沖縄に多い平らな屋上(陸屋根)は、エアコンの室外機や貯水タンクを置いたり、植木鉢を並べたりと、暮らしの中でよく使われる場所です。一方で、屋上の床には、雨水が家の中に入らないようにする防水層があります。使い方によっては、この防水層を傷めてしまうことがあります。
この記事では、屋上に物を置くときに気をつけたいこと、機器や植栽を後から付ける前に相談したいこと、台風の前後と日ごろの点検を、防水の業界団体や沖縄県、国の資料をもとに紹介します。屋上を使っている戸建てやアパートのオーナーの方に読んでいただきたい内容です。
屋上の機器のまわりは、防水で気をつけたい場所
日本ウレタン建材工業会は、防水層が長く働き続けるための「維持管理上のお願い」をまとめています。その中で、屋上の使い方の分類(人が歩いて使う屋上か、ふだんは歩かない屋上か、など)は外から見ただけでは分からないことがあり、設計図などで確かめるよう求めています。決められた使い方をこえて使うと、防水層の働きを損なうおそれがあるためです。

- 室外機の架台(機器をのせる台)
- タンクの架台
- 植木鉢
- 配管のまわり(配管が屋上の床や壁を通る所)
- 排水口(ドレン)
国の改修工事の仕様書では、設備の機器の架台、配管を受ける部分、配管が防水層を通るまわりなどは、防水層の端やつなぎ目の処理(納まり)を、建物ごとに決めることになっています。日本防水材料協会のガイドラインにも、防水を直す工事では、屋上に置かれた配管や架台をそのままにして工事をしなければならないことが多い、と書かれています。機器のまわりは、防水にとって気をつけたい場所です。
防水層を傷めやすい使い方
日本ウレタン建材工業会は、ウレタン防水の屋上の使い方の注意として、次のことを挙げています。
- 重い物を引きずったり、落としたりしない。椅子やテーブルを置くときは、脚をゴムなどで保護する
- 火を使わない。たばこの吸い殻や花火は、防水層に穴があく原因になる
- 溶剤・ガソリン・不凍液などの薬品をこぼさない。防水層がやわらかくなり、ふくれやはがれの原因になる
- 歩くときは、ゴム底の履物かスリッパにする。ハイヒールやスパイクシューズは防水層を傷つける
- 洗うときは、中性洗剤のほかの洗剤を使わない
- 犬などのペットを屋上で飼わない(ふん尿が防水層を傷める)
表面がぬれていると滑りやすいことにも、気をつけてください。
植木鉢と物置
同じ工業会のQ&Aでは、ウレタン防水の上に植木鉢を置くときは、ゴムマットを敷き、その上に受け皿、その上に植木鉢を置くよう勧めています。植木鉢のまわりに水がたまらないよう、定期的な掃除も必要です。防水層の上に直接土を入れて花や野菜を育てることは、土で水がたまり防水層を傷めるおそれがあるため、できないとしています。物置もゴムマットを敷いてから置き、ごみがたまりやすいので、ときどき掃除します。
国土交通省中部地方整備局の資料では、屋上に草が茂ると防水層を傷つけ、破れて室内へ水が漏れる危険があるとしています。根が深く張った草は、引き抜くと防水層を傷めるため、付け根から切り落とします。
機器や植栽を後から付ける前に相談したいこと
日本ウレタン建材工業会は、建物の引き渡しのあとで屋上に次のものを付けるときは、建物を建てた会社に相談するよう求めています。
- 太陽光発電の設備:風や振動で、パネルが動くおそれがある
- 避雷針・アンテナ・空調の機器など:安全に取り付けられるようにする
- 植栽
屋上緑化の注意点
沖縄県の「沖縄の住まいづくり」では、屋上緑化(屋上に植物を育てること)を暑さ対策の一つとして紹介し、注意点として次のことを挙げています。
- 屋上でも育つ種類の植物を選ぶ
- 土は軽くする(人工の軽い土を使う)
- 防根シート(根が入り込まないようにするシート)を使い、防水層やコンクリートを傷めないようにする
- 防水層の立ち上がり(屋上のふちで、壁に沿って立ち上げた防水層)を確保する
- 定期的に水やりができる仕組みと、排水の設備をつける
機器の土台と、防水の保証
