沖縄に多い平らな屋上(陸屋根)の家では、屋上のまわりを低い壁が囲んでいます。この屋上のふちの壁と、その上にかぶせた部材は、屋上の床と同じように、雨や日差しを受け続ける場所です。
この記事では、屋上のふちの「パラペット」と「笠木(かさぎ)」のしくみ、雨水が入りやすいわけ、見ておきたいサインと直し方を、国の改修工事の仕様や防水の業界団体の資料をもとに紹介します。屋上のふちのひびやさびが気になる方に読んでいただきたい内容です。
パラペットと笠木とは
日本防水材料協会の防水用語事典では、パラペットは「屋上などで、外周壁に沿って立上がっている胸壁(手摺状の壁)」と説明されています。屋上の床から立ち上がった、ふちの低い壁のことです。
笠木は、パラペットなどの上の面(天端)をおおうように取り付ける部材です。材料には、石・モルタル・ブロックや、金属などがあります。パラペットの上の面に雨水がしみ込まないよう、ふたのようにおおう部材です。国の公共建築改修工事標準仕様書(令和7年版)にも、屋上のパラペットなどの改修に使うアルミニウム製の笠木の決まりがあります。
屋上の防水層は、床だけでなく、パラペットの内側の面(立ち上がり)にも続けてつくります。防水層が終わる端の部分は「端末部」と呼ばれます。

ふちから雨水が入りやすいわけ
屋上のふちは、いくつもの部材が出会う場所です。住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、住宅はさまざまな部材の組み合わせでできているため、必ず「継ぎ目」が生じ、継ぎ目に雨水の対策が適切に取られていないと、雨漏りのリスクが高まると説明しています。屋上のふちでは、とくに次の2か所に気をつけます。
- 防水層の端:立ち上がりの防水層が終わる所です。端がはがれたり浮いたりすると、すき間から雨水が入るおそれがあります
- 笠木の継ぎ目と取り付け部:笠木は何本かをつないで取り付けるため、継ぎ目があります。木造の住宅の事例ですが、同じセンターは、笠木と外壁が接する部分や、笠木を留めるねじの穴などから雨水が入る場合があるとしています
国の改修工事の仕様では、パラペット、手すりの取り付け部、防水層の端などを「納まり部」と呼び、処理の方法を工事ごとに決めることにしています。それだけ、ていねいな処理が求められる場所です。
沖縄の気候も関わります。同じセンターによると、手すりと外壁が接する部分などのすき間を埋めるシーリング(弾力のあるゴム状の材料)は、紫外線や日射の熱を長く受けると劣化して、はがれやひび割れが出るため、定期的な手入れが必要です。台風が多い地域なので、金属の笠木の固定も大切です。国の仕様では、アルミニウム製の笠木は、建築基準法にもとづく風の力に耐える方法で固定することになっています。
見ておきたい5つのサイン

- 立ち上がりのひび・欠け:パラペットのコンクリートや、内側の防水層のひび割れ、角の欠け
- 防水層の端のはがれ・浮き:日本ウレタン建材工業会が紹介している防水層の診断表の例にも、防水層の端のはがれや、立ち上がりの角の浮きを調べる項目があります
- 笠木の浮き・ずれ:金属の笠木が浮いたり、継ぎ目でずれたりしていないか。国の仕様では、笠木は決められた位置にしっかり取り付けられていることが求められています
- 継ぎ目のシーリングの切れ:笠木の継ぎ目や、笠木と外壁が接する部分のシーリングが、はがれたり割れたりしていないか
- 手すりの根元のさび:鉄の手すりの根元のさびや、手すりのぐらつき
家の中では、最上階の天井や、壁の上のほうにしみがないかも見ておきます。住宅リフォーム・紛争処理支援センターによると、雨水が入った場所と、家の中で雨漏りに気づいた場所が離れていることや、いくつもの場所から雨水が入っていることもあります。
