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塗装・防水

弾性塗料とは?ひび割れに強い塗料のしくみと、向いている外壁・向かない外壁

塗料の選び方
白黒の外壁のひびの線の上に、ゴムのように伸びる帯をかけたイラスト。帯の一部に青い四角を1つ塗っている

外壁の細いひび割れが気になって相談すると、「弾性塗料」という言葉を聞くことがあります。ひび割れに強い塗料と説明されることが多いのですが、どの外壁にも合うわけではありません。

この記事では、コンクリートやモルタルの外壁のひびが気になっている方に向けて、弾性塗料のしくみ、見積書で見かける「防水形」などの名前、向いている外壁と向かない外壁、ひび割れの補修との組み合わせを、塗料メーカーや国土交通省の資料をもとに紹介します。

弾性塗料は、ゴムのように伸びる塗料

塗料メーカーの日本ペイントは、弾性塗料を「引っ張るとゴムのように伸びる柔らかな塗膜となる塗料」と説明しています。外壁のひび割れに合わせて伸びやすいため、ひび割れしやすいコンクリートやモルタルの外壁の防水塗装に使われる、としています。

弾性塗料の塗膜の断面を2段に並べた図。上はひびが入る前で、外壁の上に塗膜がある。下はひびが開いたときで、外壁が左右に離れても塗膜が伸びて、ひびをおおっている
ひびに合わせて塗膜が伸びる(断面のイメージ)

塗料と「仕上塗材」

外壁の塗り替えでは、塗料のほかに「仕上塗材」という材料も使われます。日本建築仕上材工業会によると、塗料の塗り厚さは数十マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリメートル)ほどですが、仕上塗材は数ミリメートルほどの、比較的厚い膜になる材料です。品質は JIS A 6909(建築用仕上塗材)で決められていて、吹付けタイルやリシン、スタッコなど、模様のある仕上げに使われます。

国土交通省の『公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)』(令和7年版)には、この仕上塗材のなかに「防水形外装薄塗材E」や「防水形複層塗材E」など、名前に「防水形」が付くものや、「可とう形」(「可とう」は、しなやかに曲がること)が付くものが並んでいます。また、外壁用の塗膜防水材(JIS A 6021 の外壁用アクリルゴム系)による改修も、別の工法として決められています。

見積書では、「弾性」のほか、「防水形」「可とう形」「微弾性」などの言葉で書かれていることがあります。日本建築仕上材工業会によると、改修用の「可とう形改修用仕上塗材」の主材は、微弾性フィラーとも呼ばれています。同じ工業会は、可とう形改修用仕上塗材Eは、ほとんどのいまの塗膜に使えることから、塗り替えで一般的になっているとしています。ただし、いまの塗膜の傷みが激しいときなどは、うまくくっつかないこともあるため、事前に試し塗りをして確かめることを勧めています。名前だけでは分かりにくいので、どの材料を、なぜ選ぶのかを工事の会社に聞いてみてください。

向いている外壁:ひび割れしやすいコンクリート・モルタル

日本ペイントの説明のとおり、弾性塗料が使われるのは、ひび割れしやすいコンクリートやモルタルの外壁です。

沖縄県の『風土に根ざした家づくり手引書』(令和4年度版)では、県内の住宅の多くが鉄筋コンクリート造だとしています。コンクリートの外壁の家では、ひび割れの補修と、ひびに合わせて伸びる塗膜を組み合わせることが、塗り替えの選択肢のひとつになります。

国の改修工事の仕様では、防水形の複層の仕上塗材は、下塗り、主材、上塗りの順に塗り重ねます。主材の下の層は2回塗りとし、たれ、ピンホール(小さな穴)、塗り残しがないように、下地を覆うように塗ることになっています。厚みのある膜をきちんとつくることが大切だということです。

日本建築仕上材工業会によると、複層の仕上塗材では、主材が模様をつくり、上塗り(塗料)が色、つや、日差しや雨への強さ(耐候性)などを受け持ちます。上塗りの耐候性は、一般に、ふっ素系、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系の順によいとされています。塗料の種類ごとの塗り替えの目安は、塗料グレード比較で確かめられます。

