屋根の塗り替えというと、仕上げの色を塗る作業が目に浮かびます。けれども、屋根の塗装が長持ちするかどうかは、仕上げを塗る前の下準備で大きく変わります。汚れやさびが残ったまま塗ると、塗料が本来の力を出せないためです。
この記事では、トタンなどの金属屋根を中心に、屋根塗装の工程と、それぞれの作業の役割を、国土交通省の改修工事の仕様と塗料メーカーの説明をもとに紹介します。屋根の塗り替えを考えている方が、見積書や工事の説明を読むときの参考にしてください。
屋根塗装の5つの工程
TRUSSの屋根塗装は、次の5つの工程で進めます。

- 高圧洗浄:汚れやコケを洗い流します
- ケレン(サビ落とし):サビや古い塗膜を落として、塗料がのる面をつくります
- 補修・コーキング:ひび割れや継ぎ目を補修し、コーキング(すき間を埋める材料)を打ち替えます
- 下塗り(サビ止め):サビを防ぐ下塗りをします
- 上塗り:遮熱・防水の機能をもつ塗料で仕上げます
塗料メーカーの関西ペイントが紹介している塗り替え工事の流れでも、水洗機などで屋根や外壁の汚れ・藻・カビを落とし、さびの除去や傷んだシーリングの打ち替えをしてから、下塗り、上塗りへと進みます。
高圧洗浄では、屋根の表面にたまった汚れやコケを、水の勢いで洗い流します。補修・コーキングでは、屋根材のひび割れや、板と板の継ぎ目を直します。トタン屋根やスレート屋根は、さびや継ぎ目の傷みから雨漏りにつながることがあるため、塗る前に傷んだ所を直しておきます。
1から3までは、塗料を塗る前の下準備です。工事が終わると見えなくなる作業ですが、仕上がりと塗装の持ちを左右する大切な工程です。使う塗料や工程は、屋根の材料と傷み具合によって変わります。
ケレン(さび落とし)は、さびの具合で方法が変わる
ケレンは、金属の面のさびや、傷んで弱くなった古い塗膜を落とす作業です。塗料メーカーの日本ペイントは、鉄の部分の塗装では、塗る前のさび落とし(ケレン)が最も重要な工程だとしています。さびが多く残ったままだと、さび止めの塗料が本来の力を十分に発揮できないためです。
国土交通省の『公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)』(令和7年版)では、鉄の面を塗り替えるときの下地の整え方を、次の3つの種類に分けています。
- 全部落とす:電動の研磨機(ディスクサンダー)やへら(スクレーパー)などで、古い塗膜とさびをすべて取り除きます
- 傷んだ所だけ落とす:劣化して弱くなった部分とさびを取り除き、しっかりついている塗膜(活膜)は残します
- 表面を整える:汚れや付着物を取り除き、表面を研磨紙で平らにします
この仕様では、とくに指定がなければ、2つ目の「傷んだ所だけ落とす」方法をとることになっています。汚れや付着物は、素地(金属の地肌)を傷つけないように、ワイヤーブラシなどで取り除きます。どこまで落とすかは、さびの広がり方や、古い塗膜の傷み具合を見て決めます。
同じ仕様では、塗り替えのときのさび止めの塗り方の例として、さびを落として金属の地肌が出た所にさび止めを1回塗り、そのあと全面にもう1回さび止めを塗る方法を示しています。
下塗りの役割と、上塗りとの組み合わせ
下塗りは、仕上げの塗料(上塗り)の下に塗る塗料です。関西ペイントは、古い塗膜には「シーラー」と呼ばれる下塗りの塗料を、鉄の部分には「さび止め塗料」を塗ると説明しています。屋根の材料が金属か、そうでないかで、下塗りの塗料も変わります。

下塗りと上塗りは、組み合わせが決まっている
上塗りには、屋根に合った塗料を使います。日本ペイントによると、屋根用の塗料は、紫外線を直接受けることや雨の多さを考えて、耐久性を高めにつくられています。外壁用の塗料を屋根に塗ると、塗り替えまでの年数が短くなる可能性があるとしています。
遮熱塗料(日差しの熱をはね返す塗料)には、専用の下塗りが決まっているものがあります。日本ペイントは自社の遮熱塗料について、上塗りではね返しきれなかった近赤外線(熱のもとになる光)を、専用の下塗りが補ってはね返すしくみだと説明しています。専用でない下塗りを使うと、組み合わせる下塗りの種類や色によっては、遮熱の効果が最大20%ほど下がるおそれがあるとしています。
