ベランダの手すりや門扉、フェンス、外階段など、家のまわりの鉄の部分(鉄部)は、外壁よりも早くさびが出やすい場所です。海に囲まれた沖縄では、潮風と湿気の影響を受けやすく、こまめな手入れが欠かせません。
この記事では、海の近くで鉄がさびやすいわけと、点検と塗り替えの目安、さびを落としてから塗るまでの工程、アルミや亜鉛めっきの部分の扱いを、沖縄県の手引書や国の工事の仕様書、塗料メーカーの説明をもとに紹介します。
海の近くで鉄がさびやすいわけ
沖縄総合事務局と沖縄県が監修した鋼の橋の資料(沖縄地区鋼橋防食マニュアル)では、鉄は水と酸素があるとさび、塩分などがあるとさびが進むと説明されています。さびの進み方は、湿度が高く、気温が高いほど活発になり、飛んでくる塩分の量や雨、結露でぬれている時間などによっても変わります。
同じ資料によると、沖縄は月の平均気温が年間を通して15℃以上で、相対湿度も年間を通して70%以上と高く、ほかの県にくらべて鉄にとって厳しい環境です。台風が多く、海の塩の粒(海塩粒子)が多く飛んでくるため、さびが進みやすい地域とされています。別の章では、沖縄は気温が年平均22.7℃、湿度が年平均78%と高く、結露の回数も東京の2倍以上だと書かれています。資料では、台風が通った月は、鉄のさびの進み方が大きくなるという調査の結果も紹介されています。
亜鉛めっき(さびを防ぐために鉄の表面に亜鉛をつけたもの)の業界団体である日本溶融亜鉛鍍金協会も、亜鉛のさびの進み方は、一般に海に近いほど大きくなるとしています。協会の表では、亜鉛の平均の腐食の速さは、田園地帯で1年に1平方メートルあたり4.4グラム、海岸地帯で19.6グラムです。
鉄部の点検と塗り替えの目安
沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』には、住まいの点検と補修の目安の表があります。ベランダ(バルコニー)の鉄の部分は、さび、腐食、破損、手すりのぐらつきを確かめる項目とし、3〜5年ごとの塗り替え、15〜20年くらいでの全面補修の検討が目安とされています。外壁の塗装の目安(10〜15年くらいで全面補修を検討)より、短い間隔です。
同じ手引書では、台風や強い風のあとに、建物に付いた塩分を水で洗い流すこと(特に窓やドアのまわり)も勧められています。手すりや門扉も、台風のあとに見ておきたい場所です。
橋の資料では、ボルトのつなぎ目が早くさびやすいことや、塩分を含んだ水がたまりやすい形の所でさびが進むことが挙げられています。家の手すりや門扉でも、つなぎ目や根元、水がたまりやすい下のほうをよく見ておきましょう。
※ 手すりのぐらつきは、手引書でも点検の項目になっています。ぐらつきや、穴があくほどのさびがあるときは、体重をかけないようにして、早めに専門の業者に見てもらってください。
塗り替えの工程(さび落とし → さび止め → 上塗り)
鉄部の塗り替えは、大きく3つの工程で進めます。仕様書では、気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露などで塗料が乾きにくいときは塗らないこと、外の塗装は雨のおそれや強い風があるときは原則として行わないことも決められています。

1. さび落とし(ケレン)
日本ペイントは、鉄部の塗装で、塗る前にさびを取り除く工程(ケレン)を「最も重要な工程」としています。さびが多く残ったままだと、さび止めの力が十分に発揮されないためです。国の工事の仕様書(公共建築改修工事標準仕様書)でも、塗り替えでは、ディスクサンダーやスクレーパーなどの道具で、傷んでもろくなった塗膜とさびを取り除き、しっかり付いている塗膜は残すこと、汚れや付着物をワイヤブラシなどで取り除くことが決められています。
2. さび止め
さびを落としたら、さび止めの塗料を塗ります。仕様書の塗り替えの方法では、1回目は鉄の地肌が出た所に塗り、表面を整えてから、2回目を全体に塗ります。日本ペイントによると、さび止めは塗り重ねて厚くすることで、よりさびにくくできますが、極端に厚くすると、かえってはがれなどが起きることがあります。
3. 上塗り
最後に、色と耐候性(日差しや雨への強さ)を受け持つ上塗りの塗料を塗ります。日本ペイントによると、平らな鉄の面に、さび止め・中塗り・上塗りを3回塗ったときの塗膜の厚さは、平均で0.1ミリメートル(100マイクロメートル)前後です。
海の近くの家で気をつけたいこと
日本ペイントは、海沿いの家のガレージやベランダの鉄骨を塗り替えるときのポイントとして、次の3つを挙げています。
- 表面に付いた海の塩を、さびや傷んだ塗膜といっしょにていねいに取り除く
- さびを防ぐ力にすぐれたさび止めを、ふつうより厚め(たとえば2回塗り)に塗る
- 耐候性にすぐれた上塗りの塗料を選ぶ
橋の資料でも、沖縄は全域が海の塩の影響を受けるため、塗る前に付いた塩分を、高い圧力の水で洗って取り除くことを原則としています。
下塗りの種類と役割は「下塗りはなぜ大事?」、金属の屋根の塗装の下準備は「屋根塗装の工程」でも紹介しています。
アルミや亜鉛めっきの部分はどうする?