向かない外壁と、ふくれの注意

日本ペイントは、ALCパネル(軽量気泡コンクリートの板)や窯業系サイディング(セメントなどでつくった外壁の板)の塗り替えに、弾性塗料は適さないといわれる理由を説明しています。弾性塗料で塗り替えると、次の塗り替えのときに塗膜のふくれが生じやすいためです。

弾性塗料が向いている外壁と向かない外壁を2段に並べた図。上は向いている外壁で、コンクリート・モルタル。下は塗り替えでふくれやすく向かない外壁で、ALCパネル・窯業系サイディング・軽量モルタル
弾性塗料が向いている外壁・向かない外壁

ふくれが起きるしくみ

日本ペイントによると、ALCパネル、窯業系サイディング、軽量モルタルなど断熱性の高い材質の外壁は、とくに夏、直射日光を受けると表面の温度が50〜60℃以上になることがあり、外壁の中の湿気が熱せられて水蒸気になりやすいといわれます。弾性塗料に新しい塗料を塗り重ねると、水蒸気が逃げにくくなり、弾性塗料のやわらかな塗膜をふくらませてしまう傾向があるとしています。

ふくれをくり返さないために

日本ペイントは、塗り替えたのに同じ場所がまたふくれる原因として、建物の漏水(雨水などのもれ)の可能性を挙げています。この場合は、漏水している場所を特定して直してから塗らないかぎり、根本的な対策にならないとしています。外壁の材料や弾性塗料が原因のふくれも、対策をとらずに同じ塗料で塗ると、同じふくれがくり返し起きるとしています。

塗り替えの前に、次のことを確かめておきましょう。

  • 外壁の材料(コンクリート、モルタル、ALCパネル、サイディングなど)
  • 前回の塗り替えで使った塗料(弾性塗料かどうか)
  • ふくれがあるときは、雨水などがもれていないか

いまの外壁が何でできているか、前回どんな塗料で塗ったかは、塗料を選ぶときの大事な手がかりです。日本建築仕上材工業会も、いまの塗膜と、塗り替えに使う塗材には相性があるとして、塗料メーカーへの相談や、事前の試し塗りを勧めています。

ひび割れの補修と組み合わせる

弾性塗料は、ひびに合わせて伸びる塗膜で外壁を守るものです。すでに入っているひびそのものを埋める材料ではありません。

国の改修工事の仕様では、コンクリートの外壁のひび割れの補修の方法として、樹脂注入工法、Uカットシール材充填工法、シール工法などが決められています。外壁用の塗膜防水材を塗るときも、ひび割れや欠けた部分は、先に補修することになっています。同じ工法では、窓などの開口部のまわりや、出隅・入隅(壁の角)など、ひびが入りやすい所や塗膜が薄くなりやすい所には、先に塗り重ねておく「増塗り」をすることも決められています。

ひびの幅や深さによって、補修の方法は変わります。同じ仕様では、ひびから水がもれていたり、さびの混じった汁が出ていたりするときは、直し方を前もって検討することになっています。塗る前の補修と、上に塗る材料を、セットで考えることが大切です。

外壁に合う塗料を相談する

弾性塗料は、ひび割れしやすいコンクリートやモルタルの外壁に使われる、伸びる塗膜の塗料です。一方で、ALCパネルや窯業系サイディングなどの塗り替えでは、ふくれに注意が必要です。外壁の材料と、いまの塗膜、ひびの状態に合わせて選びましょう。

TRUSSでは、現地調査で外壁の状態を確かめ、調査の結果をもとに塗料と工事の内容をご提案します。ひび割れしやすいコンクリートやモルタルの外壁には、弾性塗料や防水形の仕上塗材を使うこともあります。外壁塗装の工程は外壁塗装のページで紹介しています。塗料の種類ごとの、長い目で見た費用も塗料グレード比較で比べられます。

ひびの様子を見てほしいときは、写真を送るだけで担当者が状態をお返しする写真で無料診断をご利用ください。当てはまるサインを選ぶ劣化セルフ診断もあります。

よくある質問

日本ペイントは、ALCパネルや窯業系サイディング、軽量モルタルなど断熱性の高い外壁を弾性塗料で塗り替えると、次の塗り替えのときに塗膜のふくれが生じやすいとしています。外壁の材料と、いまの塗膜の種類を確かめてから塗料を選びます。

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