手すりはどこに付ける?
玄関・トイレ・浴室・廊下・階段の選び方
家の中で転ばないように、手すりを付けたい。でも、どこに付ければいいのか迷う方は多いと思います。
この記事では、家の中で転びやすい場所と、手すりを付けると役に立つ場所を、国や沖縄県の資料をもとに紹介します。手すりの高さの決め方や、介護保険で手すりを付けるときの注意もまとめました。
家の中で転びやすい場所
消費者庁によると、65歳以上の方が転んだ事故のうち、およそ半分(48%)は自宅で起きています。自宅(庭や駐車場を含む)で多かった場所は、浴室・脱衣所、庭・駐車場、ベッド・布団、玄関・勝手口、階段でした。転び方は「すべる」「つまずく」が多く、次に「ぐらつく」が続きます。
政府広報オンラインでも、自宅で転びやすい場所として、居間・寝室、玄関、階段・廊下、浴室が挙げられています。場所ごとの対策として、次のような例が紹介されています。
- 居間:1〜2センチメートルの段差はつまずきやすいので、スロープか手すりを付ける
- 玄関:手すりを付ける。上がりかまちが高いときは踏み台を置く
- 廊下・階段:足元がよく見えるよう照明を明るくする。階段にすべり止めを付ける
- 浴室:すべりにくい床にするか、すべり止めのマットを敷く。手すりを付ける
消費者庁も、段差のあるところや階段、玄関に、手すりやすべり止めを付けることを勧めています。毎日通る場所ほど、手すりや床の工夫で、転ぶ心配を減らせます。
手すりが役に立つ場所
介護保険の住宅改修では、廊下、トイレ、浴室、玄関、玄関から道路までの通路などに付ける手すりが対象になります。

1. 玄関
玄関の上がりかまち(玄関の段差)を上り下りするときや、靴をはいたり脱いだりするときに、体を支えます。国土交通省の指針では、玄関に、上がりかまちの上り下りや靴の着脱のための手すりを付けられるようにすることが示されています。
沖縄県の手引書では、段差の前にたての手すりを付ける例が紹介されています。上がりかまちが高いときは、踏み台を置く方法もあります。
沖縄は台風が多く、玄関に雨水を入れない工夫が大切です。手引書では、段差の小さい(20ミリメートルほど)玄関の引き戸や、排水の溝(グレーチング)を付けて段差をなくした玄関の引き戸が紹介されています。
2. 廊下
歩くときに体を支えやすくします。沖縄県の手引書では、廊下に手すりを付けることと、足元灯を付けることが紹介されています。
国土交通省の指針でも、家の中の照明を安全のために必要な場所に付け、十分な明るさにすることが示されています。夜にトイレへ行くときに通る廊下や、寝室の出入口は、手すりと一緒に、足元を照らす明かりがあると安心です。消費者庁も、足元を照らすランプや、段差をなくすスロープを増やす方法を紹介しています。夜の廊下の工夫は「夜、寝室からトイレまで安心して歩くには?」で紹介しています。
3. 階段
国土交通省の指針では、階段の手すりは、少なくとも片側に付けることが基本です。階段の傾きが45度をこえるときは、両側に付けます。高さは、段の先から700〜900ミリメートルの位置です。