手すりや門扉には、鉄のほかに、アルミや、亜鉛めっきをした鋼が使われていることもあります。材料によって、手入れの考え方が変わります。

- アルミ:沖縄県の手引書では、ベランダのアルミの部分は、さび、腐食、破損、手すりのぐらつきを随時点検し、15〜30年くらいで全面補修を検討することが目安とされています
- 亜鉛めっき:日本溶融亜鉛鍍金協会によると、亜鉛は反応しやすい金属のため、鉄と同じやり方で塗ると、亜鉛と塗料の成分が反応して塗膜がはがれることがあります。合った塗り方をすれば、めっきと塗装の二重の守りで長持ちするとされています
日本ペイントによると、新しい溶融亜鉛めっき(どぶ漬けめっき)の表面には、つくるときに使った、塗料のくっつきを妨げる物質が付いている可能性が高く、専用の下塗りを使わないとはがれやすくなります。雨ざらしで半年ほどたち、光沢がにぶくなったものは、白いさびを取り除いてから、一般的なさび止めで鉄と同じように塗れるとしています。仕様書でも、亜鉛めっきの面は、鉄の面とは別に下地の整え方が決められています。
鉄部の塗り替えを相談する
鉄部は、潮風と湿気でさびやすく、沖縄県の手引書では3〜5年ごとの塗り替えが目安です。塗り替えでは、さびを落とす下準備がいちばん大切です。材料がアルミや亜鉛めっきのときは、塗り方が変わります。
外壁塗装では、雨どいや手すりなど、外壁以外の部分(付帯部)も塗ります。TRUSS では、ぐらつく手すりや腐食が進んだ鉄部の取り替え・溶接などの補修も、アルミの手すりや門扉の塗装もお受けしています。工程は外壁塗装のページで、鉄のシャッターの防錆塗装の例は施工事例で紹介しています。倉庫やガレージの金属の屋根は「倉庫・工場・ガレージの折板屋根」もご覧ください。さびの広がりが気になるときは、写真を送るだけで担当者が状態をお返しする写真で無料診断をご利用ください。
よくある質問
沖縄県の手引書では、ベランダの鉄の部分は、さびや腐食、手すりのぐらつきなどを確かめ、3〜5年ごとに塗り替えることが目安とされています。外壁より早めの手入れが必要です。
さびを落としてから塗ります。日本ペイントは、塗る前のさび落とし(ケレン)を鉄部の塗装で最も重要な工程とし、さびが多く残ったままだと、さび止めの力が十分に発揮されないとしています。
日本ペイントによると、塩害対策の専用の決まった塗り方があるわけではありませんが、表面に付いた海の塩をさびや傷んだ塗膜といっしょにていねいに取り除くこと、さび止めをふつうより厚めに塗ること、耐候性にすぐれた上塗りを選ぶことがポイントです。
参考にした情報
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)附録(新しいタブで開きます)
- 沖縄地区鋼橋防食マニュアル(平成31年3月)(新しいタブで開きます)
- さび止めペイントは、塗る前にさび落としが必要ですか?(新しいタブで開きます)
- 自宅が海沿いにあるのでガレージやベランダの鉄骨を耐塩害対策仕様で塗り替えたい。(新しいタブで開きます)
- 外壁や屋根を塗装すると膜厚はどのくらいになりますか?(新しいタブで開きます)
- 上塗り塗料の塗り重ね回数を多くすれば、耐久性はより良くなりますか?(新しいタブで開きます)
- ピカピカと光輝く亜鉛めっき鋼面には塗装できないと聞いたが本当ですか?(新しいタブで開きます)
- 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 7章 塗装改修工事(下地調整・錆止め塗料塗り)(新しいタブで開きます)
- 溶融亜鉛めっきの耐食性(新しいタブで開きます)
- 亜鉛めっき上の塗装について(新しいタブで開きます)