手すりを付ける工事はどう進む?
位置の決め方と壁の下地の補強
「手すりを付けたいけれど、工事はどんなふうに進むのだろう」「壁に穴をあけて大丈夫?」。初めて手すりの工事を頼むときは、分からないことが多いと思います。
この記事では、手すりを付ける工事の進み方を、位置の決め方、壁の中の下地(手すりを留めるための丈夫な部分)、申請に使う写真や書類の順に紹介します。介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)で付けるときの決まりも、国と市町村の資料をもとにまとめました。
手すりの位置は、実際の動きを見て決める
手すりは、付ける場所と高さで使いやすさが大きく変わります。国土交通省の「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」では、家を改修するときは、まず次のことをつかむよう示しています。
- 住む方の体の状態や、ふだんの動き方、暮らしの範囲、必要な介助
- 家の様子(部屋の形や広さ、柱・壁・窓などの位置、床の高さ)
- 今の家で困っていることと、その原因になっている家の様子
そのうえで、必要に応じて、介助する人や、理学療法士・作業療法士などの専門家の意見を聞くことが望ましいとしています。
位置と一緒に、手すりの形も動きに合わせて選びます。厚生労働省の通知では、手すりの形を「二段式、縦付け、横付け等適切なもの」としています。

入院中の方の家に手すりを付けるときも、動きを見ることが大切です。那覇市の手引き(令和4年12月改定)では、退院に合わせて工事を計画するときも、一時帰宅などの機会に、必ずご本人の家での動きや思いを確かめながら計画するよう求めています。宜野湾市の注意事項(令和7年3月)でも、退院してすぐの工事では、主治医や理学療法士・作業療法士などから情報を集め、家の調査の報告書などを参考にすることが望ましいとしています。
位置が決まったら、マスキングテープなどで壁に印を付けておくと、申請の写真にも使えます(沖縄県介護保険広域連合の手引き)。
壁の中の「下地」と補強の工事(付帯工事)
手すりには、立ち上がるときや歩くときに、体の重さがかかります。そのため、壁の表面だけでなく、壁の中の丈夫な部分にしっかり留める必要があります。この部分を「下地」といいます。
手すりを付けたい所に、留めるのに十分な下地がないときは、壁を補強してから取り付けます。厚生労働省の通知では、手すりの取付けのための壁の下地の補強は、手すりの工事に付帯して必要な工事として、介護保険の住宅改修の対象になるとしています。

手すりを付ける所にも決まりがあります。沖縄市のQ&A(令和7年7月)では、固定されていない下駄箱や家具に手すりを付けるのは対象にならず、作り付けの下駄箱など固定されたものなら対象としています。ベッドに付ける手すりは、沖縄市では必要と判断されれば対象にするとしていますが、宜野湾市では、ベッドは家ではないので住宅改修ではなく、福祉用具の貸し出しが適当としています。このように市町村で扱いが違うこともあるので、工事の前に確かめましょう。
壁に手を加えにくいときは、床に置いて使う手すりなど、工事のいらない手すりを借りる方法もあります。これは住宅改修ではなく、介護保険の福祉用具の貸し出しの扱いです。くわしくは「工事のいらない手すりとは?」をご覧ください。
沖縄の家の壁のつくり(鉄筋コンクリート・ブロックなど)
沖縄県の家づくりの手引書では、住宅の構造として、鉄筋コンクリート造(柱と梁で支えるもの、壁で支えるもの)、木造、鉄骨造、補強コンクリートブロック造などが紹介されています。1階は鉄筋コンクリート、2階は木造というように、2つ以上のつくりを組み合わせた家(併用構造)もあります。
壁のつくりや、仕上げの下がどうなっているかは、家によって違います。国の指針でも、家を改修するときは、その家の構造によって制約が出ることに気をつけるよう示しています。そのため、手すりの工事では、現地調査で壁の様子を確かめてから、留め方や補強が必要かを決めます。
同じ家の中でも、トイレや浴室、廊下、階段で壁のつくりが違うこともあります。場所ごとの手すりの付け方は、「浴室の手すりはどこに付ける?」や「階段の上り下りを楽にするには?」もご覧ください。
