障害者手帳があるとき、住宅改修はどの制度を使う?
介護保険と障害福祉
障害者手帳を持っている利用者さまから、手すりや段差の工事の相談を受けた。そんなとき、介護保険の住宅改修と、障害福祉の制度の、どちらを使えばよいか迷うことがあります。
この記事では、ケアマネジャーの方に向けて、障害福祉にある住宅改修の費用を助ける制度と、介護保険との順番の考え方、窓口と申請の違いをまとめました。市町村の決まりは、那覇市と沖縄市の案内を例にしています。障害の内容によって使える制度が変わるので、くわしくは市町村の窓口に確かめてください。
障害福祉にも住宅改修の制度がある(日常生活用具)
障害福祉には「日常生活用具給付等事業」という制度があります。厚生労働省の説明では、市町村が行う事業で、障害のある方の日常生活が送りやすくなるように、用具を給付したり貸したりするものです。対象は、日常生活用具が必要な障害者・障害児と、決められた病気の難病患者などです。
この制度の種目の1つに「居宅生活動作補助用具(住宅改修費)」があります。厚生労働省の告示では、家の中での動きなどを楽にする用具のうち、設置に小さな住宅改修をともなうもの、とされています。那覇市の案内でも、日常生活用具として給付するものの例に「住宅改修」が挙げられています。
厚生労働省の説明では、申請は市町村長にして、市町村が決めたあとに給付を受けます。利用者の負担は、市町村が決めます。たとえば那覇市の案内では、利用者の負担は原則1割で、所得の区分ごとに月の上限があります。
介護保険が使える方は、介護保険が先
障害のある方も、65歳以上の方と、40〜64歳で医療保険に入っている方は、原則として介護保険の被保険者です。厚生労働省の通知では、障害福祉のサービス(自立支援給付)と介護保険で同じようなサービスがあるときは、介護保険を先に使う考え方が示されています。
日常生活用具は、地域の実情に合わせて市町村が行う事業で、法律の上では、介護保険との調整の決まりはありません。それでも同じ通知では、これまでの扱い(介護保険の福祉用具の対象になる品目は、介護保険を先に使う)や通知の考え方をふまえて、適切に運用するよう市町村に求めています。市町村の案内にも、次のような考え方があります。
- 那覇市:介護保険の被保険者と思われる方が、手すり・スロープ・特殊寝台・床ずれ防止用具・住宅改修などを希望するときは、介護保険が優先。介護保険の担当(ちゃーがんじゅう課)に問い合わせるよう案内しています。要介護認定で認められなかったときは、障がい福祉課で申請できますが、認められなかった理由によっては申請できないこともあるとしています
- 沖縄市:ほかの法律の制度が優先する場合や、障害名・障害等級によって給付が受けられない場合があるとしています
同じ通知では、介護保険を使える障害のある方が、まだ要介護認定を申請していないときは、介護保険のサービスが優先することを説明して、申請するよう案内するとしています。65歳になる方については、国の事務連絡(令和5年6月)で、65歳になる日の3か月前から要介護認定の申請を受け付け、65歳になる日に認定できる運用も示されています。障害福祉のサービスを使っている方が65歳に近づいたら、早めに準備を始めましょう。
車いす・歩行器・歩行補助つえのように、介護保険の福祉用具の貸し出しと、障害福祉の補装具の両方にある品目も、介護保険が先です。ただし通知では、医師や身体障害者更生相談所などが、体の状態に合わせて個別に作る必要があると判断した方には、補装具として支給してよいとしています。

なお、国の事務連絡(令和5年6月)では、介護保険が優先されることが「介護保険しか使えない」という誤解にならないよう、案内することを市町村に求めています。これはホームヘルプなどの障害福祉サービスについての連絡ですが、介護保険で足りない所を障害福祉で補えることがある、という考え方は覚えておきたいところです。
介護保険の住宅改修との違い(窓口・申請の順番)
2つの制度の主な違いを、表にまとめます。
| 介護保険の住宅改修 | 障害福祉の日常生活用具 | |
|---|---|---|
| 使える方 | 要支援・要介護の認定を受けた方 | 障害のある方や難病の方などで、市町村が決めた条件に合う方 |
| 窓口 | 市町村の介護保険の担当 | 市町村の障害福祉の担当 |
