突然の訪問で住まいの工事をすすめられたら?
契約トラブルを防ぐポイント
「近くで工事をしている者です」と訪ねてきて、屋根や家の傷みを指摘し、工事をすすめる。こうした住まいの工事のトラブルは、高齢の方に多く寄せられています。
この記事では、ご本人とご家族に向けて、国民生活センターなどの資料をもとに、よくある手口と、契約してしまったときのクーリング・オフ、困ったときの相談先を紹介します。介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)で気をつけたいことも、あわせてまとめました。
高齢の方に多い、住まいの工事のトラブル
国民生活センターによると、2024年度に全国の消費生活センターなどに寄せられた、契約する人が65歳以上の相談は304,130件でした。相談全体の38.6%にあたり、2020年度からでいちばん高い割合です。
同じ資料では、年齢が上がるほど、訪問販売の相談の割合が高くなります。85歳以上では、訪問販売が、通信販売を抜いていちばん多くなりました。家にいる時間が長くなり、勧誘を受けやすいことが理由の1つと考えられています。
65歳以上の相談では、「点検商法」が手口の上位10位に入っています。商品やサービス別では、「屋根工事」の相談も多く寄せられています。
点検商法の手口
点検商法は、点検をきっかけに不安をあおり、工事などの契約をさせる手口です。国民生活センターの資料(2023年10月)では、屋根工事の点検商法について、相談に多い勧誘の言葉を紹介しています。
- 訪問のきっかけ:「近くで工事をしている者です」「工事の挨拶に来ました」「お宅の瓦がずれているのが見えましたよ」
- 不安をあおる:「このままだと台風が来たら雨漏りしますよ」「すぐに直さなければ大変なことに…」
- 安く思わせる:「この場で契約するなら特別に安くしますよ」「保険金を使って修理すればいいじゃないですか」
- 次々にすすめる:「外壁も傷んでいて工事が必要だ」「シロアリがいたので駆除しなければ」
資料の相談の事例には、「屋根瓦がずれているのが見えた」と訪ねてきた業者に屋根を見てもらい、瓦の写真を見せられて、その場で工事の契約をしたものがあります。ドローンで撮ったという写真を見せられた事例もあります。屋根は、住んでいる人からは見えにくい所です。資料では、そのため工事が必要かどうかを自分で決めにくく、業者の言葉を信じてしまいやすいと説明しています。
「保険金で直せる」という話にも注意が必要です。資料では、古くなって傷んだだけのものは、保険金の支払いの対象にならないとしています。うその理由で保険金を請求すると、保険の契約を解除されたり、罪に問われたりするおそれもあります。
同じ資料では、台風や大雪、地震などのあとをねらって、修理を持ちかける業者が多いとしています。相談は、梅雨の大雨や台風のあとの時期に増える傾向があるそうです。台風の多い沖縄でも、気をつけたい点です。
突然訪ねてきた業者には、無料と言われても、安易に点検をさせないことが勧められています。工事が必要だと思ったときも、すぐに契約しないで、家を建てた工務店などに相談したり、いくつかの事業者から見積もりを取ったりして、比べてから決めます。

契約してしまったら、クーリング・オフ
家に訪ねてきた事業者と結んだ契約は、特定商取引法の「訪問販売」にあたります。訪問販売では、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、クーリング・オフ(申込みの撤回や契約の解除)ができます。

消費者庁の特定商取引法ガイドでは、クーリング・オフについて、次のように説明しています。
- 書面か、電子メールなどの電磁的記録で伝える。書面なら特定記録郵便・書留・内容証明郵便など、メールなら送ったメールを残すなど、証拠を残すとよい
- 工事が始まっていても、代金を払う必要はなく、家を元に戻すことも無料で求められる
- 事業者がうそを言ったり、おどしたりして、クーリング・オフをさせなかった場合は、8日を過ぎてもできる
8日を過ぎていても、契約の大事なところで事実と違うことを言われ、それを信じて契約した場合などは、契約を取り消せることがあります(国民生活センターの資料)。あきらめずに相談してください。
