介護保険で福祉用具を買うときは?
対象の用具と、年度10万円までのしくみ
入浴用のいすや、ポータブルトイレなどの福祉用具は、介護保険で買うことができます。これを「特定福祉用具販売」といいます。
この記事は、親の入浴やトイレのために、福祉用具を買うことを考えているご家族に向けたものです。介護保険で買える用具の種類、同一年度で10万円までのしくみ、買う前に知っておきたい手続きを、厚生労働省と沖縄の市町村の資料をもとにまとめました。
買う福祉用具は「貸し借りになじまない」入浴や排せつの用具など
介護保険の福祉用具は、借りる(福祉用具貸与)のが基本です。そのうえで、入浴や排せつに使うものなど、貸し借りになじまない用具は、買う(特定福祉用具販売)扱いになっています。
介護サービス情報公表システム(厚生労働省)では、特定福祉用具販売について、福祉用具を売る指定を受けた事業者が、入浴や排せつに使う、貸し借りになじまない福祉用具を売るもの、と説明しています。自宅でできるだけ自立して暮らせるようにすることや、介護する家族の負担を軽くすることが目的です。
要支援の方が買うときは、「特定介護予防福祉用具販売」という名前になります。
対象の用具(国が決めた種類)
介護保険で買える福祉用具は、国の告示で種類が決められています。介護サービス情報公表システムでは、次の9つが挙げられています。

- 腰掛便座
- 自動排泄処理装置の交換可能部品
- 排泄予測支援機器
- 入浴補助用具
- 簡易浴槽
- 移動用リフトのつり具の部分
- 固定用スロープ
- 歩行器(歩行車を除く)
- 歩行補助つえ(松葉づえを除く)
大きく分けると、トイレ、お風呂、移る・歩くときに使う用具です。7〜9の3つは、2024年4月から、借りるか買うかを選べるようになった用具です。
腰掛便座とは
厚生労働省の通知では、腰掛便座は、次のどれかに当たるものです。
- 和式便器の上に置いて、腰かける形にするもの
- 洋式便器の上に置いて、高さを補うもの
- 電動式やスプリング式で、便座から立ち上がるのを助けるもの
- 便座やバケツなどでできていて、動かせる便器(部屋で使えるもの。いわゆるポータブルトイレ)
ポータブルトイレを置くための費用(設置の費用)は、介護保険の対象になりません。
入浴補助用具とは
入浴補助用具には、次の7つがあります。
- 入浴用いす(座る面の高さがおおむね35センチメートル以上のものか、背もたれを倒せるもの)
- 浴槽用手すり(浴槽のふちをはさんで固定するもの)
- 浴槽内いす
- 入浴台(浴槽のふちにかけて、浴槽の出入りを楽にするもの)
- 浴室内すのこ(浴室の床の段差をなくすもの)
- 浴槽内すのこ(浴槽の底の高さを補うもの)
- 入浴用介助ベルト
浴室の床の段差は、置くだけの浴室内すのこで調整することもできます。沖縄県介護保険広域連合の手引きでは、浴室内すのこは、住宅改修ではなく、買う福祉用具の対象になるとしています。
そのほかの用具
- 簡易浴槽:空気でふくらませるものや折りたためるものなど、簡単に動かせる浴槽です。お湯を入れたり出したりするのに工事がいらず、部屋で入浴できるものに限られます
- 移動用リフトのつり具の部分:体に合っていて、リフトにつなげられるつり具です。リフトの本体は入りません(本体は借りる福祉用具)
- 排泄予測支援機器:いつも身に付けて、ぼうこうの様子から尿の量を推しはかり、一定の量になると、トイレに行く時期を知らせるものです
- 自動排泄処理装置の交換可能部品:レシーバー・チューブ・タンクなど、尿や便の通り道になる部分で、簡単に交換できるものです
同一年度で10万円までと、自己負担
介護保険で福祉用具を買えるのは、同一年度(4月から翌年3月まで)で10万円までです。この額は、国の告示で決められています。

払い方は、いったん全額を払い、あとで費用の9割(所得によっては8割か7割)が介護保険から戻る「償還払い」が基本です。たとえば1割負担の方が10万円分を買うと、9万円が介護保険から給付されます。10万円をこえた分は、介護保険から出ません。
買う前に知っておきたいこと(指定を受けた事業者・申請・受領委任払い)
指定を受けた事業者から買う
介護保険で買うときは、福祉用具を売る指定を受けた事業者から買います。沖縄県介護保険広域連合の案内では、県の指定を受けていない業者から買ったときは、支給の対象にならないとしています。
買ったあとに、市町村に申請する
