親を呼び寄せて同居するとき、住宅改修は使える?
住所と20万円の考え方
離れて暮らしていた親を呼び寄せて、一緒に住むことにした。そんなとき、子どもの家に手すりを付けたり、段差をなくしたりするのに、介護保険を使えるのか気になる方は多いと思います。
介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)を使えるかどうかは、「どの家が親の住所か」で決まります。この記事では、住所地の住宅の考え方と、引っ越したときの20万円の扱い、子どもの家で工事をするときの承諾書を、国と市町村の資料をもとにまとめました。
住宅改修ができるのは「住所地の住宅」
住宅改修の対象になるのは、ご本人が実際に住んでいる家です。市町村の手引きでは、それを「介護保険の被保険者証に書かれている住所の家」としています。
- 那覇市(令和4年12月改定):被保険者証に書かれている住所で、家で暮らしている方が対象。被保険者証の住所ではない家の工事は、対象にならない
- 沖縄市(令和7年7月):被保険者証に書かれている住所の家の工事で、実際に住んでいること
- 沖縄県介護保険広域連合(令和7年4月改正):被保険者証に書かれている住所で、実際に住んでいる家
つまり、親を子どもの家に呼び寄せても、親の住所(被保険者証の住所)が前の家のままでは、子どもの家の工事は対象になりません。
また、工事の対象になるのは、ご本人がふだん使う場所です。那覇市の手引きでは、ご本人がふだん通らない場所の手すりや、体の状態から見て多すぎる手すりは、対象にならない例に挙げています。子どもの家では、親がふだん過ごす部屋、トイレ、浴室、玄関までの通り道を中心に考えます。

一時的に身を寄せている家は、対象になりにくい
「しばらくのあいだだけ、子どもの家で暮らす」という場合もあります。沖縄県介護保険広域連合の手引きにある国のQ&Aでは、次のように説明しています。
- 介護保険の住宅改修は、今住んでいる家が対象で、住所地の家だけが対象になる
- 子どもの家に一時的に身を寄せているときは、対象にならない。子どもの家に住所を移していれば、対象になる
- 住民票の住所と被保険者証の住所が違うときは、まず被保険者証の住所を住所地と考える
沖縄市のQ&Aでも、一時的に住む家の工事は対象にならないとしています。那覇市の手引きでは、入院中の方が一時的な外泊で家に戻るときの工事も、対象にならないとしています。
※ どの家が対象になるかは、市町村が決めます。窓口や書類は変わることがあります。お住まいの市町村の窓口か、ケアマネジャーに確かめてください。
住所を移したときは「転居」として、もう一度20万円まで
住宅改修の対象になる工事費は、1人につき20万円までです。ただし、引っ越し(転居)をしたときは、新しい家でもう一度20万円まで使えます。厚生労働省の通知では、上限の管理は今住んでいる家ごとに行うので、転居したら前の家の支給の状況にかかわらず、改めて20万円まで使えるとしています。

いくつか注意があります。
- 前の家に戻ったときは、前の家の支給の状況に戻ります。沖縄県介護保険広域連合の手引きの例では、前の家で15万円を使い、新しい家に移ったあと前の家に戻ると、前の家の残りの5万円が上限になります
- 那覇市の手引きでは、転居で20万円に戻るのは、被保険者証の住所が変わっている場合に限るとしています。沖縄市の案内でも、住民票の届け出をしたときとしています
- 沖縄市のQ&Aでは、同じ敷地・同じ番地で家を建て替えたり移ったりしても、転居にはならないとしています
- 「介護の必要の程度」が3段階以上重くなったときに、もう一度20万円まで使える決まりも、転居したあとは新しい家で初めて工事を始めた日の区分をもとに数えます
沖縄市の案内では、将来、体の状態が変わることも考えて、必要最小限の工事を行うよう求めています。20万円までなら何回かに分けて使えるので、引っ越してすぐに全部を使い切らず、暮らしながら必要な所を足していく考え方もあります。
親が住所を移すかどうかは、介護保険だけでなく、暮らし全体にかかわることです。市町村をまたいで引っ越すときは、介護保険の手続きも必要になるので、前の市町村と新しい市町村の窓口で確かめてください。
家の持ち主が子どものときの承諾書
子どもの家で工事をするときは、家の持ち主がご本人(親)ではありません。国の決まりでは、家の持ち主がご本人でないときは、持ち主の承諾書を出します。持ち主がお子さんなら、お子さんが承諾書を書きます。
承諾書の様式は、市町村によって違います。
- 那覇市:持ち家(持ち主がご家族)と賃貸で様式が違う。持ち主がご本人の配偶者のときは、出さなくてよい
- 沖縄市:持ち主がご本人以外の家族の名義のときは「承諾書2」を使う
- 沖縄県介護保険広域連合:持ち主がご本人でも、承諾書を出す
同じ家に、介護保険の住宅改修を使える方が2人以上いるときは、それぞれに20万円までの枠があります。ご夫婦で同居するときなどは「夫婦ふたりで住宅改修を使うときは?」をご覧ください。
同居を決めたら、引っ越しの前にケアマネジャーと市町村に相談する
呼び寄せが決まったら、次の順番で確かめると、手続きのやり直しを防げます。
- 親の住所を、子どもの家に移すかどうかを決める
- 引っ越し先の市町村の介護保険の窓口で、手続きと住宅改修の扱いを確かめる
- ケアマネジャー(要支援の方は地域包括支援センター)に、新しい家で困りそうな動きを伝える
- 新しい家で、手すりや段差の工事が必要な場所を見てもらう
- 工事の前に、市町村へ申請する
工事の前の申請には、ケアマネジャーなどが作る「住宅改修が必要な理由書」が要ります。国の通知では、理由書は、ご本人の体の状態やふだんの動き方、家の様子などをもとに書くものとしています。新しい家でどう動くことになるかを、ケアマネジャーに具体的に伝えておきましょう。
入院中の親を、退院に合わせて呼び寄せることもあります。那覇市の手引きでは、退院して家で暮らす予定があれば、退院の前に工事の前の申請と工事ができ、支給の申請は家に戻ったあとにするとしています。退院の前の進め方は「退院が決まったら、家に戻る前に何をする?」をご覧ください。
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、新しい暮らしでの動き方をうかがいながら、工事の場所を一緒に考えます。現地調査とお見積りは無料です。沖縄本島に対応しています(離島はご相談ください)。支給額の目安は支給額チェックで、ご相談はお問い合わせからどうぞ。
よくある質問
答え:介護保険の住宅改修は、住所地の家が対象です。住民票と被保険者証の住所が違うときは、まず被保険者証の住所を住所地と考えます。一時的に身を寄せているだけの家は、対象になりません。
答え:転居したあとの家では、前の家の支給の状況とは関係なく、20万円まで使えます。前の家に戻ったときは、前の家の残りの額が上限になります。
答え:家の持ち主がご本人ではないので、持ち主の承諾書が必要です。沖縄県介護保険広域連合のように、持ち主がご本人でも出す決まりのところもあります。様式は市町村ごとに違います。
答え:家を新しく建てる工事や、増築で部屋を新しく作る工事は、住宅改修の対象になりません。ただし、新しく建てた家でも、完成したあとに手すりを付ける工事は、住宅改修の対象になります(沖縄県介護保険広域連合の手引きにある国のQ&A)。