沖縄県の手引書では、防水層が表に出ている屋上は、台風が過ぎたあとに目で見て確かめ、5〜7年ごとにトップコートを塗り替えることが目安とされています。ベランダの鉄の部分は、3〜5年ごとの塗り替えが目安です。台風や強い風のあとは、建物に付いた塩分を洗い流すことも勧められています。
※ 屋上を歩くときは、防水層を傷つけないよう、やわらかい靴底の靴をはいてください。手すりのない屋上の端や、低いパラペットのそばには近づかず、高い所は無理に見ようとしないでください。
直し方は傷んだ場所で変わる
雨水の入り口が、防水層の端なのか、笠木の継ぎ目なのか、手すりの根元なのかで、直す所が変わります。日本ウレタン建材工業会は、防水層の信頼性や耐久性は、下地の良し悪しに大きく影響されると説明しています。表面だけでなく、下地のコンクリートの状態も確かめてから、直し方を決めます。
立ち上がりの防水をやり直す
屋上の防水を改修するときは、床と一緒に、立ち上がりの防水も施工し直します。国の仕様では、ウレタン防水の立ち上がりには、立ち上がり用(または床と共用)の材料を使うことになっています。シート防水では、立ち上がりの端を押さえの金物で固定したうえで、シーリング材を詰めます。パラペットのコンクリートのひびや欠けは、防水の前に補修します。
継ぎ目のシーリングを打ち替える
国の仕様の「シーリング再充填工法」では、古いシーリング材をできるだけ取り除き、清掃してから、新しいシーリング材を詰めます。
笠木を取り替える
笠木そのものが傷んでいるときは、取り替えを考えます。国の仕様では、アルミニウム製の笠木と笠木の継ぎ目はジョイントの金具でつなぎ、角の部分には、水が入らないように処理した部材を使うことになっています。
鉄の手すりのさびを落として塗る
塗料メーカーの日本ペイントは、鉄の部分の塗装では、塗る前のさび落とし(ケレン)が最も重要な工程だとしています。さびを落としてから、さび止めと仕上げの塗料を塗ります。
沖縄県の手引書では、屋上の防水層を補修するときに足場を組む必要があれば、外壁の補修と同時に行うことを検討するよう勧めています。パラペットの外側は外壁とつながっているので、外壁の塗り替えとあわせて考えるのも一つの方法です。
屋上のふちの状態を相談する
屋上のふちは、防水層の端、笠木の継ぎ目、手すりの根元と、雨水が入りやすい所が集まる場所です。台風のあとなどに、ひびやすき間、さびが出ていないかを見ておきましょう。
屋上に上がれないときや、写真を見てもらいたいときは、写真を送るだけで担当者が状態をお返しする写真で無料診断をご利用ください。防水工事の内容と工程は防水工事のページで紹介しています。アパートをお持ちの方は「アパートの外階段・共用廊下の床の防水」もあわせてご覧ください。
TRUSS では、傷んだ笠木を、金属の笠木をかぶせて取り替える工事もお受けしています。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。お問い合わせからどうぞ。
よくある質問
はい。さびを落としてから、さび止めと仕上げの塗料を塗ります。沖縄県の手引書では、ベランダの鉄の部分は、さびや腐食、手すりのぐらつきなどを確かめ、3〜5年ごとに塗り替えることが目安とされています。屋上の鉄の手すりも、外壁より早めの手入れが必要です。
パラペットの外側や笠木の一部は、地上から見えることもあります。現地調査のときに、私たちが屋上やドローンで確かめ、写真でお見せします。お客様が屋上に上る必要はありません。
傷みが継ぎ目のシーリングだけなら、古いシーリング材を取り除いて詰め直す(打ち替える)ことで直せる場合があります。ただ、雨水がほかの場所から入っていることもあるため、屋上のふち全体の状態を確かめてからご提案します。
はい。現地調査で、雨水がどこから入っているかを調べます。原因が分かったうえで、必要な工事だけをご提案します。