工事の前と後の写真・内訳書
介護保険で手すりを付けるときは、工事の前とあとに、市町村へ書類を出します。厚生労働省の通知では、写真や書類について、次のように決めています。
- 工事の前:工事をする場所ごとに、工事の前の様子と、工事のあとの予定の様子を、写真や簡単な図で示す
- 工事のあと:工事の前とあとの写真。原則として、撮影した日が分かるもの
- 工事費の内訳書:工事をした場所・内容・規模を書き、材料費・施工費・諸経費などを分ける
市町村の手引きには、写真の撮り方のくわしい決まりもあります。
- 那覇市:手すりの付ける場所に印を付ける。工事の前とあとは同じ位置から撮る
- 沖縄市:手すりがしっかり固定されていることが分かるように撮る。タオルやマットで隠れているものは使えない
- 沖縄県介護保険広域連合:日付の機能がないカメラでは、黒板や紙に日付を書いて写し込む。長い手すりは、両方向からも撮る
工事の内容が、申請のあとで変わるときは注意が要ります。沖縄市の案内では、手すりの位置を数cm動かすくらいなら届け出は要りませんが(ケアマネジャーと市への連絡は必要)、右側から左側に変わるなど、使い方が変わるときは申請をし直します。
※ 窓口や書類は変わることがあります。お住まいの市町村の窓口か、ケアマネジャーに確かめてください。
現地調査で、困っている動きを見てもらう
手すりの工事を考えたら、まずケアマネジャー(要支援の方は地域包括支援センター)に相談し、工事の事業者に家を見てもらいます。工事の前の申請には、ケアマネジャーなどが作る「住宅改修が必要な理由書」が要ります。理由書については「住宅改修の「理由書」とは?」で紹介しています。
工事が終わったあとの使い方も大切です。宜野湾市の注意事項では、工事のあとの確認で、手すりに物が掛けてあったり、手すりのそばに使うのをじゃまする物が置いてあったりする例が多いとして、ご本人のために使われていないと分かったときは、支給されないこともあるとしています。
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、現地調査で実際の動きを見ながら、手すりの位置と形を一緒に決めます。工事の前の申請に使う見積書・図面・工事前の写真や、工事のあとの写真などもそろえます。現地調査とお見積りは無料です。沖縄本島に対応しています(離島はご相談ください)。進み方はご依頼の流れで、ケアマネジャーの方は「ケアマネジャーの方へ」もご覧ください。
よくある質問
答え:対象です。厚生労働省の通知では、手すりの取付けのための壁の下地の補強は、手すりの工事に付帯して必要な工事として、介護保険の住宅改修に含まれるとしています。
答え:那覇市の手引きでは、工事の前の申請に使う写真や図面、見積書は、工事の事業者が作るとしています。かなさホームでも、工事前の写真などを用意してケアマネジャーさまにお渡しします。
答え:那覇市の手引きでは、ご本人の体の状態に合わなくなった手すりの取替えや移設は、対象になる例に挙げています。古くなったことだけが理由の付け替えや、自分の都合で外した手すりを付け直すのは、対象になりません(沖縄市のQ&A)。まずはケアマネジャーにご相談ください。
参考にした情報
- 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて(老企第34号)(新しいタブで開きます)
- 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について(老企第42号)(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章(新しいタブで開きます)
- 介護保険住宅改修費支給申請の手引き(令和4年12月改定)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の住宅改修費支給申請について(令和7年7月)(新しいタブで開きます)
- 介護保険 住宅改修の手引き(令和7年4月改正)(新しいタブで開きます)
- 過去の事例から確認された住宅改修の注意事項(令和7年3月)(新しいタブで開きます)