沖縄では、住まいの屋根のほか、離れや倉庫、物置などの屋根に、トタン(金属の板)が使われていることがあります。海に囲まれ、湿気の多い沖縄では、金属の屋根はさびとのつきあいが欠かせません。
この記事では、トタン屋根がさびるしくみと、海の近くでさびが進みやすいわけ、見ておきたいさびのサイン、塗装で守れる傷みと塗装では直らない傷みを、亜鉛めっきの業界団体や塗料メーカー、沖縄の公的な資料をもとに紹介します。
トタン屋根を守る「亜鉛めっき」のしくみ
トタンは、鉄の板の表面に亜鉛のめっきをした金属の板です。日本溶融亜鉛鍍金協会によると、亜鉛のめっきには、鉄を守る2つのはたらきがあります。
- 鉄をおおって守る:亜鉛の膜が鉄をすっかりおおい、酸素や水分、塩分から鉄を切り離します。亜鉛の表面には薄く緻密な膜ができ、亜鉛そのものが減るのもゆるやかになります
- 先に溶けて鉄を守る:めっきに傷がつき、鉄が見えてしまっても、まわりの亜鉛が鉄より先に溶け出して、鉄がさびるのを防ぎます

ただし、亜鉛は少しずつ溶けて減っていきます。亜鉛が減って守る力がなくなった所から、鉄そのものがさびはじめます。同じ協会の資料では、めっきの厚さの目安は、亜鉛鉄板で8〜20マイクロメートル、鉄骨などの構造物で75〜125マイクロメートルとされています。屋根などに使う薄い板のめっきは、構造物よりずっと薄いのです。
屋根の塗装は、このめっきの上に、塗膜をもう一枚重ねて守るものです。協会は、亜鉛めっきの上に合った塗装をすると、めっきだけの寿命と塗膜の寿命を足した値の、ほぼ2倍に当たるとしています(鉄骨などの構造物での説明)。
沖縄の海の近くで、さびが進みやすいわけ
日本溶融亜鉛鍍金協会は、日本の使う環境ごとに、亜鉛が1年に溶ける量(腐食速度)の平均を示しています。1平方メートルあたり、田園地帯は4.4グラム、都市・工業地帯は8.0グラム、海岸地帯は19.6グラムです。海岸地帯は、田園地帯の4倍以上です。

協会は、亜鉛の腐食は、海塩粒子(海から飛んでくる塩の粒)の濃さや風向き、湿度などに左右され、海に近いほど大きくなる傾向があると説明しています。
沖縄総合事務局と沖縄県が監修した『沖縄地区鋼橋防食マニュアル』(平成31年3月)でも、沖縄は1年を通して湿度が高く、月の平均気温が15℃を下回らないうえ、台風がよく来て海塩粒子の飛んでくる量が多いため、鉄にとって厳しい環境だとしています。鉄の腐食は、水と酸素があるところで起こり、塩分があると進み、湿度と気温が高いほど活発になります。
沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)では、朝方に金属製の屋根に朝露が付くことを、結露の例に挙げています。屋根の板は、雨のほかに、露でもぬれる時間があります。同じ手引書は、台風や強い風のあとに、建物に付いた塩分を洗い流すことを勧めています。
見ておきたい、トタン屋根のさびのサイン
地上や窓から見える範囲で、次のようなサインがないかを見てみましょう。

