玄関の外や外階段の手すりは?
沖縄の雨と潮風、台風のあとの見直し
玄関を出たところの段差や、道路まで下りる外の階段。家の中には手すりがあっても、外にはない家も多いのではないでしょうか。
この記事では、ご本人に向けて、玄関の外や外階段の手すりについて紹介します。介護保険で付けられる場所、沖縄の雨や潮風、台風と外の手すりの関係、台風のあとに見ておきたいことを、沖縄県や市町村の資料をもとにまとめました。
玄関から道路までの通路の手すりは、介護保険の対象
介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)では、玄関から道路までの通路に付ける手すりも対象です。厚生労働省の通知では、手すりを付ける場所として、廊下、トイレ、浴室、玄関と並んで、玄関から道路までの通路などが挙げられています。
市町村の手引きでも、家の外の手すりが対象になる例が載っています。
- 沖縄県介護保険広域連合(令和7年4月改正):玄関から道路までの通路への手すりの設置、スロープの設置、コンクリート舗装への変更などが対象
- 沖縄市(令和7年7月の案内):家の外の工事も、敷地の中なら対象
- 那覇市(令和4年12月改定):家の中や、外の敷地の中で、ふだん通る道筋に付ける手すりは対象。ふだん通らない所の手すりや、転落を防ぐための柵は対象外
沖縄市の案内では、外に出るための出入口の工事は、基本は1か所としています。玄関と勝手口の両方に付けたいときは、使い分ける理由を理由書に書く必要があります。階段などで左右両方に付けたいときも、両側に付ける理由を理由書に書くよう求めています。
※ 住宅改修は、工事の前に市町村への申請が必要です。対象になるかどうかは、保険者である市町村が決めます。
外の手すりが役に立つ場所(外階段・段差・坂)
消費者庁の資料(令和2年)では、65歳以上の方が自宅(庭や駐車場を含む)で転んだ場所として、「庭・駐車場」が2番目に多く、「玄関・勝手口」も上位でした。転び方では「すべる」「つまずく」が多くなっています。
外で手すりが役に立つのは、たとえば次のような場所です。

- 外階段:道路から玄関まで、階段を上り下りする所
- 玄関の前の段差:玄関ポーチの上がり口など
- 道路までの坂:通路が坂になっている所
国土交通省の「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」では、一戸建ての家の屋外について、アプローチ(道路から玄関までの道)を歩く人や車いすに配慮した形や寸法にすること、外階段の傾きや形を上り下りに安全なものにすること、外の照明で十分な明るさにすることが示されています。沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』でも、アプローチにゆるやかなスロープや手すりを設けること、すべりにくい床材にすること、外灯と足元灯で明るくすることを挙げています。玄関については、段差の前にたての手すりを付ける例も紹介しています。
沖縄の雨・潮風・台風と、外の手すり
沖縄県の手引書(第1章)では、那覇は東京や福岡に比べて、1年を通して風が強く、雨の多い月がほとんどで、湿度が70%をこえる月がほとんどだと紹介しています。家の外の手すりは、この雨と風、潮風を毎日受けています。
同じ手引書(第2章)では、沖縄は台風が多いため、玄関に雨水を入れない「雨じまい」が大切で、玄関と外のあいだに段差を付けるのが一般的だとしています。そのうえで、段差の小さい玄関の引き戸や、排水の溝(グレーチング)の付いた段差のない玄関の引き戸にする方法も紹介しています。玄関の外に段差がある家では、手すりがあると上り下りが楽になります。
同じ手引書では、家を傷める湿気の害(湿害)の例として、腐食やさびを挙げています。鉄骨の家については、外の空気にふれる金属には腐食への対策が必要だとしています。
雨の日は、外の通路や階段がぬれて、すべりやすくなります。政府広報オンラインでも、雨の日は道路や床がぬれてすべりやすいので注意が必要だとして、ぬれたスロープや、排水の溝のふたですべる例を挙げています。手すりがあれば、ぬれた階段や坂でも体を支えやすくなります。通路の床をすべりにくい舗装にかえる工事も、住宅改修の「床や通路の材料の変更」の対象です(厚生労働省の通知)。
