所ではミキサーのモーターの音がすること、ウレタン防水材は無臭ではないことを説明しています。工事中は窓を閉め、必要に応じて換気口をふさぐなどして、部屋の中ににおいが入らないようにすることが勧められています。
工事のあとの使い方
工事のあとに植木鉢や物置を置くときは、防水層を傷つけないように、ゴムマットを敷いてから置くよう勧められています。土や枯れ葉がたまると防水層が早く傷むため、1か月に1度は点検して取り除くことも勧められています。
屋上の防水を相談する
ウレタン防水は、液体を塗り重ねて継ぎ目のない防水層をつくる工事です。下地を整えてから決められた厚さを塗り重ねること、天気を見ながら固まる時間をとることが、仕上がりを左右します。密着工法と通気緩衝工法のどちらにするかは、いまの屋上の状態で決まります。
屋上の状態が気になるときは、写真を送るだけで担当者が状態をお返しする写真で無料診断をご利用ください。防水工事の内容は防水工事、ご相談から完了までの流れは工事の流れ、これまでの工事は防水工事の施工事例でご覧いただけます。
立ち上がりや屋上のふちの傷みは「屋上のふち(パラペット)と笠木の点検」、アパートの共用部の床は「アパートの外階段・共用廊下の床の防水」で紹介しています。
よくある質問
主に、液体を塗り重ねるウレタン防水、シートを貼るシート防水、ガラス繊維で固めるFRP防水があります。屋上の形や今の防水の状態に合わせて、合う工法をご提案します。
はい、過ごせます。屋上やベランダの工事は、家の中に入らずにできることがほとんどです。においが出る作業の日は、前もってお知らせします。
国の工事の仕様では、雨が予想されるときや、下地が十分に乾いていないとき、湿気が高いときは、防水の施工をしないことになっています。雨のあとは下地が乾くのを待ってから進めるため、天気によって日程が前後します。
防水層が表に出ている屋上では、防水層を守るトップコートだけを塗り直すことがあります。沖縄県の手引書では、5〜7年ごとのトップコートの塗り替えが目安とされています。防水層まで傷んでいるときは、防水層の補修が必要です。