賃貸や県営・市営住宅でも、介護保険で手すりを付けられる?
承諾書と申請先
賃貸の家に住んでいる利用者さまから「手すりを付けたいけれど、借りている家でも大丈夫?」と聞かれることがあります。県営住宅や市営住宅にお住まいの方も、同じように迷われるかもしれません。
この記事では、賃貸住宅や県営・市営住宅で介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)を使うときに必要な承諾書と、承認の申請先をまとめました。ケアマネジャーの方に向けて書いていますが、ご本人やご家族にも読んでいただける内容です。市町村ごとの決まりは、那覇市・沖縄市・沖縄県介護保険広域連合の手引きを例にしています。
賃貸の家でも住宅改修は使える
住宅改修は、家の持ち主かどうかにかかわらず使えます。対象になるのは、介護保険の被保険者証に書かれた住所の家で、ご本人が実際に住んでいる家です。賃貸のアパートや借家、県営・市営住宅も含まれます。
厚生労働省の通知では、住宅改修を手すりの取付けや段差の解消などの比較的小さな工事に限った理由の1つに、工事に制約のある賃貸住宅に住む高齢の方との釣り合いを挙げています。
ただし、借りている家に手を加えるので、家の持ち主の承諾が必要です。対象になる工事費が20万円まで、工事の前に市町村への申請が必要なことは、持ち家と同じです。
家の持ち主の承諾書
国の決まりでは、工事をする家の持ち主がご本人でないときは、持ち主の承諾書を出します。賃貸なら、大家さん(家主)が持ち主です。
承諾書の様式や、出す時期は市町村によって違います。たとえば次のような違いがあります。
- 那覇市(令和4年12月改定の手引き):工事の前の申請で出します。持ち家(持ち主がご家族)と賃貸で様式が違います。持ち主がご本人の配偶者のときは、出さなくてよいとしています
- 沖縄市(令和7年7月の案内):アパートや借家、市営・県営住宅などを借りている方は「承諾書1」を使います。家族の名義の家は「承諾書2」です。承諾書の代筆は、持ち主が病気などで字を書けないときだけ認められています
- 沖縄県介護保険広域連合(令和7年4月改正の手引き):持ち主がご本人でも、承諾書を出します。賃貸住宅には、賃貸住宅用の様式があります

大家さんとは別に管理会社がある家では、だれに承諾をもらえばよいかを、管理会社に先に確かめておくと進めやすくなります。
大家さんに説明するときは、どこに、どんな工事をするかが分かる資料があると話が早く進みます。工事の前の申請では、工事の場所が分かる図面や、工事をする所の写真、見積書を出します。那覇市の手引きでは、これらは工事の事業者が作るものとしています。同じ資料を、大家さんへの説明にも使えます。
※ 窓口や書類は変わることがあります。お住まいの市町村の窓口か、ケアマネジャーに確かめてください。
県営住宅・市営住宅は、承認の申請先が別にある
県営住宅や市営住宅は、県や市が持ち主です。那覇市の手引きでは、県営住宅や市営住宅は、介護保険の承諾書の様式ではなく、それぞれの住宅の担当に申請して承認書を受け取るとしています。沖縄市の案内でも、市営住宅と県営住宅は、それぞれの担当に問い合わせるとしています。
- 県営住宅:沖縄県の案内では、県営住宅を模様替えするときの承認の申請は、沖縄本島では沖縄県住宅供給公社に問い合わせるとしています。那覇市と沖縄市の手引きでも、県営住宅は沖縄県住宅供給公社に申請するよう書かれています
- 那覇市営住宅:那覇市の手引きでは、那覇市の市営住宅課に申請して、承認書の交付を受けるとしています
- 沖縄市営住宅:沖縄市の案内では、沖縄市役所の市営住宅課に問い合わせるとしています
ほかの市町村の市営・町営・村営住宅は、その市町村の住宅の担当に確かめてください。

住宅の承認と、介護保険の工事の前の申請は、別の手続きです。どちらも、工事を始める前に済ませておきます。住宅の承認の書類を、介護保険の申請で求められる市町村もあるので、順番はケアマネジャーと市町村に確かめてください。
共用部分と、退去するときの扱い
アパートの廊下や階段など、ほかの住む人と一緒に使う所(共用部分)は、どうでしょうか。沖縄県介護保険広域連合の手引きにある国のQ&Aと、沖縄市のQ&Aでは、次のように説明しています。
- 集合住宅の住宅改修は、一般的には、ご本人が使う部屋の中が対象
- ただし、トイレや洗面所が共同になっているなど、ふだんの生活に欠かせない特別な事情があるときは、持ち主の承諾を得て、共用部分の工事が対象になることがある
- 持ち主が、共用部分の工事を無理にさせることも考えられるので、ご本人の体の状態や暮らし方、希望に合わせて判断する
退去するときに、手すりを外したり元に戻したりする費用は、住宅改修の対象になりません(沖縄県介護保険広域連合と沖縄市の手引き)。退去のときに手すりをどうするかも、工事の前に大家さんと話しておくと安心です。
大家さん・管理会社とケアマネジャーに早めに相談する
工事のいらない手すりという方法もある
壁に手を加えることを大家さんが望まないときは、工事のいらない手すりを使う方法もあります。床に置いて使う手すりや、便器のまわりに置く手すりは、介護保険の福祉用具の貸し出し(福祉用具貸与)の対象です。厚生労働省の通知では、ねじで家に留めるような簡単なものでも、工事をともなう手すりは貸し出しの対象から外れ、住宅改修の扱いになるとしています。どちらが合うかは、困っている動きと家の様子を見て、ケアマネジャーと決めます。
早めに確かめておきたいこと
賃貸の家では、承諾をもらうまでに時間がかかることがあります。工事を考え始めたら、早めに次のことを確かめておきましょう。
- 家の持ち主はだれか(大家さん・管理会社・県・市など)
- 工事をしたい場所と、困っている動き
- 承諾書の様式(お住まいの市町村のもの)
- 退去するときの扱い
かなさホームのよくある質問でも、「共用部分の工事や、賃貸住宅の工事には、管理組合や大家さんの許可が必要な場合があります。許可の取り方もご案内します」とお答えしています(よくある質問)。分譲マンションの場合は「分譲マンションで手すりや段差の工事をするには?」をご覧ください。
かなさホームでは、介護福祉士と福祉住環境コーディネーターの資格を持つ担当が、工事の前の申請に使う見積書・図面・工事前の写真などを用意して、ケアマネジャーさまにお渡しします。ケアマネジャーの方は「ケアマネジャーの方へ」も、ご本人やご家族はお問い合わせもご利用ください。
よくある質問
答え:はい、できます。共用部分の工事や、賃貸住宅の工事には、管理組合や大家さんの許可が必要な場合があります。許可の取り方もご案内します。
答え:家の持ち主に書いてもらいます。賃貸なら大家さんです。様式や出す時期は市町村によって違い、沖縄県介護保険広域連合のように、持ち主がご本人でも出す決まりのところもあります。
答え:支給されません。沖縄県介護保険広域連合と沖縄市の手引きでは、賃貸住宅を出るときに元に戻す費用は、住宅改修の対象にならないとしています。
答え:一般的には、ご本人が使う部屋の中が対象です。トイレや洗面所が共同になっているなど特別な事情があるときは、持ち主の承諾を得て、共用部分の工事が対象になることがあります。