夫婦ふたりで住宅改修を使うときは?
20万円の考え方と申請の分け方
ご夫婦が、ふたりとも要支援・要介護の認定を受けている。そんな世帯の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)では、「20万円は世帯で1つなのか、一人ずつなのか」「二人で使うトイレの手すりは、どちらの申請にするのか」と迷うことがあります。
この記事では、ケアマネジャーの方に向けて、同じ家に住む二人が住宅改修を使うときの考え方を、厚生労働省の通知(老企第42号)と市町村の資料をもとにまとめました。親子や兄弟姉妹など、ご夫婦以外で同じ家に住む場合も、考え方は同じです。
20万円は、一人ひとりにある
住宅改修で対象になる工事費の限度(支給限度基準額)は20万円です。要支援・要介護の区分にかかわらず、同じ額です。
国の通知では、限度額の管理は、被保険者(介護保険に入っている一人ひとり)ごとに行うとしています。そのため、同じ家に認定を受けた方が二人いれば、それぞれが20万円まで使えます。沖縄市の資料(令和7年7月)でも、支給限度基準額は「被保険者ごと同一住宅で20万円」と説明しています。

一人ずつなのは、限度額だけではありません。
- 自己負担の割合(1割〜3割)は、それぞれの負担割合証で決まります。20万円の工事をしたとき、介護保険から支給されるのは、1割負担の方は18万円、2割負担の方は16万円、3割負担の方は14万円です(国の通知)
- 介護の必要の程度が3段階以上重くなったとき(たとえば要支援1から要介護3)に、もう一度20万円まで使える決まりも、一人につき1回ずつです
- 転居したときに、新しい家でもう一度20万円まで使えるのも、一人ずつです
- 住宅改修を使えるのは、要支援・要介護の認定を受けている方です。認定を受けていない方の分は、申請できません
- 受領委任払い(自己負担の分だけを払う方法)を使えるかも、一人ずつ決まります。たとえば沖縄県介護保険広域連合の手引きでは、入院中・入所中の方は使えないとしています
沖縄市の資料では、住宅改修の対象を、被保険者証に書かれた住所の家で、実際に住んでいる方としています。ご夫婦のどちらかが施設に入所しているときは、その方の分の申請はできないことがあります。
同時に工事をするときは、使う人ごとに範囲を分ける
二人の工事を同じ時期に行うときは、申請の分け方に決まりがあります。国の通知では、同じ家で同時に二人の住宅改修を行うときは、それぞれの方にとって必要な範囲を決めて、その範囲が重ならないように申請するとしています。
通知には、次の例が挙がっています。
- それぞれの専用の部屋の床材を同時にかえたとき:それぞれが、自分の部屋の分を申請できる
- 二人で使う部屋の床材をかえたとき:どちらか一方だけが申請する

申請は一人ずつ行います。それぞれの申請に、その方の工事の範囲が分かる見積書や図面、写真をつけます。同じ工事を二人の申請に入れることはできません。
二人で使う場所(トイレ・廊下・浴室)の工事
トイレや廊下、浴室、玄関は、二人で使う場所になることが多い場所です。国の通知の例は床材の変更ですが、考え方は「範囲が重ならないように申請する」ことです。二人で使う場所の手すりや段差の工事は、どちらか一方の申請にします。
どちらの申請にするかは、その工事が、だれのどんな動きのために必要か(理由書に書く内容)をもとに考えます。迷うときは、工事の前に市町村の窓口に相談しましょう。
国の通知では、住宅改修は、ご本人の心身の状況や毎日の動線、住まいの状況、福祉用具の使い方、家族の構成などを、総合的に考えて行うものだとしています。また、いちど工事をすると簡単には直せないとしています。二人で使う場所の手すりは、高さや向きが二人の動きに合うかも、あわせて確かめておきましょう。
時期をずらして工事をするときも、限度額は一人ずつ管理されます。たとえば、先にAさんがトイレの手すりで限度額を使っても、Bさんの20万円は減りません。以前にどちらかが住宅改修を使ったことがあるかは、市町村で確かめられます(沖縄市の資料では、市の介護保険課の給付係で履歴を確認できるとしています)。
※ 介護保険の住宅改修は、工事を始める前に、市町村への申請が必要です。窓口や書類は変わることがあります。お住まいの市町村の窓口か、ケアマネジャーに確かめてください。
ケアマネジャーが別々のときの連絡
ご夫婦で、担当のケアマネジャーが違うこともあります。要支援の方は、地域包括支援センターの担当の方が相談の窓口です。
国の通知では、住宅改修が必要な理由書は、基本的に、その方のケアプランを作るケアマネジャーなど(地域包括支援センターの担当の方を含む)が作るとしています。また、理由書を作る人と、ケアプランを作る人が違うときは、十分に連絡を取り合うこととしています。
那覇市の手引きでは、ケアプランを作っている方は、工事の前の申請にケアプランの写しをつけるとしています。二人の申請では、それぞれのケアプランの写しが必要になります。
二人の工事を同時に進めるときは、次のことを担当どうしで共有しておくと、申請の範囲が重なりにくくなります。
- それぞれの申請に入れる工事の場所
- 二人で使う場所の工事を、どちらの申請にするか
- 工事の日程と、工事の事業者
理由書の書き方は「住宅改修の「理由書」とは?」で紹介しています。
二人の困りごとをまとめて相談する
二人の住宅改修では、家の中のどこで、だれが困っているかを、まとめて整理しておくと進めやすくなります。
- それぞれが困っている場所と動き
- 二人で使う場所(トイレ・廊下・浴室・玄関)
- 以前に住宅改修を使ったことがあるか
- 家の持ち主
家の持ち主の承諾書の扱いは、市町村で違います。那覇市の手引き(令和4年12月改定)では、持ち主が利用者本人の配偶者の場合は、承諾書を省略できるとしています。沖縄県介護保険広域連合の手引き(令和7年4月改正)では、持ち主が本人であっても承諾書が必要です。見積もりの見方は「住宅改修の見積書はどこを見る?」をご覧ください。
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、お二人の動き方をうかがいながら、工事の場所と申請の分け方が分かるお見積りを用意します。ご相談・現地調査・お見積りは無料です。対応エリアは沖縄本島です(離島はご相談ください)。支給される額の目安は支給額チェックで確かめられます。ケアマネジャーの方は「ケアマネジャーの方へ」もご覧ください。
よくある質問
答え:できません。国の通知では、同じ家で同時に二人の工事をするときは、範囲が重ならないように申請するとしています。二人で使う場所の工事は、どちらか一方の申請になります。
答え:20万円の限度額は、一人ずつ管理されます。どちらかが先に使った分は、その方の限度額から引かれ、もう一人の限度額は減りません。
答え:理由書は、基本的に、それぞれのケアプランを作るケアマネジャーや地域包括支援センターの担当の方が作ります。国の通知では、理由書を作る人とケアプランを作る人が違うときは、十分に連絡を取り合うこととしています。
答え:沖縄市の資料では、施設に入所している方が、ときどき家に帰るための工事は、支給の対象にならないとしています。那覇市の手引きでも、入院中や入所中の一時的な外泊のための工事は対象外です。家で暮らしている方の分は、その方の申請として使えます。