雨がやんだあと、平らな屋上にいつまでも水たまりが残っていると、防水は大丈夫なのか気になります。沖縄に多い鉄筋コンクリートの家では、屋上が屋根の役目をしています。
この記事では、屋上の水を流すしくみ(勾配と排水口)と、水たまりができる主な原因、水たまりが続くときに気をつけたいこと、直し方の考え方を、国土交通省や沖縄県、防水の業界団体の資料をもとに紹介します。雨上がりに屋上を見て、気になった方に読んでいただきたい内容です。
屋上には、水を排水口へ流すゆるい勾配がある
平らに見える屋上(陸屋根)も、まったくの水平ではありません。日本防水材料協会の防水用語事典では、陸屋根を「屋根面が水平またはそれに近い状態の屋根」としています。屋上の床には、雨水を排水口へ流すためのゆるい傾き(水勾配)が付けてあります。
同じ事典では、勾配は角度ではなく、水平の長さに対する高さで表すと説明しています。排水には勾配がないと水が流れず、防水層が表に出ている屋上(露出防水)では1/20〜1/50、防水層の上をコンクリートなどでおおった屋上(保護防水)では1/50〜1/100ほどの勾配が適切といわれています。1/50なら、1メートル進むごとに2センチメートル下がる傾きです。目で見ても分からないほどのゆるい傾きで、水を流しています。事典によると、傾きが急すぎても、ごみなどの固形物が流れずに取り残されてしまうため、ほどよい傾きにします。
傾きの先にあるのが、排水口(ルーフドレン)です。事典では、ルーフドレンを、屋上の雨水などを排水するための金物で、真下へ流すものと横へ流すものの2種類があるとしています。国土交通省の改修工事の仕様でも、ルーフドレンは水はけよく、床面より下げて取り付けることになっています。

水たまりができる主な原因
屋上の水たまりには、いくつかの原因が考えられます。1つとは限らず、重なっていることもあります。

- 排水口の詰まり:落ち葉や砂、ごみ、泥がたまると、水が流れにくくなります。沖縄県の手引書では、ドレンの落ち葉・砂・ごみの詰まりを点検項目に挙げています
- 勾配の不足:建物のつくりや年数によって、屋上の傾きが足りず、水が流れきらないことがあります
- 下地のへこみ:屋上の一部がへこんでいると、そこに水が残ります。国土交通省の改修工事の仕様でも、屋上の防水を直すときの下地の処理として「部分的な水はけ不良」や「勾配不良」を取り上げています
- 防水層のふくれ・浮き:防水層が下地から浮いてふくらむと、表面に凹凸ができ、水が流れにくくなることがあります
屋上に置いた物のまわりにも、水やごみがたまりやすくなります。日本ウレタン建材工業会のQ&Aでは、植木鉢を置くときはゴムマットと受け皿を使い、防水層のまわりに水がたまらないよう定期的に掃除することを勧めています。物置を置いたときも、ちりなどがたまりやすいので、定期的な掃除が必要としています。
水たまりが続くときに気をつけたいこと
水たまりがあるからといって、すぐに雨漏りするとは限りません。ただ、防水の業界団体や沖縄県の手引書は、水たまりを、気をつけて見ておきたいものとして挙げています。
日本ウレタン建材工業会は、防水を長持ちさせるために、定期的に点検して、飛んできた物や排水口の泥などの詰まりを取り除き、水たまりができないようにすることを勧めています。土や枯れ葉がたまることは、防水層を早く傷める原因になるとも説明しています。防水層の上に直接土を入れて花や野菜を育てることは、水がたまって防水層を傷めるおそれがあるため、できないとしています。
沖縄県の手引書でも、防水層が表に出ている屋上では、トップコート(表面の保護の塗料)の劣化、防水層の割れ・ふくらみと並んで、水たまりを点検項目にしています。防水層をコンクリートでおおった屋上でも、ひび割れ・破損と並んで、水たまりを見ることになっています。
同じ工業会は、表面の保護の塗料が薄くなっている、はがれている、ひび割れがあるといった異常に気づいたときは、施工した業者に連絡するよう呼びかけています。水たまりを見に屋上へ上がったときは、あわせて表面の様子も見ておきましょう。
水たまりが毎回同じ所にできる、雨がやんで時間がたっても消えない、水たまりのまわりにひび割れやふくらみがある、といったときは、屋上の状態をくわしく見てもらいましょう。
※ 水でぬれた屋上の表面はすべりやすくなります。屋上を見るときは、雨がやんで表面が乾いてから、やわらかい靴底の靴で歩いてください。手すりのない屋上の端には近づかないでください。
直し方の考え方
水たまりの直し方は、原因によって変わります。
- 排水口の詰まり:まずは排水口のまわりのごみや泥を取り除きます。掃除のしかたは「屋上・ベランダの排水口(ドレン)掃除のしかた」で紹介しています
- 部分的なへこみ:国土交通省の改修工事の仕様では、防水を直すときの下地の処理で、部分的な水はけ不良は、ポリマーセメントモルタル(樹脂を混ぜたモルタル)で補修することになっています。勾配の不良が見られるときは、どう直すかを協議して決めます
- 排水口のまわりの傷み:同じ仕様では、ルーフドレンの損傷や腐食、納まりによって漏水のおそれがあるときも、協議して直し方を決めます。防水を新しくするときに、改修用のドレンを設ける方法もあります
- 防水層の傷み:ふくれや浮きが屋上全体に広がっているときは、防水そのものの改修を考えます。日本ウレタン建材工業会は、防水層の信頼性や耐久性は、下地の良し悪しに大きく左右されると説明しています。改修では、下地の状態を確かめてから工法を選びます
ウレタン防水の工事の進め方は「ウレタン防水の工事はどう進む?」、屋上のふちの点検は「屋上のふち(パラペット)と笠木の点検」で紹介しています。
屋上の状態を相談する
屋上の水たまりは、排水口の詰まりのように掃除で直るものから、勾配や防水層の傷みのように工事が必要なものまであります。まずは雨のあとに、水たまりの場所と大きさ、消えるまでの時間を、写真とメモで残しておきましょう。
屋上に上がれないときや、ひび割れ・ふくれも気になるときは、写真を送るだけで担当者が状態をお返しする写真で無料診断をご利用ください。TRUSS の防水工事では、高圧洗浄と下地の補修をしてから、ウレタン防水で継ぎ目のない防水層をつくります。小さなひび割れや部分的な雨漏りは、部分防水で補修することもできます。勾配が足りないときに下地をかさ上げして勾配を直す工事や、改修用のドレンを設ける工事もお受けしています。工事の内容は防水工事のページで紹介しています。
よくある質問
すぐに消える水たまりなら、急いで工事が必要とは限りません。日本ウレタン建材工業会は、排水口の詰まりを取り除いて、水たまりができないようにすることを勧めています。毎回同じ所に残る、だんだん広がる、まわりにひび割れやふくらみがあるときは、点検を頼んでください。
へこみが一部だけなら、その部分を補修して水はけを直すことがあります。勾配が足りないときや、防水層の傷みが広がっているときは、屋上全体を見て直し方を決めます。現地調査で屋上の状態を確かめてから、ご提案します。
主に、液体を塗り重ねるウレタン防水、シートを貼るシート防水、ガラス繊維で固めるFRP防水があります。屋上の形や今の防水の状態に合わせて、合う工法をご提案します。