日本ペイントは、水性の塗料と溶剤形の塗料を組み合わせるときの説明で、塗料メーカーの塗装仕様書に書かれていない組み合わせを試すときは、前もって試し塗りをすることを勧めています。また、工程を減らそうとして上塗りの塗料にさび止めなどほかの塗料を混ぜると、耐久性が大きく下がるおそれがあるため、違う塗料を混ぜることは避けるよう呼びかけています。
国の改修工事の仕様では、中塗り(下塗りと上塗りのあいだに塗る層)と上塗りの色を変えるなどして、それぞれの層が全面にむらなく塗れていることを確かめる、としています。
屋根ならではの注意
夏の熱い屋根
日本ペイントによると、夏の屋根の塗装は、屋根の表面の温度が高いと塗料が速く乾いてしまい、作業のしやすさや仕上がりに影響します。そのため、塗装を避けるか、やむを得ないときは塗料のうすめ方を調整しながら塗る必要があるとしています。
雨・湿気・結露と、乾くまでの時間
国の改修工事の仕様では、湿度が85%以上のときや結露などで塗料が乾きにくいとき、気温が5℃以下のときは塗装をしないこと、外の塗装は雨のおそれがあるときや風の強いときは原則として行わないことになっています。日本ペイントも、夕方は結露が出やすいため、早めに塗装を終えるとしています。
工程と工程のあいだには、塗料を乾かす時間をとります。仕様では、その時間は塗料の種類や天気に合わせて決めることになっています。雨の日は塗装ができないため、日程は天気によって前後します。
ご自分で屋根に上らない
沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)では、傾きのある屋根は、屋根の勾配や材料によっては専門家による点検が望ましいとしています。状態が気になっても、ご自分で屋根に上るのはやめましょう。
屋根の塗装を相談する
屋根塗装は、高圧洗浄・ケレン・補修という下準備のあとに、下塗りと上塗りを重ねます。見積書や工事の説明では、次のことを確かめておくと安心です。
- さび落とし(ケレン)を、どこまで、どんな方法でするか
- 継ぎ目やひび割れの補修、コーキングの打ち替えをするか
- 下塗りに何を塗るか(さび止め・シーラー・遮熱塗料の専用の下塗りなど)
- 上塗りに、屋根用のどの塗料を使うか
分からない言葉があれば、遠慮なく工事の会社に聞いてみてください。
TRUSSの屋根塗装の工程と施工の様子は屋根塗装のページと屋根塗装の施工事例で、お問い合わせから完了までの進め方は工事の流れでご覧いただけます。屋根の状態は、ドローンを使って調べることもできます。
まずは気になるところを知りたいときは、当てはまるサインを選ぶ劣化セルフ診断や、写真を送るだけで担当者が状態と概算をお返しする写真で無料診断をご利用ください。費用の目安はかんたん見積もりで計算できます。
よくある質問
屋根は日差しや雨を直接受けるため、外壁より早く傷みやすい場所です。10年前後を目安に点検し、色あせやコケ、ひび割れがあれば塗り替えを考えましょう。
日本ペイントによると、夏の屋根は表面の温度が高く、塗料が速く乾いて仕上がりに影響するため、塗装を避けるか、塗料のうすめ方を調整しながら塗る必要があります。同じ説明では、春と秋が塗装に向いた季節とされています。現地調査のあとに、おおよその日程をお伝えします。
雨漏りの原因が、屋根材の割れや下地の傷みにある場合は、塗装だけでは直りません。原因を調べたうえで、補修と塗装を組み合わせてご提案します。
現地調査のときに、私たちが屋根の上やドローンで確かめ、写真でお見せします。お客様が屋根に上る必要はありません。
参考にした情報
- 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 7章(新しいタブで開きます)
- さび止めペイントは、塗る前にさび落としが必要ですか?(新しいタブで開きます)
- 冬場の寒いときや、夏場の暑いときに外壁や屋根を塗装しても問題ないですか?(新しいタブで開きます)
- 外壁用塗料で屋根も塗装できますか?(新しいタブで開きます)
- 外壁用の水性塗料と溶剤形塗料を組み合わせて塗っても大丈夫ですか?(新しいタブで開きます)
- 水性塗料、溶剤系塗料同士なら、別の塗料を混ぜて塗っても問題ないですか?(新しいタブで開きます)
- 遮熱塗料の塗装で、専用下塗を使わないとどんな問題が生じるのですか?(新しいタブで開きます)
- 塗り替え工事の流れ(塗装のハテナ)(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)附録(新しいタブで開きます)