住宅改修で対象にならない工事とは?
市町村の手引きにある例と考え方
介護保険の住宅改修(介護保険を使った住まいの工事)は、手すりや段差の工事なら何でも対象になる、というわけではありません。対象にならない工事を、そうと知らずに進めると、ご本人やご家族の負担が大きくなってしまいます。
この記事は、住宅改修を計画するケアマネジャーの方と、ご本人・ご家族に向けたものです。対象にならない工事の例を、厚生労働省の通知と、沖縄の市町村の手引きをもとにまとめました。最後に決めるのは市町村なので、ここに挙げた例は「目安」として読んでください。
対象かどうかは、本人の暮らしに必要かで市町村が決める
住宅改修の種類は、国の告示で6つに決められています。手すりの取付け、段差の解消、床や通路の材料の変更、引き戸などへの扉の取替え、洋式便器などへの便器の取替え、それらに付帯して必要な工事です。
ただ、種類に入っていれば必ず対象になるわけではありません。市町村は、ご本人の体の状態と、家の状況を考え合わせて、その工事が暮らしに必要かどうかを判断します。
- 沖縄県介護保険広域連合の手引き(令和7年4月改正):体の状態と住宅の状況などから、日常の動作のために住宅改修が必要と認められる場合に、保険給付の対象になる
- 那覇市の手引き(令和4年12月改定):ご本人の体の状態と住宅の状況を考えて、家で暮らすために必要な改修であること
- 沖縄市の案内(令和7年7月):対象になる工事かどうかは、保険者である沖縄市が決める
国の通知では、住宅改修を、家の財産を増やすことにつながらないよう、手すりの取付けや段差の解消など、比較的小さな工事に限っていると説明しています。
種類の決まりで対象にならないもの(動力の機器・置くだけの道具・新築)
厚生労働省の通知では、次のようなものが、住宅改修から除かれています。

動力の機器
昇降機、リフト、段差解消機など、動力で段差をなくす機器を付ける工事は、対象になりません。沖縄市の案内では、手動のものも対象にならないとしています。自動ドアにするときの、動力の部分の費用も対象になりません。
置くだけの道具
工事のいらない手すりやスロープは、住宅改修ではなく、借りる福祉用具の扱いです。浴室に置くすのこや、和式便器の上に置いて腰かける形にする便座は、買う福祉用具の扱いです。
新築や増築
家を新しく建てる工事は、住宅改修と認められません。増築で、新しく部屋を作る工事も対象になりません。ただ、廊下を広げるのにあわせて手すりを付けるときは、手すりの分だけが対象になり得る、と国の通知は説明しています。
そのほか
- 和式便器から洋式便器にかえるときの、水洗にする部分の費用
- すでに洋式の便器に、温水洗浄などの機能を付けるだけの工事
- 住宅改修をしないで、設計や見積もりだけをした費用
市町村の手引きにある、対象にならない例
沖縄の市町村の手引きには、対象にならない例が具体的に書かれています。
那覇市の手引き(令和4年12月改定)
- 取付けの工事をしない手すり、転落を防ぐための柵
- ご本人がふだん通らない道すじの手すり、体の状態から見て多すぎる手すり
- 固定せずに置くだけのスロープや踏み台
- 古くなったり傷んだりしたことが理由の、床の張り替えや扉の取替え
- 滑り止めのマットを置くだけで、床に貼り付けないもの
- トイレのコンセントを増やすなどの電気の配線の工事
沖縄市の案内(令和7年7月)
- 古くなった、壊れたという理由での工事
- ご自分の都合で外した手すりを、同じ場所に付け直す工事(体の状態や場所が変わらないとき)
- 施設に入っている方が、月に数回帰宅するための工事
- 一時的に身を寄せている家の工事
- 建築基準法にもとづき、勾配(かたむき)が1/8をこえるスロープ
宜野湾市の注意事項(令和7年3月)
- ベッドにねじで固定する手すりは、ベッドが家ではないため、住宅改修ではなく福祉用具の貸し出しが適当(手すりを安定させるために床にねじで固定した例は、住宅改修として認めたことがあり、似た場合は市に相談)
- 部材を組み合わせる手すりより割高になる既製品の手すりは、選んだ理由を確かめる
- 床の材料にタイルを選ぶ理由が「もとがタイルだったから」だけで、より安い材料でも困りごとを解決できるときは、適切な給付とは判断しにくい
沖縄県介護保険広域連合の手引き(令和7年4月改正)
- 賃貸住宅を出るときに、元に戻すための工事の費用
- 家族が大工のときの工賃(材料を買った費用だけが対象)
※ 例の書き方や扱いは、市町村によって違い、変わることがあります。お住まいの市町村の窓口に確かめてください。
「いずれ使うかもしれないから」の工事
宜野湾市の利用者向けの案内のQ&Aでは、今は必要ないが、年をとって必要になるかもしれないので先に工事をしたい、という問いに答えています。今の体の状態や家の状況、福祉用具の使い方を確かめて必要性を判断するので、「いずれ使うかもしれないから」という理由だけでは支給できない、としています。
沖縄市の案内でも、将来の体の状態の変化も考えて、必要最小限の工事を適切に行うよう求めています。たとえば、外出のための出入口の工事は基本は1か所、トイレが2か所あるときは主に使う1か所への手すりが基本、としています。
一方で、沖縄市の案内では、ご本人がふだん行っている役割や、趣味・生きがいになる活動のための通り道の工事も、対象として検討するとしています。これまでの活動を安全に続けられるようにするためです。
工事のあとに、目的どおりに使われていない例もあります。宜野湾市の注意事項(令和7年3月)では、ご本人のために使われていないと分かったときは、工事のあとでも支給できない可能性があるとしています。
迷ったら、工事の前の申請の前に市町村に確かめる
対象になるかどうか迷う工事は、工事の前の申請を出す前に、市町村の窓口に確かめるのが確実です。沖縄市の案内でも、対象になる工事かどうか分からないときは、必ず前もって相談するよう求めています。

対象の工事と対象外の工事を一緒に行うときは、国の通知で、対象の部分を取り出したり、割り振ったりして、対象になる費用を出すとしています。かなさホームでは、介護保険の対象外の工事も、あわせてご相談いただけます。保険の対象になる部分と、ならない部分を分けてお見積りします。
ケアマネジャーの方は「ケアマネジャーの方へ」もご覧ください。工事のいらない手すりは「工事のいらない手すりとは?」で、階段昇降機などの扱いは「階段昇降機や段差解消機は介護保険で使える?」で紹介しています。
よくある質問
答え:那覇市の手引きや沖縄市の案内では、古くなったり壊れたりしたことが理由の工事は、対象にならない例として挙げています。体の状態に合わなくなったなど、ご本人の暮らしにもとづく理由があるときは、ケアマネジャーにご相談ください。
答え:沖縄県介護保険広域連合の手引きのQ&Aでは、新築の家の完成の日(竣工日)よりあとに手すりを付けるときは、対象になるとしています。工事の前に市町村への申請が必要です。
答え:ご本人やご家族が工事をするときは、材料を買った費用が対象で、工賃は対象になりません。沖縄県介護保険広域連合の手引きや沖縄市の案内にも、そう書かれています。
答え:付けられないわけではありません。沖縄市の案内では、階段などの両側に手すりを付けるときは、両側に付ける理由を、理由書にくわしく書くよう求めています。ケアマネジャーと相談して決めてください。