国土交通省中部地方整備局の資料では、屋上の機器の土台のモルタルがはがれたり浮いたりし、中の鋼製のボルトがさびると、コンクリートがはがれ落ちて、土台の強さが足りなくなるとしています。強風や地震のときに、機器が落ちたり倒れたりしないようにすることも求めています。
日本防水材料協会のガイドラインでは、防水工事の保証書に、保証の期間中に屋上に物を付ける工事などで防水した部分に手を加えたときは責任を負わない、という内容を書くよう勧めています。機器を付ける前に、防水工事の保証書もあわせて確かめておきましょう。
台風の前後と、日ごろの点検
日ごろの手入れと、機器を付ける前の相談をまとめると、次のようになります。

- 排水口:日本ウレタン建材工業会は、1か月に1度は点検して、土や枯れ葉を取り除くことを勧めています。飛んできた物や泥のつまりを取り、水たまりができないようにします。中部地方整備局の資料も、大雨が予想されるときは、前もって排水口を点検するとしています
- 室外機:沖縄県の手引書によると、エアコンの室外機は台風による被害が多く、金具やワイヤーで固定すると防げます。点検の目安の表では、室外機は台風が過ぎたあとに目で見て確かめることになっています。室外機やエコキュートは、雨が塩分を洗い流すように、できるだけ雨の当たる場所に置くのが適しているとしています
- 防水層:同じ表では、防水層が表に出ている屋上は、台風が過ぎたあとに、トップコート(防水層を守る表面の塗料)の傷み、防水層の割れ・膨らみ・亀裂、水たまりを目で見て確かめることが勧められています。補修の目安は、5〜7年ごとのトップコートの塗り替えと、12〜15年くらいでの防水層の補修の検討です
- 塩分:台風や強い風のあとは、建物に付いた塩分を水で洗い流します(特に窓やドアのまわり)
日本ウレタン建材工業会は、トップコートが薄くなっている、はがれている、ひび割れているなどに気づいたら、施工した会社に連絡するよう求めています。機器の架台や配管のまわりも、あわせて見ておきましょう。
※ 屋上を歩くときは、やわらかい靴底の靴をはき、手すりのない屋上の端には近づかないでください。台風が近づいてから屋上に上ることは、絶対にやめてください。
屋上の状態を相談する
屋上は、物を置く場所であると同時に、家を雨から守る防水層のある場所です。重い物・とがった物・火・薬品に気をつけ、機器や植栽を付ける前には相談し、台風の前後には排水口と機器のまわりを見ておくと、防水層を長持ちさせることにつながります。
屋上の水はけは「屋上に水たまりが残るのはなぜ?」、排水口の掃除は「屋上・ベランダの排水口(ドレン)掃除のしかた」、屋上のふちの点検は「屋上のふち(パラペット)と笠木の点検」で紹介しています。
機器のまわりのひび割れやふくれが気になるときは、写真を送るだけで担当者が状態をお返しする写真で無料診断をご利用ください。防水工事の内容は防水工事のページで、これまでの工事は施工事例でご覧いただけます。屋上緑化や、太陽光パネルの取り付けまわりの防水のご相談もお受けしています。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。
よくある質問
日本ウレタン建材工業会は、ウレタン防水の上に植木鉢を置くときは、ゴムマットを敷き、受け皿の上に植木鉢を置くよう勧めています。防水層の上に直接土を入れて育てることはできません。屋上緑化をするときは、防根シートや防水層の立ち上がり、排水の設備が必要になるので、前もってご相談ください。
日本ウレタン建材工業会は、引き渡しのあとで屋上に太陽光発電の設備を付けるときは、風や振動でパネルが動くおそれがあるため、建物を建てた会社に相談するよう求めています。防水工事の保証書の中身も、あわせて確かめてください。
防水層を傷つけないよう、ゴム底の履物ややわらかい靴底の靴をはきます。ハイヒールやスパイクシューズははかないでください。表面がぬれていると滑りやすいので、雨のあとは特に気をつけ、手すりのない屋上の端には近づかないでください。