ベランダや掃き出し窓の段差はどうする?
沖縄の家の出入口と介護保険
洗濯物を干すときや、庭や外へ出るときに通る、ベランダや掃き出し窓(床までの大きな窓)。毎日のように使う場所なのに、段差が大きくて、上り下りが気になることはありませんか。
この記事では、沖縄の家で外への出入口に段差があるわけと、国の指針の考え方、掃き出し窓にスロープや踏み台を付けるときの介護保険の扱いを、沖縄県や市町村の資料をもとに紹介します。ご本人が、ケアマネジャーやご家族と相談するときの目安にしてください。
外への出入口に段差があるわけ(沖縄の雨じまい)
沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』では、沖縄は台風が多いため、雨じまい(雨水を家の中に入れない工夫)が大切だと説明しています。玄関では、雨水が入らないように、外とのあいだに段差を付けるのが一般的です。
手引書には、雨水を防ぎながら段差を小さくする方法として、段差の小さい(20ミリメートルほど)玄関の引き戸や、排水の溝(グレーチング)を付けた段差のない引き戸も紹介されています。寝室には、直接外へ出られる掃き出し窓を設けることも勧められています。
国土交通省の「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」でも、家の中の床は段差のないつくりを基本としています。そのうえで、玄関や勝手口、バルコニー(ベランダ)の出入口の段差は、その例外として扱われています。
外への出入口は、転びやすい場所でもあります。消費者庁の資料(令和2年)では、65歳以上の方が自宅で転んだ場所として、浴室・脱衣所のほか、庭・駐車場、玄関・勝手口が多く挙がっています。転び方は「すべる」「つまずく」が多くなっていました。
国の指針にある、ベランダの出入口の考え方
国の指針は、家を建てたり直したりするときの設計の目安です。守らなければならない決まりではありません。
ベランダの出入口について、指針では、段差の大きさの目安が、何階のベランダか、踏み段を置くかなどの条件ごとに示されています。その中には、次のような考え方が入っています。
- 段差をできるだけ小さくする
- 踏み段(ベランダ側に置く1段の踏み台)を設けて、段差を2つに分ける
- 段差が残るところは、手すりを付けられるようにしておく

数字の目安は条件によって変わるので、実際の段差の高さは、工事の前に担当の人と一緒に測って確かめましょう。介護保険で工事をするときも、申請の写真では、段差に定規などを当てて、高さが分かるように撮ります(那覇市の手引き・沖縄市の資料)。
掃き出し窓から外へ出る道と、介護保険の扱い
介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)では、玄関から道路までの通路の段差の解消や手すりも対象になります。では、玄関ではなく、掃き出し窓から外へ出るときはどうでしょうか。
- 沖縄市の資料(令和7年7月)のQ&Aでは、玄関からの出入りがむずかしい理由があり、出入りの道を掃き出し窓に移す必要があるときは、掃き出し窓にスロープを付ける工事も対象になるとしています
- 沖縄県介護保険広域連合の手引き(令和7年4月改正)でも、掃き出し窓のスロープは「段差の解消」、そこから道路までの通路を設ける工事は「通路の材料の変更」として、対象になるとしています
- 一方で、沖縄市の資料では、外へ出るための出入口の工事は、基本的に1か所としています。玄関と掃き出し窓の両方に工事をしたいときは、使い分ける理由を理由書に書く必要があります
- 同じ沖縄市の資料では、段差の解消の対象外の例として「通路の新設・拡張」が挙げられています。通路の扱いは市町村によって違うことがあるので、先に確かめましょう
掃き出し窓から出たあとの通路も、すべりにくく歩きやすいかを見ておきましょう。厚生労働省の通知では、通路をすべりにくい舗装材にかえる工事も、住宅改修の対象として挙げられています。

国土交通省の「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」でも、玄関の改修がむずかしい場合は、縁側や掃き出し窓にデッキやスロープ、手すりを付けて、外へ出る道をつくる方法が紹介されています。
スロープは、段差の高さに合わせて長さが必要になります。沖縄市の資料では、スロープの傾きは1/12以下(高さ50センチメートルなら、長さ6メートル以上)とし、1/8をこえる工事は対象にならないとしています。くわしくは「スロープを付けるには?」をご覧ください。
※ 介護保険の住宅改修は、工事を始める前に、市町村への申請が必要です。申請の前に工事を始めると、支給されないことがあります。
踏み台・手すりで、上り下りしやすくする
スロープを付ける広さがないときは、踏み台や手すりで、段差を上り下りしやすくする方法もあります。那覇市の手引き(令和4年12月改定)では、次のように分けています。
- 踏み台:固定して付ける工事は、対象になる例です。固定せずに置くだけの踏み台やスロープは、対象にならない例です
- 手すり:段差の上り下りや立ち上がりの支えにする手すりや、ご本人がふだん通る動線の上の手すりは、対象になる例です。沖縄市の資料では、屋外の手すりも、敷地の中なら対象としています
- 柵:転落を防ぐための柵は、手すりの取付けとしては対象にならない例です
ただし、厚生労働省の通知では、スロープを付けるときに、転落や脱輪を防ぐための柵や立ち上がりを付ける工事は、スロープに付帯する工事として対象になるとしています。玄関の上がりかまち(玄関の段差)の踏み台は「玄関の上がりかまちを楽に上り下りするには?」で紹介しています。
毎日の動きを伝えて、相談する
ベランダや掃き出し窓の工事が必要かどうかは、ご本人の毎日の動きで決まります。沖縄市の資料では、ご本人にとって日常的に必要な動作や習慣(役割)を行う動線の上の改修も、給付の対象として検討するとしています。
洗濯物を干す、庭に出る、車に乗るために外へ出るなど、どの出入口をどんなときに使っているかを、ケアマネジャーに伝えてください。相談の前に、次のことをまとめておくと進めやすくなります。
- どの出入口を、いつ、何のために使っているか
- 玄関と掃き出し窓のどちらを、主な出入口にしたいか
- 外に出たあと、道路や駐車場までどこを通るか
- 家の持ち主(ご本人でないときは、持ち主の承諾書が必要です)
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、段差の高さを測り、毎日の動きをうかがいながら、踏み台・手すり・スロープのどれが合うかを一緒に考えます。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。対応エリアは沖縄本島です(離島はご相談ください)。介護保険でできる工事はできる工事で、支給される額の目安は支給額チェックで確かめられます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。
よくある質問
答え:玄関からの出入りがむずかしい理由があり、出入りの道を掃き出し窓に移す必要があるときは、対象になる場合があります。沖縄市や沖縄県介護保険広域連合の資料に、その考え方が示されています。工事の前に、お住まいの市町村に確かめてください。
答え:那覇市の手引きでは、固定せずに置くだけの踏み台は、住宅改修の対象にならない例です。踏み台を固定して付ける工事は、対象になる例として挙げられています。
答え:那覇市の手引きでは、転落を防ぐための柵は、手すりの取付けの対象にならない例です。スロープを付けるときに、転落や脱輪を防ぐ柵を付ける工事は、スロープに付帯する工事として対象になります。
参考にした情報
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン(新しいタブで開きます)
- 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて(老企第34号)(新しいタブで開きます)
- 介護保険住宅改修費支給申請の手引き(令和4年12月改定)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の住宅改修費支給申請について(令和7年7月)(新しいタブで開きます)
- 介護保険 住宅改修の手引き(令和7年4月改正)(新しいタブで開きます)
- 10月10日は「転倒予防の日」、高齢者の転倒事故に注意しましょう!(令和2年10月8日)(新しいタブで開きます)