訪問販売の事業者は、勧誘の前に、事業者の名前、勧誘が目的であること、売りたいものの種類を伝えなければなりません。事実と違うことを言ったり、大事なことを隠したりして勧誘することは、法律で禁じられています。断ったあとに、続けて勧誘することも禁じられています。
介護保険の住宅改修は、工事の前に申請が要る
介護保険の住宅改修は、要支援・要介護の認定を受けた方が、手すりの取付けや段差の解消などの工事をするときに、費用の一部が支給されるしくみです。
対象になるのは、手すりの取付け、段差の解消、床や通路の材料の変更、引き戸などへの扉の取替え、洋式便器などへの便器の取替え、それにともなう工事の6つです。屋根や外壁の工事は、住宅改修の対象ではありません。
住宅改修では、工事の前に市町村への申請が必要です。厚生労働省の資料では、ケアマネジャーなどに相談し、事業者を選んで見積もりを取り、工事の前に市町村へ申請する、という順番で進みます。申請には、ケアマネジャーなどが作る「住宅改修が必要な理由書」も付けます。
国の通知では、ケアマネジャーなどが、いくつかの事業者から見積もりを取るよう、利用者に説明することになっています。急がせて、その場で契約させる進め方とは違います。
※ 「介護保険で工事ができる」と言われても、その場で契約しないでください。まずはケアマネジャーか、地域包括支援センターに相談してください。
困ったら、消費者ホットライン188へ
少しでも不安を感じたら、早めに家族や知人、消費生活センターに相談します。消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話すると、近くの市町村や県の消費生活センターなどを案内してもらえます。沖縄県の消費生活センターでも、契約のトラブルの相談を無料で受け付けていて、電話のほか、出向いての相談もできます。住まいのリフォームのトラブルは、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住まいるダイヤル」でも相談できます。
国民生活センターは、身近な方の見守りも大切だとしています。消費生活センターへの相談は、ご本人だけでなく、家族やホームヘルパー、地域包括支援センターの職員からでもできます。家に見かけない業者が出入りしていないか、困った様子はないか、ふだんから気にかけてください。
介護保険の住宅改修のしくみは、介護保険についてで紹介しています。かなさホームのご依頼の流れも、あわせてご覧ください。ケアマネジャーの探し方は「ケアマネジャーはどうやって探す?」、要支援の方の相談先は「要支援1・2でも住宅改修は使える?」で紹介しています。
よくある質問
答え:訪問販売の契約は、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、クーリング・オフができます。書面か電子メールなどで伝え、送ったものを残しておきます。迷ったら、消費者ホットライン188に相談してください。
答え:その場では決めずに、ケアマネジャーか地域包括支援センターに相談してください。介護保険の住宅改修は、要支援・要介護の認定を受けた方が、工事の前に市町村へ申請して使うしくみです。
答え:消費者ホットライン188に電話すると、近くの消費生活センターなどを案内してもらえます。家族やホームヘルパー、地域包括支援センターの職員からも相談できます。
参考にした情報
- 2024年度 65歳以上の消費生活相談の状況(令和7年9月3日)(新しいタブで開きます)
- 屋根工事の点検商法のトラブルが増えています-典型的な勧誘トークを知っておくことで防げます!-(2023年10月11日)(新しいタブで開きます)
- 訪問販売によるリフォーム工事・点検商法(新しいタブで開きます)
- 訪問販売(特定商取引法ガイド)(新しいタブで開きます)
- 住宅リフォーム事業者団体登録制度(新しいタブで開きます)
- 介護保険における住宅改修(新しいタブで開きます)
- 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について(老企第42号)(新しいタブで開きます)
- 消費生活センターの役割・電話番号・場所・業務時間(新しいタブで開きます)