畳の部屋を板の床にするには?
仏壇のある部屋といすの暮らし
畳の部屋で、床に座ったり立ち上がったりするのが大変になってきた。いすとテーブルを使う暮らしにしたい。そんなとき、畳を板の床にかえる工事を考える方もいます。
この記事では、畳の部屋を板の床にかえる工事が、介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)の対象になる例とならない例を、国や市町村の資料をもとに紹介します。沖縄県の手引書にある、仏壇のある部屋でいすを使う考え方もあわせてまとめました。
畳から板の床にかえる工事のねらい
介護保険の住宅改修には、6つの種類があります。そのひとつが「すべりの防止と移動をしやすくするための、床や通路の材料の変更」です。厚生労働省の通知では、部屋の床を、畳から板の床やビニル系の床にかえる工事が、例として挙げられています。
ほかの資料でも、床の材料について、次のような考え方が示されています。
- 国土交通省の「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」:家の中の床の仕上げは、すべりや転倒に対する安全性に配慮したものにする
- 沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』:リビングは、フローリングなどの足腰に負担をかけない床材を選び、不用意な段差を設けない
- 国土交通省の「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」:すべりにくさや、転んだときの衝撃に配慮した床の仕上げにする
板の床にするときも、すべりにくい材料を選ぶことが大切です。どの材料が合うかは、ご本人の動きを見ながら、担当の人と一緒に決めましょう。
介護保険の「床材の変更」でできること
那覇市の手引き(令和4年12月改定)では、移動をしやすくするために、畳の部屋をフローリングやビニール系の床材にかえる工事を、対象になる例として挙げています。

床材をかえるために必要な工事も、付帯する工事として対象になります。厚生労働省の通知では、床材の変更のための下地の補修や、根太(床を支える木材)の補強が挙げられています。
畳を板の床にすると、となりの部屋や廊下とのあいだに、高さの違いや敷居が残ることがあります。国土交通省の指針では、ふだん暮らす場所の床は、段差のないつくり(5ミリメートル以下の段差を含む)を基本としています。那覇市の手引きでは、部屋と部屋のあいだの敷居を低くしたり、取りはずしたりする工事も、「段差の解消」として対象になる例です。くわしくは「部屋の出入口の小さな段差はどうなくす?」で紹介しています。
沖縄県介護保険広域連合の手引き(令和7年4月改正)のQ&Aには、畳から畳への変更についての答えもあります。転んだときの衝撃をやわらげる畳など、同じような働きのある畳への変更や、板の床から畳への変更も、ご本人の心身の状況や住まいの状況から必要と認められる場合は、認められるとしています。
対象にならない例(古くなったからの張り替え)
床の工事でも、介護保険の対象にならないものがあります。
- 古くなった、腐った、壊れたことが理由の張り替え(那覇市の手引き)
- 古くなった・汚れたという理由での変更(沖縄市の資料・令和7年7月)
- 家が古くなって、ゆがんだ廊下などの床材の取り替え(沖縄市の資料のQ&A)
- 家を新しく建てる工事や、部屋を増やす増築(厚生労働省の通知)
那覇市の手引きでは、ご本人の心身の状況と住まいの状況から見て、ご本人が家で暮らしていくために必要な工事であることを、支給の条件にしています。「畳が古くなったから」ではなく、「ご本人が部屋の中を動きやすくするため」という目的がはっきりしていることが大切です。
支給される額と、申請の書類
介護保険の住宅改修で対象になる工事費は、一人につき20万円までです。そのうち1割〜3割が自己負担で、残りが介護保険から支給されます(厚生労働省の資料)。20万円をこえた分は、全額が自己負担です。
床の工事の見積書や内訳書には、工事をする部屋の面積など、工事の大きさを書きます(沖縄県介護保険広域連合の手引き)。那覇市の手引きでは、申請に使う平面図に、ご本人が暮らす場所全体の間取りと、段差の高さを書くよう求めています。
※ 介護保険の住宅改修は、工事を始める前に、市町村への申請が必要です。申請の前に工事を始めると、支給されないことがあります。
仏壇のある部屋と、いすの暮らし(沖縄県の手引書)
沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』では、沖縄の特徴として、知人や親戚がたくさん集まる行事が多く、その中にはお年寄りも必ずいらっしゃると説明しています。
そのうえで、仏壇のある部屋の床(または床の一部)を、いすを使うことを考えてフローリングにする方法を紹介しています。沖縄の行事では、和室をほかの部屋と続き間にして使うことが多いので、和室とリビングを一体に使えるようにしておくと便利だとしています。

寝る部屋をどこにするかも、あわせて考えておきたいことです。手引書では、寝室の近くにトイレや浴室を置くことが勧められています。介護ベッドを置く部屋の選び方は「介護ベッドを置く部屋はどう選ぶ?」をご覧ください。
部屋の全部を板の床にするか、一部にするかは、ご本人がふだんどこで過ごすか、行事のときにどう使うかで変わります。なお、介護保険の対象になるのは、ご本人の移動のために必要な部分です。どこまでが対象になるかは、ケアマネジャーや市町村と確かめましょう。
部屋の使い方を決めてから相談する
床をかえる前に、その部屋をどう使うかを、ご家族と話しておくと進めやすくなります。
- ふだん過ごす部屋、寝る部屋、食事をする部屋はどこか
- いす・テーブル・ベッドを置くか
- 部屋から、トイレや玄関まで、どこを通るか
- 行事のときに、部屋をどう使うか
国土交通省の改修ガイドラインでも、ふだん使う部屋を同じ階にまとめることや、よく使う部屋を一体にして広く使えるようにすることが、配慮したいことに挙げられています。
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、部屋の使い方や動き方をうかがいながら、床の材料と段差の直し方を一緒に考えます。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。対応エリアは沖縄本島です(離島はご相談ください)。介護保険でできる工事はできる工事で、支給される額の目安は支給額チェックで確かめられます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。
よくある質問
答え:古くなったことが理由の張り替えは、対象にならない例です(那覇市の手引き)。沖縄県介護保険広域連合の手引きでは、心身の状況や住まいの状況から必要と認められる場合は、転んだときの衝撃をやわらげる畳などへの変更も認められるとしています。
答え:床材をかえるための下地の補修や、根太(床を支える木材)の補強は、床材の変更に付帯する工事として対象になります(厚生労働省の通知)。
答え:那覇市の手引きでは、部屋のあいだの敷居を低くしたり、取りはずしたりする工事は「段差の解消」として対象になる例です。床材の変更と一緒にできるかは、ケアマネジャーにご相談ください。
答え:家の持ち主がご本人でないときは、持ち主の承諾書が必要です(厚生労働省の通知)。退去するときに元に戻す工事の費用は、介護保険の対象になりません(沖縄市の資料・沖縄県介護保険広域連合の手引き)。まずは大家さんや管理会社にご相談ください。
参考にした情報
- 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて(老企第34号)(新しいタブで開きます)
- 介護保険における住宅改修(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン(新しいタブで開きます)
- 介護保険住宅改修費支給申請の手引き(令和4年12月改定)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の住宅改修費支給申請について(令和7年7月)(新しいタブで開きます)
- 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について(老企第42号)(新しいタブで開きます)
- 介護保険 住宅改修の手引き(令和7年4月改正)(新しいタブで開きます)