- 白いさび(白さび):亜鉛のさびです。協会は、白色や、一部に淡い褐色の斑点を伴う、かさばった亜鉛のさびで、白墨の粉が付いたような見た目だと説明しています
- 赤さび:茶色や赤茶色のさびは、鉄のさびです。めっきの守りがなくなった所で出てきます
- ボルトやくぎのまわり:沖縄の橋の資料では、ボルトの継ぎ目が早く腐食することが、県内の橋の塗装の傷みの特徴の一つとされています。TRUSS の屋根塗装のページでも、継ぎ目やボルトまわりからの雨漏りを、よくある症状に挙げています
- 板の重なり・継ぎ目:同じ資料は、塩分が付きやすい形や、塩分を含んだ水がたまりやすい形を避けるよう求めています。屋根の板の重なりや継ぎ目も、水やごみが残っていないか見ておきたい所です
- 穴・めくれ:沖縄県の手引書は、屋根の点検の項目に、破損やめくれ、ガタつきを挙げています
※ 屋根に上って確かめるのは、転落のおそれがあり危険です。地上から見える範囲で、写真に撮っておきましょう。沖縄県の手引書でも、傾きのある屋根は、勾配や屋根の材料によっては専門家による点検が望ましいとされています。屋根に上らずに状態を確かめる方法は「屋根に上らずに状態を確かめるには?」で紹介しています。
塗装で守れる傷みと、塗装では直らない傷み
塗装は、板の表面に膜をつくって、さびのもとになる水や塩分から守るものです。塗る前の下準備で、仕上がりと長持ちが変わります。
塗る前に、さびと塩を落とす
日本ペイントは、鉄の部分の塗装では、塗る前のさび落とし(ケレン)が最も重要な工程で、さびが多く残ったままだと、さび止めが本来の力を発揮できないとしています。国土交通省の改修工事の仕様でも、亜鉛めっきをした鉄の面を塗り替えるときは、傷んでもろくなった塗膜やさびを取り除き、しっかり付いている塗膜は残して、汚れや油分を落としてから塗る手順になっています。
海の近くでは、塩も落とします。日本ペイントは、海沿いの家の鉄骨の塗り替えについて、海から飛んできた塩が表面に付いているため、さびや傷んだ塗膜といっしょに丁寧に取り除くこと、さび止めを通常より厚めに塗ること、耐候性(日差しや雨に耐える力)のよい上塗りを選ぶことをポイントに挙げています。
亜鉛の面と屋根に合った塗料を選ぶ
日本溶融亜鉛鍍金協会は、亜鉛は反応しやすい金属なので、鉄と同じように塗ると、亜鉛と塗料の成分が反応して、塗膜がはがれることがあると説明しています。日本ペイントも、外壁用の塗料をトタン屋根に塗ると、平らにきれいに仕上がらなかったり、十分な耐久性が得られなかったりするおそれがあるとしています。屋根用の塗料は、紫外線の直射や雨の多さを考えて、耐久性を高めに設計されています。
TRUSS のトタン屋根の施工事例では、高圧洗浄でさびや汚れ、浮いた塗膜を落とし、くぎのまわりや継ぎ目のコーキングを打ち替えてから、さび止めの下塗りと上塗りをしています。屋根塗装の工程は「屋根塗装の工程」でくわしく紹介しています。
塗装だけでは直らない傷み
雨漏りの原因が、屋根材の割れや下地の傷みにあるときは、塗装だけでは直りません。さびで板に穴があいている、板がめくれているといった傷みは、板の補修や取り替えが必要になることがあります。現地で状態を確かめてから、補修と塗装の組み合わせを考えます。
倉庫やガレージに多い折板屋根は「倉庫・工場・ガレージの折板屋根」、ベランダの手すりや門扉など鉄の部分のさびは「ベランダの手すり・門扉・フェンスのさび」で紹介しています。
トタン屋根の状態を確かめる・相談する
白さびは亜鉛のさび、赤さびは鉄のさびです。トタン屋根は、亜鉛のめっきと塗膜で鉄を守っていて、海の近くでは亜鉛が早く減ります。地上から見える範囲で、ときどき屋根のようすを見ておきましょう。
さびや継ぎ目が気になったら、写真を送るだけで担当者が状態をお返しする写真で無料診断をご利用ください。屋根の状態は、ドローンを使って調べることもできます。工事の内容は屋根塗装のページで、これまでの屋根の工事は施工事例でご覧いただけます。外壁もあわせて確かめたいときは、劣化セルフ診断が便利です。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。お問い合わせからどうぞ。
よくある質問
日本ペイントは、塗る前のさび落とし(ケレン)を、鉄の部分の塗装で最も重要な工程としています。さびが多く残ったままだと、さび止めの力が十分に発揮されません。塗装の前に、さびや傷んだ塗膜を落とします。
日本ペイントによると、新しい溶融亜鉛めっきの面には、製造のときに使われた、塗料の付きを悪くする物質が付いている可能性が高く、専用の下塗りを使わないと塗膜がはがれやすくなります。雨ざらしで半年ほどたち、光沢がにぶくなってからは、白さびを落とせば、さび止めを使って鉄の部分と同じように塗れるとしています。
屋根は日差しや雨を直接受けるため、外壁より早く傷みやすい場所です。10年前後を目安に点検し、色あせやコケ、ひび割れがあれば塗り替えを考えましょう。
雨漏りの原因が、屋根材の割れや下地の傷みにある場合は、塗装だけでは直りません。原因を調べたうえで、補修と塗装を組み合わせてご提案します。
参考にした情報
- 溶融亜鉛めっきとは(新しいタブで開きます)
- 溶融亜鉛めっきの耐食性(新しいタブで開きます)
- めっきFAQ(新しいタブで開きます)
- 亜鉛めっき上の塗装について(新しいタブで開きます)
- 沖縄地区鋼橋防食マニュアル(平成31年3月)(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章・附録(新しいタブで開きます)
- 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 7章 塗装改修工事(新しいタブで開きます)
- 外壁用塗料で屋根も塗装できますか?(新しいタブで開きます)
- ピカピカと光輝く亜鉛めっき鋼面には塗装できないと聞いたが本当ですか?(新しいタブで開きます)
- さび止めペイントは、塗る前にさび落としが必要ですか?(新しいタブで開きます)
- 自宅が海沿いにあるのでガレージやベランダの鉄骨を耐塩害対策仕様で塗り替えたい。(新しいタブで開きます)