階段昇降機や段差解消機は介護保険で使える?
住宅改修と福祉用具の扱い
玄関の外の階段や、1階が駐車場で2階が住まいの家。「機械で上り下りできたら」と考える方もいると思います。
この記事は、ケアマネジャーさまに向けて、階段昇降機や段差解消機など、動力で段差を上り下りする機器の、介護保険での扱いをまとめました。住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)では対象外になること、福祉用具の「移動用リフト」として借りられるもの、手すりやスロープでできることを、厚生労働省と沖縄の市町村の資料をもとに紹介します。
動力で段差を上り下りする機器は、住宅改修の対象外
住宅改修の「段差の解消」は、敷居を低くする、スロープを付ける、浴室の床をかさ上げする、といった工事です。厚生労働省の通知では、この「段差の解消」から、昇降機、リフト、段差解消機など、動力で段差をなくす機器を付ける工事を除いています。
沖縄の市町村の手引きにも、同じことが書かれています。
- 那覇市(令和4年12月改定):昇降機やリフト、段差解消機など動力を伴う機器の設置工事は、対象外の例
- 沖縄市(令和7年7月の案内):昇降機、リフト、段差解消機など動力で段差をなくす機器は対象外。手動でも対象にならない
- 沖縄県介護保険広域連合(令和7年4月改正):動力で段差をなくす機器を付ける工事は対象外。リフトは、型によって福祉用具の貸与の対象になる
住宅改修は、手すりの取付けや段差の解消など、比較的小さな工事を対象にしたしくみです。厚生労働省の通知では、家の財産を増やすことにつながらないように、という考え方が示されています。
※ 住宅改修の対象になるかどうかは、保険者である市町村が決めます。迷うときは、工事の前に市町村に相談してください。
移動用リフトとして借りられるもの、借りられないもの
動力で人を持ち上げる機器の一部は、福祉用具の貸与(レンタル)の「移動用リフト」として借りられます。厚生労働省の通知では、移動用リフトを、次の3つの型に分けています。
- 床走行式:つり具やいすなどの台座で人を持ち上げ、キャスタなどで床や階段などを動いて、行きたい場所に移すもの
- 固定式:部屋や浴室、浴槽などに固定して、機器の動く範囲で人を持ち上げたり移したりするもの
- 据置式:床や地面に置いて、機器の動く範囲で人を持ち上げたり移したりするもの
床走行式には、階段などを動くものも含まれます。ただし、据置式からは、エレベーターと階段昇降機が除かれています。また、移動用リフトは、住宅の改修を伴うものも除かれます。
借りるときは、費用の1割(所得によって2割か3割)を払います。介護サービス情報公表システムの説明では、要介護度ごとに1か月に使える額が決まっていて、ほかの介護サービスと組み合わせて、その中で借ります。

「段差解消機」という名前の機器でも、貸与の対象になるかは、この3つの型にあてはまるかで決まります。人をつるす「つり具」の部分は、貸与ではなく、福祉用具の購入の対象です。機器を選ぶときは、ケアマネジャーと福祉用具の貸与事業者に確かめてください。
要支援・要介護1の方の移動用リフト
移動用リフトは、要支援1・2と要介護1の方は、原則として貸与の対象外です。厚生労働省の資料では、例外として借りられる場合が示されています。
- 日常的に立ち上がりがむずかしい方
- 乗り移り(移乗)に、一部か全部の介助がいる方
- 生活の環境で、段差の解消が必要と認められる方
3つ目には、あてはまる認定調査の結果がありません。主治医から得た情報や、福祉用具専門相談員などが参加するサービス担当者会議を通じたケアマネジメントで、居宅介護支援事業者が判断するとされています。
ほかに、医師の医学的な所見にもとづき、サービス担当者会議などで特に必要と判断された場合に、市町村が書面などで確かめて判断するしくみもあります。たとえば、病気などで状態が日や時間によって変わりやすい場合や、短い期間で急に悪くなることが確実に見込まれる場合です。この判断のしかたは、車いすや特殊寝台など、ほかの原則対象外の種目にも共通です。
1階が駐車場(ピロティ)の家で考えたいこと
沖縄には、1階を柱だけの空間(ピロティ)にして駐車場などに使い、2階から住まいにする家があります。沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』では、1階がピロティの家は、2階から住まいになるため、高齢の方には家に入るまでがひと苦労だとしています。そのうえで、大がかりな改装になるものの、ホームエレベーターや階段昇降機の導入も考えておくとよいかもしれない、と紹介しています。