段の端の色をかえたり、足元灯を付けたりして、段差を分かりやすくすることも大切です。
4. トイレ
便座に座る、立ち上がるときに体を支えます。国土交通省の指針でも、トイレには立ち座りのための手すりを付けることが示されています。位置と形の決め方は「トイレの手すりはどこに付ける?」で紹介しています。
沖縄では、トイレを水で洗う習慣から、廊下より床を低くしたトイレが多いと、沖縄県の手引書で紹介されています。トイレの出入口に段差があるときは、手すりと一緒に、段差の解消も考えます。
5. 浴室・脱衣所
浴室は、ぬれてすべりやすい場所です。国土交通省の指針では、浴槽に出入りするための手すりが基本で、浴室の出入り、浴槽の中での立ち座り、洗い場での立ち座りのための手すりも勧められています。脱衣所には、服を着たり脱いだりするときの手すりが示されています。くわしくは「浴室の手すりはどこに付ける?」で紹介しています。
浴室の出入口の段差は、国土交通省の指針では、20ミリメートル以下の段差にするか、浴室の内と外の高さの差を120ミリメートル以下、またぐ高さを180ミリメートル以下にしたうえで、手すりを付けることが示されています。段差をなくしにくい浴室ほど、手すりが大切です。
床をすべりにくいものにかえる工事も、介護保険の住宅改修の対象です。沖縄県の手引書でも、浴室は水にぬれてもすべりにくい床にすることが勧められています。
6. 玄関から道路までの通路
家の外の通路も、玄関から道路までなら、介護保険の住宅改修の対象になります。雨の日にすべりやすい場所や、段差のある場所に手すりを付けると、外出が楽になります。
手すりの形と高さの決め方
厚生労働省の通知では、手すりの形を「二段式、縦付け、横付け等適切なもの」としています。

階段のように国の指針で高さが示されている場所もありますが、トイレや浴室、玄関、廊下の手すりの高さは、国の決まった数字はありません。使う方の背の高さ、体の状態、立ち上がるときの動き方で、合う高さや位置が変わります。
国土交通省の指針でも、家を改修するときは、必要に応じて、介助をする方や、理学療法士・作業療法士などの専門家の意見を聞くことが望ましいとしています。実際に動いてもらいながら決めると、使いやすい手すりになります。工事の進み方は「手すりを付ける工事はどう進む?」で紹介しています。
介護保険で手すりを付けるときの注意
介護保険で手すりを付けるときは、工事の前に市町村への申請が必要です。また、次のような違いがあります。
- 対象になる例:段差の上り下りや、立ち上がるときの支えにする手すり。体に合わなくなった手すりの取替えや移設(那覇市の手引き)
- 対象にならない例:転落を防ぐための柵、ご本人がふだん通らない場所の手すり、体の状態から見て多すぎる手すり(那覇市の手引き)
- 床に置くだけなど、工事のいらない手すりは、福祉用具の貸し出しの扱いです
- ベッドに付ける手すりは、宜野湾市では、住宅改修ではなく福祉用具の貸し出しが適当としています
※ 介護保険で手すりを付けるときは、工事の前に申請が必要です。申請の流れは「介護保険の住宅改修、申請の流れは?」をご覧ください。
迷ったら、まず相談する
手すりは、付ける場所と高さで使いやすさが大きく変わります。まずは、困っている場面(どこで、どんな動きのときか)を、ケアマネジャーやご家族と話してみてください。
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、体の状態や動き方をうかがいながら、手すりの場所を一緒に決めます。介護保険から支給される額の目安は支給額チェックで、介護保険でできる工事はできる工事で確かめられます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。
よくある質問
答え:付けられる場合があります。家の持ち主がご本人でないときは、持ち主の承諾書が必要です。まずは大家さんや管理会社にご相談ください。
答え:工事のいらない置くだけの手すりは、住宅改修ではなく、福祉用具の貸し出しの扱いです。ケアマネジャーにご相談ください。
答え:那覇市の手引きでは、ご本人の体の状態に合わなくなった手すりの取替えや移設は、介護保険の対象になる例として挙げられています。まずはケアマネジャーにご相談ください。
答え:階段は、国の指針で段の先から700〜900ミリメートルとされています。トイレや浴室などは決まった数字がないため、使う方の体や動き方に合わせて決めます。
参考にした情報
- 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて(老企第34号)(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 10月10日は「転倒予防の日」、高齢者の転倒事故に注意しましょう!(令和2年10月8日)(新しいタブで開きます)
- たった一度の転倒で寝たきりになることも。転倒事故の起こりやすい箇所は?(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章(新しいタブで開きます)
- 介護保険住宅改修費支給申請の手引き(令和4年12月改定)(新しいタブで開きます)
- 過去の事例から確認された住宅改修の注意事項(令和7年3月)(新しいタブで開きます)