| 申請 | 工事の前に申請 | 工事の前に申請 |
| 支給の上限 | 工事費20万円まで(1〜3割負担) | 市町村が決める |

どちらの制度も、工事の前の申請が必要です。那覇市の案内では、日常生活用具も、前もって申請せずに用具を買ったり住宅改修の工事をしたりしたときは、給付の対象にならないとしています。住宅改修のときは、家の図面・工事をする場所の写真・家主の承諾書(賃貸のとき)も要ります。
介護保険の住宅改修は、要支援・要介護の認定を受けていることが前提です。認定の申請の流れは「要介護認定はどう申請する?」をご覧ください。
市町村の案内(那覇市・沖縄市など)
日常生活用具の種目や、住宅改修の対象になる方の条件、上限の額は、市町村の要綱で決められています。那覇市と沖縄市の案内では、次のようになっています。
- 那覇市:窓口は障がい福祉課。申請には、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のどれか(難病の方は受給者証か診断書)などが要ります。介護保険の住宅改修は、ちゃーがんじゅう課です
- 沖縄市:窓口は障がい福祉課の給付係。原則として在宅の方が対象で、18歳以上の方には所得の制限があります。介護保険の住宅改修は、介護保険課です
ほかの市町村も、障害福祉の担当の課が窓口です。お住まいの市町村のホームページか窓口で、日常生活用具の種目と条件を確かめてください。
※ 窓口や書類は変わることがあります。お住まいの市町村の窓口か、ケアマネジャーに確かめてください。
ケアマネジャーと障害福祉の窓口の両方に相談する
障害福祉のサービスを使っている方には、障害福祉の計画を作る「相談支援専門員」がいることがあります。国の事務連絡では、相談支援専門員とケアマネジャーが情報を共有し、ていねいに引き継ぐことを求めています。
住宅改修を考えるときは、次の順番で確かめると、手続きのやり直しを防げます。
- 介護保険の認定を受けているか(受けていなければ、申請するか)
- 介護保険の住宅改修で、必要な工事がまかなえるか
- まかなえない部分を、障害福祉の制度で補えるか(市町村の障害福祉の窓口に確かめる)
- 2つの制度の、工事の前の申請の順番と書類
かなさホームは、介護保険の住宅改修をお受けしています。介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、工事の前の申請に使う見積書・図面・工事前の写真などを用意します。介護保険のしくみは介護保険についてで、ケアマネジャーの方は「ケアマネジャーの方へ」もご覧ください。
よくある質問
答え:要ります。那覇市の案内では、前もって申請しないで住宅改修の工事をしたときは、給付の対象にならないとしています。介護保険の住宅改修と同じく、工事の前に申請してください。
答え:市町村によって扱いが違います。国の通知では、市町村が独自に、介護保険の対象にならない工事や20万円をこえる工事に助成することはできるとしています。介護保険で足りない所を障害福祉で補えるか、どんな工事が対象になるかは、お住まいの市町村の障害福祉の窓口に確かめてください。
答え:日常生活用具は市町村の障害福祉の担当、介護保険の住宅改修は介護保険の担当です。那覇市と沖縄市では、日常生活用具の窓口は障がい福祉課です。
参考にした情報
- 日常生活用具給付等事業の概要(新しいタブで開きます)
- 障害者自立支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について(平成19年3月28日。平成23年9月28日一部改正)(新しいタブで開きます)
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく自立支援給付と介護保険制度の適用関係等に係る留意事項及び運用の具体例等について(令和5年6月30日 事務連絡)(新しいタブで開きます)
- 日常生活用具給付事業(新しいタブで開きます)
- 障がいのある人のための日常生活用具や補装具などの給付について(新しいタブで開きます)
- 介護保険における住宅改修(新しいタブで開きます)
- 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について(老企第42号)(新しいタブで開きます)