厚生労働省は、福祉用具を売る事業者と相談して買ったあと、お住まいの市町村に支給の申請をするよう案内しています。すでにほかの介護サービスを使っていて、ケアプランがある方は、ケアマネジャーにも前もって相談します。
申請の書類は市町村によって違います。たとえばうるま市の案内では、申請書のほか、福祉用具を買う理由書や、福祉用具のカタログの写しを出すとしています。高い福祉用具や、同じ種類の用具を買い直すときは、前もって相談するよう求めています。宜野湾市の注意事項(令和7年3月)では、申請に付ける福祉用具サービス計画書を、基本情報と利用計画の2枚1組で出すよう求めています。また、領収書の日付が、支給を請求できる日の証明になる大切なものだとしています。
受領委任払いを使える市町村もある
いったん全額を払うのが大変なときのために、自己負担の分だけを払えばよい「受領委任払い」を用意している市町村もあります。
- 沖縄県介護保険広域連合(北谷町・西原町・中城村・北中城村など):福祉用具を買う費用と住宅改修の費用で、受領委任払いを使えます。広域連合に登録した事業者に頼みます
- 浦添市:住宅改修と福祉用具を買う費用で、受領委任払いを受け付けています。登録した事業者の一覧があります
- うるま市:令和3年10月から、福祉用具を買う費用でも受領委任払いができるようになったと案内しています
※ 申請の書類や払い方の決まりは、変わることがあります。お住まいの市町村の窓口か、ケアマネジャーに確かめてください。
買う前にケアマネジャーに相談する
福祉用具は、使う場面や体の状態に合うものを選ぶことが大切です。まずはケアマネジャーに、どの場面で困っているかを伝え、福祉用具専門相談員(福祉用具を選んで使い方を助言する専門職)の提案も聞いてから選んでください。
入浴やトイレの困りごとは、用具だけでなく、手すりや段差の工事で楽になることもあります。たとえば浴槽のふちにはさむ手すりは買う福祉用具、壁に付ける手すりは住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)です。工事のことは、かなさホームにご相談ください。介護保険でできる工事はできる工事で紹介しています。ご相談はお問い合わせからどうぞ。
借りる福祉用具は「介護保険で借りられる福祉用具は?」で、冬のお風呂の備えは「冬のお風呂の事故を防ぐには?」で紹介しています。
よくある質問
答え:介護保険で福祉用具を買えるのは、同一年度で10万円までです。年度が変われば、また10万円までの中で買えます。
答え:償還払いでは、いったん全額を払い、市町村に支給の申請をしたあとに、介護保険の分が戻ります。受領委任払いを使えるときは、はじめから自己負担の分だけを払います。
答え:介護保険で買うときは、福祉用具を売る指定を受けた事業者から買います。沖縄県介護保険広域連合の案内では、県の指定を受けていない業者から買ったときは、支給の対象にならないとしています。
答え:部屋で使える、動かせる便器(ポータブルトイレ)は、「腰掛便座」として、介護保険で買える福祉用具に入ります。置くための費用(設置の費用)は対象になりません。ケアマネジャーにご相談ください。
参考にした情報
- どんなサービスがあるの? – 特定福祉用具販売(新しいタブで開きます)
- 厚生労働大臣が定める特定福祉用具販売に係る特定福祉用具の種目及び厚生労働大臣が定める特定介護予防福祉用具販売に係る特定介護予防福祉用具の種目(平成11年厚生省告示第94号)(新しいタブで開きます)
- 居宅介護福祉用具購入費支給限度基準額及び介護予防福祉用具購入費支給限度基準額(平成12年厚生省告示第34号)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて(老企第34号)(新しいタブで開きます)
- 福祉用具・住宅改修(新しいタブで開きます)
- 福祉用具・住宅改修について(新しいタブで開きます)
- 介護保険 住宅改修の手引き(令和7年4月改正)(新しいタブで開きます)
- 福祉用具購入費及び住宅改修費の受領委任払い制度について(新しいタブで開きます)
- 介護保険福祉用具及び住宅改修の受領委任払いについて(登録事業者一覧表)(新しいタブで開きます)
- 福祉用具・住宅改修関連(新しいタブで開きます)
- 過去の事例から確認された住宅改修の注意事項(令和7年3月)(新しいタブで開きます)