トイレの手すりはどこに付ける?
立ち座りを助ける位置と形の決め方
トイレは、1日に何度も使う場所です。便座に座るとき、立ち上がるとき、体を支えるものがあると、毎日の動きが楽になります。
この記事では、トイレに手すりを付けるときに、どこに、どんな形の手すりを付けるかの考え方を紹介します。介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)で付けるときの決まりや、置くだけの手すりとの違いもまとめました。手すりの高さや位置は、体の状態や動き方で変わるので、ケアマネジャーや医師、リハビリの専門職の方にもご相談ください。
トイレで手すりが役に立つ動き
トイレでは、思っているよりたくさんの動きをしています。厚生労働省が示している「住宅改修が必要な理由書」の様式では、排せつの動きとして、次のような項目が挙げられています。
- トイレまでの移動
- トイレの出入口の出入り(扉の開け閉めを含む)
- 便器からの立ち座り(乗り移りを含む)
- 服を脱いだり着たりすること
- 用を足すあいだ、姿勢を保つこと
- 後始末
国土交通省の「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」では、トイレには、立ったり座ったりするための手すりを付けることが基本とされています。そのほかの動きも、どこで、どんなふうに困っているかによって、手すりが役に立つ場所が変わります。

手すりの形と選び方(横・たて・二段など)
厚生労働省の通知では、手すりの形を「二段式、縦付け、横付け等適切なもの」としています。
- 縦付け:たてに付ける手すり
- 横付け:横に付ける手すり
- 二段式:高さの違う2本の手すりを付ける形
どの形が合うかは、どの動きのときに、どちらの手で、どのように体を支えたいかで変わります。使う方の体の状態や、立ち上がるときの動き方を見て決めます。
握る力が弱く、しっかり握れない方もいます。沖縄県介護保険広域連合の手引き(令和7年4月改正)にある国のQ&Aでは、上が平らな棚のような手すり(上部平坦型)も、住宅改修の対象になるとしています。体の状態に合わせて形を選ぶことが大切だと書かれています。
宜野湾市の注意事項(令和7年3月)では、便器と壁が離れているトイレで、前に張り出した既製品の手すりが必要になる例を挙げています。既製品の手すりは割高になることが多いので、家の様子や体の状態から、その手すりを選んだ理由が分かるようにすることを求めています。
トイレの広さと、手すりを付ける壁
手すりは、壁にしっかり留めて付けます。手すりを付けるために壁の下地を補強する工事も、介護保険の住宅改修の対象(付帯工事)です。
国の指針では、ふだん使うトイレの広さの目安として、トイレの長い方の辺が内側の寸法で1,300mm以上あるか、便器の前か横に、壁まで500mm以上のあきがあることを基本としています。せまいトイレでは、手すりを付ける壁と、立ち上がるときの体の動きがぶつからないかも見ておきます。沖縄県の手引書でも、トイレには介助する人が動きやすい広さをとることが勧められています。ご家族やヘルパーさんが手伝うときは、介助する人の立つ場所も考えて、手すりの位置を決めます。
扉にも気をつけたいところです。沖縄県の手引書では、トイレの扉は引き戸か外開きにして、外から開けられるようにすることが勧められています。沖縄の家には、床が廊下より低いトイレが多いことも紹介されています。出入口に段差があるときは「トイレの入口の段差、沖縄の家ではなぜ多い?」もご覧ください。
家にトイレが2か所あるときは、沖縄市のQ&A(令和7年7月)では、主に使う1か所に付けるのが基本としています。
便器のまわりに置く手すり(福祉用具)との違い
工事をせずに使える手すりもあります。厚生労働省の通知では、便器やポータブルトイレを囲むように置いて、座った姿勢を保ったり、立ち上がったり、乗り移ったりするのを助ける手すりは、福祉用具の貸し出し(福祉用具貸与)の対象としています。
ただし、ねじで家に留めるような簡単なものでも、取り付けに工事がいる手すりは、貸し出しの対象になりません。この場合は、住宅改修の「手すりの取付け」として扱います。