国土交通省の「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」では、玄関・トイレ・浴室・食事をする部屋などを、寝室と同じ階に置くことが「推奨レベル」として示されています。介助用の車いすで使えるホームエレベーターがあり、トイレが寝室と同じ階にある場合は、この限りでないとしています。
こうした機器は、上で見たように、介護保険の住宅改修や貸与の対象になりません。国の通知では、市町村が、介護保険とは別に、対象外の工事などに助成することもできるとしています。お住まいの市町村に、ほかの制度がないかも確かめてみてください。
同じ手引書では、駐車場に屋根を付けると、車いすへの乗り換えや傘をさすときに便利だとしています。アプローチ(道路から玄関までの道)には、ゆるやかなスロープや手すりを付けて、通りやすくすることも勧めています。
手すり・スロープでできることと合わせて相談する
動力を使わない方法なら、介護保険の住宅改修を使えることがあります。

- 外階段や、玄関から道路までの通路に、手すりを付ける
- 段差にスロープを付ける(転落を防ぐ柵や立ち上がりは付帯工事)
- 玄関から道路までの通路の階段の段差を、ゆるやかにする(沖縄県介護保険広域連合の手引きに載っている厚生労働省のQ&Aの例)
- 階段に、すべり止めのゴムなどをしっかり固定して付ける(沖縄市の案内。置くだけのものは対象外)
沖縄市の案内では、階段の左右両方に手すりを付けるときは、両側に付ける理由を理由書にくわしく書くよう求めています。
どれも、工事の前に市町村への申請が必要です。機器と工事のどちらが合うかは、階段の高さや、体の状態、介助する人の様子で変わります。国土交通省の指針でも、家を改修するときは、家の構造による制約があることに気をつけ、必要に応じて、介助する人や理学療法士・作業療法士などの意見を聞くことが望ましいとしています。
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、手すりや段差の解消など、住宅改修でできる工事を一緒に考えます。申請に使う見積書・図面・工事の前の写真もご用意します。「ケアマネジャーの方へ」もご覧ください。スロープは「スロープを付けるには?」、外階段の手すりは「玄関の外や外階段の手すりは?」で紹介しています。
よくある質問
答え:沖縄市の案内では、昇降機、リフト、段差解消機などは、手動であっても住宅改修の対象にならないとしています。扱いは市町村が決めるので、ケアマネジャーと市町村に確かめてください。
答え:厚生労働省の通知では、据置式の移動用リフトから、エレベーターと階段昇降機を除いています。住宅改修でも、動力で段差をなくす機器の工事は対象外です。
答え:床走行式・固定式・据置式の移動用リフトは、福祉用具の貸与の対象です。要支援1・2と要介護1の方は原則として対象外ですが、体の状態などによって例外として借りられる場合があります。
参考にした情報
- 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて(老企第34号)(新しいタブで開きます)
- 厚生労働大臣が定める福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与に係る福祉用具の種目(平成11年厚生省告示第93号)(新しいタブで開きます)
- 要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について(新しいタブで開きます)
- どんなサービスがあるの? – 福祉用具貸与(新しいタブで開きます)
- どんなサービスがあるの? – 特定福祉用具販売(新しいタブで開きます)
- 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について(老企第42号)(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 介護保険住宅改修費支給申請の手引き(令和4年12月改定)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の住宅改修費支給申請について(令和7年7月)(新しいタブで開きます)
- 介護保険 住宅改修の手引き(令和7年4月改正)(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章(新しいタブで開きます)