台風のあとに見ておきたいこと(ぐらつき・さび・塩分)
沖縄県の手引書の附録には、住まいの点検の表があります。屋根や外の建具などは、台風が通ったあとに目で見て点検することが挙げられています。バルコニーの手すりの鉄やアルミの部分では、さび、腐食、破損、手すりのぐらつきが、点検する項目です。また、台風や強い風のあとは、建物に付いた塩分を洗うこと(特に建具のまわり)も書かれています。
これを参考に、台風のあとは、外の手すりも次の3つを見ておくと安心です。

- ぐらつき:手でゆすってみて、動かないか
- さび:手すりや、手すりを留めている所に、さびや傷みがないか
- 塩分:潮風で付いた塩分を、水で洗い流す
ぐらつきや傷みに気づいたら、そのまま使い続けずに、工事をした事業者などに見てもらってください。
なお、介護保険の住宅改修は、古くなったことが理由の取替えには使えません。沖縄市の案内では、手すりが老朽化しただけの理由での取替えは認められないとしています。自分の都合で外した手すりを、同じ場所に付け直す工事も、体の状態や場所が変わらなければ対象になりません。体の状態が変わって今の手すりでは合わなくなったときは、取替えや付け直しが対象になる場合があります(那覇市・沖縄市の手引き)。
外に出る道を一緒に歩いて相談する
外の手すりは、実際に歩いてみると、どこにほしいかが分かりやすくなります。ご家族やケアマネジャーと一緒に、玄関から道路まで歩いてみてください。次のことを確かめておくと、相談のときに役立ちます。
- どこで立ち止まるか、どこで手をつきたくなるか
- 雨の日や夜に、すべりやすい所、暗い所はないか
- ゴミ出しや買い物など、ふだん外に出るときの道筋
- 手すりを付けたい所が、塀や壁のそばか、何もない通路か
国土交通省の指針では、家を改修するときは、必要に応じて、介助する人や理学療法士・作業療法士などの意見を聞くことが望ましいとしています。手すりを付けるための下地の補強も、付帯工事として対象です(厚生労働省の通知)。
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、家のまわりを一緒に見ながら、外の手すりの場所や形を考えます。現地調査とお見積りは無料です。介護保険でできる工事はできる工事で、支給される額の目安は支給額チェックで確かめられます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。家の中の転倒予防は「家の中で転ばないために、今日からできることは?」で紹介しています。
よくある質問
答え:対象です。沖縄県介護保険広域連合の手引きでは、通路への手すりの設置のほか、スロープの設置やコンクリート舗装への変更なども対象としています。工事の前に、市町村への申請が必要です。
答え:沖縄県の手引書では、台風が通ったあとに目で見て点検することを勧めています。ぐらつきに気づいたら、そのまま使い続けずに、工事をした事業者などに見てもらってください。
答え:沖縄県の手引書では、台風や強い風のあとは、建物に付いた塩分を洗うよう勧めています(特に建具のまわり)。外の手すりも、あわせて水で洗い流すとよいでしょう。
参考にした情報
- 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて(老企第34号)(新しいタブで開きます)
- 介護保険 住宅改修の手引き(令和7年4月改正)(新しいタブで開きます)
- 介護保険住宅改修費支給申請の手引き(令和4年12月改定)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の住宅改修費支給申請について(令和7年7月)(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第1章(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)附録(新しいタブで開きます)
- たった一度の転倒で寝たきりになることも。転倒事故の起こりやすい箇所は?(新しいタブで開きます)
- 10月10日は「転倒予防の日」、高齢者の転倒事故に注意しましょう!(令和2年10月8日)(新しいタブで開きます)