借りている家で壁に手を加えにくいときや、まず試してみたいときは、置く手すりが向いていることもあります。工事のいらない手すりは「工事のいらない手すりとは?」で、ポータブルトイレなどの用具は「夜のトイレが心配なときは?」で紹介しています。
実際に座ってみて、位置を決めてから申請する
トイレの手すりの高さは、国が決めた数字はありません。使う方の背の高さ、体の状態、立ち上がるときの動き方によって、合う位置が変わります。そのため、実際に便座に座り、立ち上がる動きをしながら、手が自然に届く所を確かめて決めます。
工事の前の申請では、手すりを付ける場所が分かるように写真を出します。那覇市の手引き(令和4年12月改定)では、手すりを付ける場所に印を付けて写真を撮るよう求めています。沖縄県介護保険広域連合の手引きでも、マスキングテープなどで印を付けると分かりやすいとしています。
申請のあとに位置を変えるときは、注意が要ります。沖縄市の案内では、数cmほど動かすだけなら変更の届け出は要りませんが、その場合もケアマネジャーと市への連絡は必要としています。右側から左側に変えるなど使い方が変わるときは、工事を止めて、いったん申請を取り下げてから申請し直します。申請の前に、しっかり位置を決めておきましょう。
国の指針でも、家を改修するときは、必要に応じて介助する人や、理学療法士・作業療法士などの専門家の意見を聞くこと、工事が終わったら、実際に使って確かめることが望ましいとしています。
付けたあとの使い方にも気をつけましょう。宜野湾市の注意事項では、工事のあとの確認で、手すりに物が掛けてあったり、手すりのそばに使うのをじゃまする物が置いてあったりする例が多いと書かれています。ご本人のために使われていないと分かったときは、支給されないこともあるとしています。トイレの手すりに、タオルなどを掛けないようにしましょう。
※ 介護保険で手すりを付けるときは、工事の前に市町村への申請が必要です。窓口や書類は変わることがあります。お住まいの市町村の窓口か、ケアマネジャーに確かめてください。
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、実際の立ち座りの動きを見ながら、手すりの位置と形を一緒に決めます。現地調査とお見積りは無料です。沖縄本島に対応しています(離島はご相談ください)。支給額の目安は支給額チェックで、ご相談はお問い合わせからどうぞ。
よくある質問
答え:上が平らな棚のような手すりも、住宅改修の対象になります。握る力が弱い方や、しっかり握れない方もいるので、体の状態に合わせて形を選ぶことが大切です。
答え:工事をせずに便器のまわりに置く手すりは、住宅改修ではなく、福祉用具の貸し出しの対象です。ケアマネジャーにご相談ください。
答え:トイレの手すりの高さは、国が決めた数字はありません。使う方の体の状態や立ち上がり方に合わせて、実際に座って確かめながら決めます。
答え:古くなったことだけが理由の付け替えは、対象になりません。沖縄市のQ&Aでは、体の状態が変わって、今の手すりでは足りなくなったときの付け替えは対象になるとしています。まずはケアマネジャーにご相談ください。
参考にした情報
- 介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて(老企第34号)(新しいタブで開きます)
- 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について(老企第42号)(新しいタブで開きます)
- 高齢者が居住する住宅の設計に係る指針(平成13年国土交通省告示第1301号)(新しいタブで開きます)
- 『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)第2章(新しいタブで開きます)
- 介護保険 住宅改修の手引き(令和7年4月改正)(新しいタブで開きます)
- 介護保険住宅改修費支給申請の手引き(令和4年12月改定)(新しいタブで開きます)
- 介護保険の住宅改修費支給申請について(令和7年7月)(新しいタブで開きます)
- 過去の事例から確認された住宅改修の注意事項(令和7年3月)(新しいタブで開きます)